芝池陽菜
私は彼に嫌われたかもしれない。
私は属した女子グループのリーダー格である女子に命令され、彼に駆け寄って揶揄った。
セックスとか、彼に言いたくなかった。
傍にいる女子達が彼を嘲り、楽しんでいた。
私の心臓にチクリと痛みが走る。
昨夜にラブホテルに入っていく豊口を見かけたという噂が流れ、佐々木も面白がり、私に確認させに行かせた。
私は最低だ。
私が彼に話した久しぶりの会話がこんなのなんて……悲しくて、唇が震える。
小学生の三年まで普通に会話を交わせていたのに、五年も経つと存在も忘れ去られ、初対面のような反応をされるなんて……酷いよ、蒼真。
『久しぶり、陽菜っ!元気でいたか?』
彼に、そんな風に懐かしそうに、言ってほしかった。
入学前の制服の採寸を高校の体育館で行われる日、彼を見かけたが話しかけられなかった。彼は私に気付かず、私の前を通り過ぎた。
彼と同じ高校に通えるのかと、喜んだのも束の間、落胆した。
小学校を転校し、彼と離れ離れになって、彼と一人の女の子ばかりを毎日、想っていた。
彼にあの頃の面影は亡く、自信のない俯きで足許に視線が落ちていた。
あの娘も、久しぶりの邂逅で変わり果てていた。
高校に入学し、一ヶ月が経っても話しかけられず、クラスでは彼とは関わらない方がいいという空気が漂いだし、傷付くことに臆病で、彼との交流を諦め、独りにさせた。
知らない間に、豊口は羽井浪と交際していた。
豊口は羽井浪に対して、あの頃の笑顔を見せていた。
私は彼と話すことも叶わず、悶々としだし、彼を想い浮かべ、自慰行為を始めてしまった。
他人に笑われても仕方がない……
「陽菜ちゃん、放課後遊びに行ってもいい?」
「え?あぁ、うん。良いよ」
「うわの空ぁ?陽菜ちゃんは誰で自家発電すんの、気になるぅ〜?」
「誰もなにも、そんなんしてないって」
「えぇ〜嘘ぉおおぉ〜ぅっ!?シない娘なんていないよ、ねぇ莉子?」
「ウチ、シないよ。シてる前提で言うなし、絢香」
話題を振られた佐々木が不機嫌そうに否定し、舞浜の頭に手刀を下ろす。
「痛ぁ〜っ!莉子、自分の身に及ぶとすぐ逃げる〜!」
「ウザぁー、ダルいてー!」
佐々木と舞浜の絡みに、グループの他の女子達が笑いだす。
放課後になり、舞浜が私の腕に自身の腕を絡め、下校を急かしてきた。
「陽菜ちゃん家、早く行きたい!早く早くぅ〜っ!莉子たち、バァ〜イ!」
私は自宅に舞浜を招き、二人で放課後を過ごした。
彼女が私の自室に脚を踏み入れると、我が家の如く、ベッドにダイブした。シーツを両手で握り、匂いを嗅ぎだす。
「自家発電の痕跡はぁぁ〜っと……ありゃりゃ〜無いなぁ。上手く消してますなぁ……陽菜ちゃん」
「してないからっ!絢香ちゃん、しつこいよ!」
「はぁー……それより、陽菜ちゃんって気持ちよく絶頂けてる〜?まだなら、私が教えてあげるよ、絶頂き方をさぁ〜!」
彼女が不敵な笑みを讃え、私の返事を言い終える前にベッドから勢いよく私の立つ位置まで来た。
「何言ってっっ——」
「陽菜ちゃんはどうしたら、濡れるかなぁ〜!」
彼女が唐突にスカートの中に片腕を忍ばせ、ショーツ越しに敏感なワレメの辺りを指先で撫で、私の喘ぎ声で激しく動かしてきた。
「ちょっ——んぁああっっ!ぁんっんあぁっっ!あやぁあっあぁん〜っ!なにぃっ、ん〜ゔぅぁああー!」
ショーツをずらし、指でワレメを広げ、膣内に挿れてきた。
「想像以上に興奮する鳴き声じゃん、陽菜ちゃん!いいよ、いいよもっと聴かせてよ!その喘ぎをさ〜あぁ!」
彼女の昂揚した囁き声が、私の耳元で聞こえ、さらに反応してしまった。
私は舞浜の悪戯に抗えず、絶頂ってしまった。
私は舞浜の罠に引っかかってしまった。
私は舞浜から言い渡された。
——明日から、私の命令にある程度は従ってほしいな〜ぁあ!
舞浜がそう言い渡した際の表情は、佐々木が玩具となる人間を見つけた際に浮かべる邪悪な笑みと同じだった。
私は永い地獄の一夜を過ごすこととなった。




