ずるいずるいといつも私に言い、物を盗る妹と、私を召使のようにこき使う姉を持った三姉妹の真ん中です。どうしてこう割を食うのでしょう。そんな私が二人のせいで婚約破棄を婚約者からされてしまい…。
「ここ掃除しておいてよ、リリアナ!」
「お姉さま、ずるーい、どうしてこんな良いドレスをお父様からプレゼントしてもらったのですか、ほしいほしいですわ!」
私は召使ではありません、侯爵令嬢です。
だけど、上のアリシアお姉さまと下の妹アリエルに囲まれいつも貧乏くじを引いてきました。
上のアリシアお姉さまは暴君でした。
いつも私に命令をして用事を言いつけるのです。
下のアリエルはいつもずるいずるいといって私のものをとりあげます。
二人は美貌で知られたお母さまに似て、私はお父様に似た地味顔。
両親も二人をかわいがり、お前はしっかりしているからと言われ割を食う日々です。
「自分で掃除をなさったらいいのよ、ドレスは誕生日プレゼントなのであげられません!」
私は言い返してみましたが、お姉さまには頬を叩かれ、アリエルにはずるいずるいとお父様に泣きつかれドレスくらいあげろと言われてしまいました。
ても私が王太子殿下の婚約者に選ばれ、脱出のチャンスです。
喜んでお受けして、王宮にむかったのですが、あんなことになるなんて……。
「お前か、どうしてお前なんだ?」
「え?」
「美貌で知られたアリシアかアリエルがよかったのに」
開口一番これで、殿下ははあとため息をつきました。
どうも陛下と王妃が、美貌で知られた二人より私のほうがいいといわれたらしいですが。
……二人の性格が悪いのは割と身内には知られていましたから、それでかもしれませんが。
そこから私は殿下に無視され、半年が経過しました。
何やら殿下に呼び出され、私は妹と姉がいる中で……。
「リリアナ、お前は妹と姉をいじめて、品物を取り上げ、召使のようにこき使うそうだな。そんな女を婚約者にしておけない、婚約破棄する!」
と宣言されたのですが、私がそれをされていたのは身内なら知ってますが、にやにや笑って二人はこちらを見ています。
「私に掃除をしろ、ドレスをとってこいなどと使用人にさせる用事をよく言いつけたわよねあなた」
「お姉さま、私の大切なドレスをずるいずるい頂戴ととりあげましたわよね。お父様のプレゼントなの!」
どうも二人は協力したようです……。私は息の合った二人を見て、そんなことはしていません。されたのは私ですと答えますが……。
「うるさい、辺境送りにされないだけありがたいと思え!」
殿下に怒鳴られ、私は衛兵に馬車に押し込められ、実家に戻されてしまいました。
実家で訳を話してもお前が悪いといわれました。だって殿下が地味なお前で満足するわけがないとか。
それに絶望して家を出ました……。
私は薬草の知識がありましたので、薬草師の知り合いのところに出向いて、生活をしていました。
二人のことですか? 悔しかったですが、どうせあの二人の未来はわかっていましたから、無視することにしたのですわ……。
私が思っていた通り、殿下の婚約者を二人で争い、妹が姉を殺そうとした罪、姉も妹を殺そうとした罪によって二人とも修道院送りになりました。
仲良く修道院とは。
私はこうなることはわかっていましたが……
殿下はそれも平気な顔で次の婚約者選びを始めたそうなので、さすがに腹が立ちましてね……。
「おい、リリアナ、お前何をした!」
「媚薬を欲しがる貴族のお嬢様みんなに媚薬を売りつけただけですわ」
「お前!」
師匠がはあとため息をついて、城は大騒ぎだと怒ります。
でも私は自分の顔はださずに薬売りとして、怪しい薬に手を出したお嬢様たちに売りつけただけですし。
師匠の身には危険は及びませんわとさらりと言うと。
「恐ろしいやつだなお前」
「一応、あの人たちに揉まれてきましたから」
私はあれでも姉妹だから手を下さなかっただけです。
媚薬によってあらゆるご令嬢に恋をした殿下は、陛下によって廃嫡となり、その行方は知れません。
「師匠、私、幸せになりますわ!」
「……」
師匠は口が悪いですが良い人ですし、私は薬草師としてここにいるのもいいですわよねと思います。
師匠曰く、性格が悪いやつは良い薬草師になるらしいです。
まだまだ人生これからですわ! 修道院に送られた二人は互いに殺し合い、二人とも死んだそうです。
多分うちの血筋はこんなのしかいないのかもしれませんわね。
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