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魔王転生その2

第三話です!


どれくらい眠っていただろうか。


「ヨ、、、、、ま、、、、、、、、ヨルさ、、、、、、、、ヨルさま、、、、、、、、、」


どこからともなく聞こえる声にゆっくりと目を開けると、ヨルは椅子にうなだれていた。

木製のてすりに革張りの上等そうな椅子である。


「起きられましたか?ヨルさま。

  すでにお気づきかとは思いますがあなたは死にました。」


声がした方へと目を向けると目の前のヨルと同じ椅子に天使が座っていた。

女性らしい整った顔に頭には黄色く光る輪が浮かんでおり、背中には飛べるのかはなはだ疑問なほど小さい翼が生えていた。


「突然ですがヨルさま、あなたは転生します。」


だんだんと頭が醒めてくる。

確かに俺はマルクとの戦いで一度命を落とした。これは確かな事実である。

しかしこれから転生しようとは、そもそも


「まず質問がある。ここはどこなんだ??」


聞き慣れた質問なのか簡潔に天使は答える。


「ここは現世で“天界”や“あの世”などと呼ばれる場所です。 

  主に魂の輪廻転生を円滑に進める役割を果たしています。

   ヨルさまの活躍はここからも拝見させていただきました。今回転生に関われるなんて光栄です。」


天界でも噂になっているとは驚いた。


「もう一つの質問だが、なぜ魔王の俺なんだ?それに何のために??」


当然の質問に対し天使は目を伏せため息交じりに答えた。


「実は突然の上からの命令なのでそういうことはわからないんです、、、まったくいつもこっちへの命令は適当ですし、こっちからの意見は全く反映されませんし、、、」


いつもということはこんなことは日常的に起こるらしい、天界という割にはまったくいい加減である。


「苦労が多いんだな。」

「そうなんですよ!いつもそんな調子で業務も単調ですし、、、そもそも私だって配属の時にはこんな地味な仕事じゃなくてもう少しでくっつきそうなカップルをハートの弓矢で貫くようなロマンチックな仕事がしたかったんです!給料も安いし転職しようかな、、、、、、、」

「前世であればいくらでも仕事を紹介できたのだがな。」


転生の業務が地味であるのには驚きである、確かに転生者に毎回このようなことを話すだけというのはずいぶんと単調である。

それにしてもずいぶんとおしゃべりな天使だ、上に対し相当ストレスが溜まっているようである。


「あ!申し忘れておりましたが、転生するのは前世と同じ世界になります。言語については分かるようにしてありますのでご心配なく。」


前世と同じ世界、、、?ならばそれこそ疑問である。

魔王の脅威は取り除かれたはずだ。

そもそも転生でその目的という重要な事項がなぜ伝わっていないのだ、こんな調子では天界の将来が心配になる。


「カランッ、、、、カランッ、、、、、」


質問しようと身を乗り出すヨルの動きを制するかのようにどこからともなく大きな鐘の音が聞こえてきた。


「そろそろ時間ですね、余計な話まで聞いていただきありがとうございました。それではヨルさま、よい来世を。」


丁寧な所作で天使が頭を下げる。

唐突な話の終わり方に困惑するヨルを無視し、ヨルの体は淡い光に包まれゆっくり溶けるように消えていった。


魔王の転生はあと一話続きます

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