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7 旅立ち

 上履きのままじゃきつい。

 

 俺はアレンと一緒に靴屋へ入った。

 アレンがこの世界の通貨を持っているので、靴を買ってくれる事になったのである


 革や布で出来た靴が並び、丈夫なやつがいいよなー、って色々選んでいたら、一足だけスニーカーがあった。

 

「お、スニーカーじゃん。しかもこれ、エアジョーズ5だよ! かっけー」


 手に取って眺めて、はっと気付いた。


「なんでこれ、ここにあんの?」

 

 店内を見ると、やっぱり中世ヨーロッパ、って感じの靴しかない。

 

「変わった靴ですね」


 アレンが覗き込んで言う。


「俺の世界の靴なんだよ、これ」


「ああ、じゃあ、世界がちょっと混ざってるって事なんですかね?」


 ちょっと混ざってる。

 なるほど、世界がこんな風に、微妙に混ざってたりする事もあるのか。


「アレン、この靴、買ってもらっていい?」


 という訳で、元の世界じゃ高くて買えなかったスニーカーも勇者様のおかげでゲトる事が出来た。ありがたい。


 靴屋から出てシーナ、タロの二人と合流して俺たちは歩き始めた。

 歩きながら俺は、宿屋のロビーで聞いた話をもう一度思い出していた。



「この村は今、世界の最東端にあります」


 天使のおじさんはタブレットに手書きの地図めいたものを作って説明する。

 地図、といってもめちゃくちゃ簡単なもので、ただ楕円が描かれていてその端っこに「現在地」と書いているだけである。


 おじさんは、「現在地」から、ぴーっと矢印を引っ張った。


「そして【ラスボス】のいるのはこの、最西端です。つまりここから西に向かって行けば、いずれ【ラスボス】のいる場所に辿り着ける、という事です」


 おじさんの話によると、転送システムが作動しないので、申し訳ないが徒歩で【ラスボス】のとこまで行って倒してくれないか、との事だった。

 途中でそれぞれの世界の街や村があるので、旅する事は可能だろう、とも。


「あの、俺、戦えないんですけど」


 ようやくちゃんと話を聞いてくれそうな段になって、俺は尋ねた。


「すべての世界の“ラスト”がありますので、一応ユウトさんもご一緒して下さい。ユウトさんがいないとクリア出来ない条件があるかもしれませんので」


 とバスガイド風の女性が言った。


 行かなきゃいけないのか、命の危険があるかもしれないのに。

 って思ったものの、そんなに心配もしていなかったのはやっぱり、この三人の強さがあるからだ。


 まあ、大丈夫だろう。


 そう思って俺は、


「分かりました」


 と、【ラスボス】退治へ同行する事にした。


「原因究明と解決のため、我々はしばらく会えなくなりますが、どうぞお気をつけて」


 最初に会った時と打って変わって丁寧にお辞儀をした二人と別れ、俺たちの旅は始まった。


 そしていざ、最西端に向かって歩みを進めたのかというとそうではなく、今は魔王城のあった場所へ向かっている。


 何故かというと、宿屋を出た時にタロが、


「【ラスボス】が合体したって事は、アレンの【ラスボス】である魔王は、あそこにいなかったって事なんかな?」


 という疑問を呈したからである。

 俺は言った。


「確かに。魔王がいなかったら、村人の話とちょっと矛盾するよな」


 魔王がゴルデオラとかいう怪物を復活させた、とかそういう事があり得ない話になってくる。

 まあ、時系列がどうなのか不明ってのもあるけど。


「もしかしたらまだ魔王が生きてるかもしれないし、行ってみましょう!」


 と、アレンが楽しそうに言った。

 戦うってなるといっつも嬉しそうにするな、こいつ。


 まあとにかく、そんなわけで俺らはまず、魔王城のあった場所へ向かう事になったのである。


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