表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

彼女が胸に抱く彼への想い

帰りのSHRを終え、放課後になり、騒がしくなる教室。

席に座っていた僕に、羽井浪が駆け寄ってきて、短く声を掛けてきた。

「帰ろっ豊口くん」

「あっ、うん」

周りの視線を気にしながら、こたえて立ち上がる。

歩きだした彼女の隣に並んで教室の後ろから出ていく。

廊下を出た瞬間に後ろから声を掛けられる。

「豊口って莉央ちゃんと付き合ってんの?昼休みも一緒にいるけど」

振り返ると、羽井浪と仲の良い女子がいて、いつもより目付きを鋭くしていた。

「えっと、その......」

「そうだよ。美澤さん、だめなの?豊口くんと付き合ってたら」

隣にいる彼女が、いつものように柔らかい声で恋人だと告げる。

「そこまで言ってるわけじゃ......ただ、莉央ちゃんにはもっと他にもっ」

美澤の言うことは、理解できる。彼女からしてみれば、不思議に思うのは当然だ。

彼女の言葉を遮り、羽井浪が胸に手を触れ、豊口への溢れる想いを口にする。

「私は、豊口くんにときめいたの。好きなの、隣にいる豊口くんのこと。大好きな気持ちは変わらないの。美澤さんにも好きな人ができたら、きっと私みたいに思うはずだよ」

「それは......そうだと思うけど。意外だよ、莉央ちゃん。デートなの、今から?」

「そうだよ。だからもう話はいいかな?」

「ごめんね、莉央ちゃん。邪魔しちゃって」

僕は、美澤の表情に影が射すのを感じとってしまった。

「じゃあ、また明日ね。美澤さん」

羽井浪は、彼女に小さく手を振って、別れの挨拶を言い、歩きだした。

僕は、彼女に申し訳なく思い、小さく頭をさげ羽井浪に追い付くように小走りで駆け寄る。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ