魔王転生その1
二回目の投稿が遅くなりました!
楽しんでいただけると幸いです。
今より500年前、世界は突如現れた魔王一派がその支配を急速に広げていた。
一派の中でも魔王と呼ばれ恐れられた悪魔族のヨルの能力はずば抜けており、圧倒的な力で対抗勢力は次々に叩きつぶされた。
世界が魔王一派の手に落ちるかと思われたとき、辺境の村にヒューム族の勇者、マルク=アルウィンが誕生する。
マルクは白髪で宝石のような紅い目をしており、傑物といって差し支えない能力を持って生まれた。
特に戦闘能力は生物の域を大きく逸脱していた。
成長し、ヨルと唯一渡り合えるようになったマルクはヨルと数多くの戦いを繰り広げ、勇者誕生より22年後、ついに決着の時が訪れる。
ヒューム軍と魔王一派の戦闘により魔王城地上部には多くの死体が折り重なるように横たわっていた。唯一、魔王城地下礼拝堂の2人のみが激しい死闘を繰り広げていた。
ヨルはロッドを地面に突き立て重力魔法を発動する。
マルク周辺の空間が球状に収縮し巻き込まれた瓦礫が急速に圧縮される。
マルクは発動直前で地面を蹴り魔法の有効範囲からすれすれで逃れる。
次々と発生する重力球を不規則な動きで紙一重に避けつつヨルへ距離を詰め、剣の間合いへと引き込む。マルクの剣の薙ぎ払いをロッドで受けいなしマルクが体制を崩したところへヨルは上半身の回転を利用した渾身の蹴りを叩き込む。
鎧のきしむ金属音とともにマルク体は蹴り飛ばされ2回ほどバウンドしたのちに石壁に叩きつけられる。
魔力で重ねて強化し放った蹴りだが、おそらく致命傷にはいたらない。
間髪入れずヨルは追撃に移る。
ロッドを一回転させ氷結魔法を発動、直径5メートルを超す巨大な氷塊が4つ、ロッドの回転に沿って出現し次々マルクへ射出される。
全弾マルクに命中したかと思われた氷塊が砕け、マルクがまっすぐにヨルへ突っ込む。
氷塊が命中する寸前で全弾剣撃で撃ち落としたようであった。
再び剣の間合いに一瞬で距離を詰めたマルクの渾身の魔力を込めた剣の振り下ろしはかろうじて挟み込んだロッドごとヨルの体に深々と切り割いた。
振り下ろしの動きに少し遅れ、ゴウッという風の豪音が鳴り鮮血が飛び散る。
ヨルはよろけながら後ずさりし石壁に体をあずける。
肩からわき腹にかけての深い切り傷からとめどなく血が流れ足元に赤い水たまりを作っていた。
マルクは肩で息をしながらヨルへ語りかける。
「長かったな」
死闘を繰り広げて早5年になるだろうか。
「ああ、、、、、しかしどこかでこうなるような予感はお前が現れた時からしていた。」
マルクとは初めて剣を合わせたときから他の人間にないものを感じていた。
それは強さはもちろんのこと、剣を伝い流れてくる感情のようなものだった。
ただ殺そうと剣を向けてくる今までの人間とは明らかに異なる感覚であった。
マルクは視線を少し上に向けいつかを懐かしむように言う。
「俺たち、もし、出会いが違えばいい友だちになれたんじゃないか」
ヨルはいつかマルクと戦いの後語り合ったことを思いだしていた。きっとマルクも、、、
確かに同じ人間として生まれれば良い友になっていただろう。しかし、
「そんなことはありえない。今ここにあるこの現実がすべてだ。」
マルクはどこかあきれたような表情をうかべる。
「お前らしいな」
マルクは剣を構え直す。
マルクの剣が水平にヨルの首をとらえ通過する。
少し遅れて視界が傾き、ヨルの意識はそこで途切れた。
だんだんシステムを理解してきました。
願わくば高評価を。