スタートラインisド底辺
「よし、今日から夢にまで見た統括会での生活だ!頑張るぞ〜」
胸の高鳴りはこれからの期待と、ワクワクからだ。
あんな事、こんな事、今まで出来なかったこと、知らなかった事を知れるんだ。
と、夢を見てたのはここまで。
「えーじゃあ、クラス分けですね。おや、今年は珍しく錬金術科が居るのか。ま、1人だけど」
丸メガネが似合う丸っこい体型の担任が生徒一人一人に何の特進かを言っていき、軽くどんな事を習うかを話していく。
錬金術科の説明は最後で、私一人だけだった。
「ええ〜、私1人!?」
一応クラスメイトなのに、既に蚊帳の外感が強い。
担任の説明は続いてよくある能書きを言う。
「一応得専科以外は同じ授業だから仲良くな」
「既に周りからの目が冷たい件について」
ホームルームっぽいのが終わって、各々気になる子に話しかけて友達の輪を作っているのを横目にダラダラと冷や汗をかいていた。
「ねぇ、何で錬金術科にしたの?」
ポツンと、椅子に座って居心地の悪い思いをしていると前の席の、椅子に股がって話しかけてくれる子がいた。
「えっと」
急な事に驚いて言葉が詰まる。
すると、その子から自己紹介をしてくれる。
「あ、私はミホって言うんだ!訳ありさ」
「カテゴリー異端児になっちゃった!」
何やら冷遇されている錬金術師に訳ありと名乗る女の子。2人ぼっちが確立してしまった瞬間だった。
とはいえ、話しかけてくれる友好な子だ。蔑ろにはできない。
私もちゃんと挨拶を返す。
「うん、私はミレイです。一度創成術士様の技を見た事があるの。それ以来いつも脳裏に浮かぶんだ」
「へー、よっぽど好きなのね」
錬金術師になろうと思ったキッカケを話したのに、恋バナに話がシフトチェンジしてしまっている。
恐るべき最近の若い子!
「好きって言うか……愛よね」
「いきなり重めの回答来た!」
おかしいな、正直に答えたのに少し引かれてしまった。
誤解されたように思えたので言い訳を慌てて言う。
「ち、違うの、違うの!ただ」
「ただ?」
「この命捧げたいの!」
「厄介なタイプのメンヘラだった!」
墓穴をほっただけだった。