忠吾も好きなんです その1
ちょっと奥さん! 聞きました?
今日の夜からスカパーで年越し鬼平犯科帳一気見せ太っ腹最高ありがとうマジ神なんですけどスペシャルやるんですって! なに言ってんのよ! 無料よ! 無料!! ちなみに今は剣客商売やってるわよ!! 池波スペシャルよ!!
うちはもう誰が何時にテレビの前を占拠するか、戦争が勃発中よ!!
今のうちに昼寝しとかなくっちゃだわ!!
どうしておまささんの次に忠吾を出したのか……自分でも、よく分かりません……。
おまささんから五郎蔵さん、粂八さんと続いて、「密偵たちの宴」という流れが、最短連載完結コースとしてとても理想的だと、頭では思っているのですが……。
どうしてここで忠吾なのか……。自分でも謎です。
このまま謎の流れで進むと……たぶん猫殿が出てきて、この連載のタイトルが『鬼平が大好きです』から『夜食がたまんない』に変わる可能性が出てきます。嘘です。
木村忠吾。
うさぎの忠吾。またはうさ忠と呼ばれている同心の男です。
鬼平の部下です。ちゃんとした侍です。
なぜウサギなのか。
色白でぽっちゃりな見た目が、菓子屋のウサギ饅頭と似ているから。
口が達者で、酒と女が何よりも好物。
外回りのついでにうまいものを買い食いして、酒井さんや佐嶋さんや沢田さん(超デキる同僚? 上司?)に怒られているお調子者です。
おまささんをはじめとした密偵たちに、偉そうにタメ口使ってる忠吾を闇討ちしたくなるのは、きっと自分だけではないはずです。
酒井さんや佐嶋さんや沢田さん(絶対に失敗しない超有能さ行トリオ)が、「おい、おまさ!」って言ってても全然気にならないんですけど、忠吾が「おい、おまさ!」って言ってると殺したくなりますよね。
おいテメエ忠吾! お前がおまささんを呼び捨てなんて100年早えんだよ! テメエ、一人で夜道歩くときは背中に気をつけろよ! ってなりません? なりますよね? 当然です。
あ、そうです。今回のサブタイトルは「忠吾も好きなんです」です。不思議ですね。
若い頃は嫌いだったんですよね。
仕事できないくせに口ばっかなやつ。
でも、なんなんでしょうね。
それなりに自分も年数が経って、口ばっかな人たちが影を潜めてるだけなのか、いなくなったのかよく分からないけど、まわりからいなくなっていくと……。
若い頃は、絶対にぎゃふんと言わせてやるって思ってたけど、(昔はざまあという言葉はなかったので、当時はぎゃふんです。ぎゃふん)今はまったく気にならなくなりました。
だから(だから?)忠吾が好きと言える自分は、ちょっと大人になった自分なんですよね。
そう、遠藤周作の沈黙を読んだときに、キチジローに対して嫌悪感を持たずに読了できたときに感じた気持ちに近いというか……。(謎な例え)
他人に対して感じる嫌悪感って、たぶん無意識に自覚している自分の嫌な部分を、相手を通して感じてしまってるからなんですよね。
だから拒絶したくなるんですけど、こういう嫌な部分って自分にもあるよなって達観すると、相手に対しての嫌悪感を持たずに済むというか……。無駄なエネルギーを使わなくて済むというか……。
ああ、すいません。忠吾から話がそれましたね。
つまり自分にも忠吾みたいな部分が少なからずあるというか……、結構な不良社員の自覚あるし、まんま忠吾かもしんない。すっごい嫌だけど、同族嫌悪なんだろうなぁ。
忠吾は鬼平のDVDを借りれば、必ず一度見かける登場キャラです。ちゃっかりおいしいところを持ってきますしね。
そして忠吾はなんだかんだいって、すごくかわいがられているんですよね。
そして、わかりにくいけどちゃんと成長してるんです。
なんか、一応管理職のはしくれの身として、こういう忠吾みたいなのを、ちゃんと育てられる上司になりたいなぁなんて気持ちにもなりながら、忠吾を見守っている今日このごろなのでありました。
鬼平の懐の深さにいつも感服します。酒井さん・佐島さん・沢田さんたちにも。
そして他の優秀な部下たちと、忠吾を個別にかわいがってるときとの鬼平の表情の違いも、なんつーか……いいんですよねぇ。
歳を取ると、忠吾の良さが沁みるんですわ。
次はちゃんと作品と関連して忠吾を語ろうと思います。
まずは一本饂飩で1杯いかがでしょうか?
ちょっと奥さん! ちゃんと覚えてるわよね?
今夜は年越し鬼平犯科帳一気見せ太っ腹最高ありがとうマジ神なんですけどスペシャル無料よ!
そばをすすりながら見るのよ!!