離れた距離
私は、羽井浪とは中学二年の頃から関わっている。
話しかけやすい日と話しかけにくい日があった。日に日に態度が多少違っていた。
友人と思っているが、彼女は友人とは思っていない節があった。
私は彼女のことを莉央ちゃんと呼んでいるが、彼女は私のことを美澤さんと呼び続けている。
距離が縮まっていないようで寂しい。
羽井浪が豊口と親しく交際しだして、今までよりももやもやしだした。
私とは一定の距離で接しているのに、彼には縮んだ距離で接していた。
私が彼よりも早く会っているのに……
彼女が私の前でも惚気出したときは友人ながらも、握っていた拳が震えた。
私は彼女が好きだ……あの頃から。
彼女と友人ではあるのに、彼女の自宅には招待されなかった。招待をされずにいる。
あの感じだと……豊口は、彼女に自宅に招待されるのは早いだろう。
そんな妄想をしただけで怒りが湧いてくる。
彼女に私は選ばれずに、豊口が選ばれたんだ……
不快だ、不愉快だ。
私は彼女に対して、本音が言えなくなった。
自宅に帰宅すると、ベッドを殴りつけたり、壁を殴ったりして当たり散らしている。
私は……羽井浪と恋人になりたかった。手を繋ぎたいし、キスだってしたい……一緒に寝たいし、その先のことだって——叶わない。
豊口がいる限り……私が望むものは手に入らない。叶いっこない……
なんて残酷なんだ……
私の枯れた心は潤わないんだ……一生。
死ねたら……良いな……
羽井浪が豊口のそばにいて笑ってるのが、胸を締めつけられる。
いっそ……羽井浪に出逢っていなければ、こんな苦しい想いを抱かずにすんだんだ。




