使者としての旅とその帰還
続きを投稿します。今回も楽しんで下さい。
お陰様でPV回数が25,000回を突破しました。
応援いただき有難う御座います。
ブックマークや評価をくれている方にもこの場を借りてお礼を言わせてください。
反乱の討伐軍がヤマトを発って約一週間、コジロー達はムサシまであと数日の場所まで辿り着いていた。
「さて此処まで来ればムサシまではもう少しなんだが……美乃利が使者で行ってくれるのは良いが護衛を誰にするかが問題だな」
「雫お姉様、私には結界符もあります。護衛は特に必要無いかと」
雫の言葉に美乃利がそう答える。しかし雫は
「そうは言っても包囲された場合に結界を維持しつつ囲みを突破は出来まい?そう言う意味でコジロー君と奏楽を護衛に付けようと思う」
「奏楽さんは分かりますが……客人であるコジローさんを護衛に使って大丈夫なんですか?」
美乃利の指摘に雫はコジローの方を向くと
「大丈夫だよね? 私は君の能力に期待してるんだ」
「……期待に応えられる様に頑張りますよ」
笑顔でそう言ってきたためコジローも世話になっている人の願いを無碍に出来ずにそう答えた。
それに対して雫は
「宜しく頼む。私は全軍の指揮を執らねばならない為、使者として君達が旅立った後ムサシまで半日の場所で君たちの帰りを待つことにしよう」
こうして美乃利、奏楽、コジローの三人がムサシへの交渉へと旅立つことが決定した。
……一方その頃ムサシの豪族たちは混乱していた。
「どうするんだ? 上方の軍がもう近くまで迫っているんだろう?」
豪族の一人である林遊田は自分達で他の豪族を煽っておきながら動揺を隠さずそう訴える。
その訴えに対してもう一人の豪族が
「どうするも何もこうなっては戦うしかあるまい? 軍を動かしたということは降伏したとて処分は免れん」
正論をぶつけてくる。林は自分を棚に上げて
「管殿、元はといえばそなたが皆を焚き付けたのだぞ!! 責任を取られよ!!」
責任を問われた管乱丸は
「はっ、何を言ってやがるんだ?? ……みんな乗り気だったじゃねーか!! それに勝てば良いんだよ勝てば。皆だって今の地位や立場を守りたいから此処に居るんだろうが!!」
と林を睨み付けながら全員を鼓舞する。
偵察部隊の報告で上方の兵数が500人程度である情報を手にしていた管は強気に出ていた。
結局この日の反乱軍の会合は決戦へ大きく舵を切って終わることになる。
……美乃利、奏楽、コジローが雫と別れて一日経ちムサシの地に到着した。
直ぐに反乱軍の代表者に面会を申し込む。
三十分程度待たされた後に豪族達が集まる天幕に招かれたコジロー達はそこで初めて反乱軍の面々と顔を付き合わせることになる。
美乃利が交渉のイニシアチブを取るべく言葉を発した。
「ムサシの諸君、君達が此処にこうして集まっているということは情報は真実だったということだな?」
「使者の方々はそんなことを言うためにわざわざ此処まで来たのか?? 違うだろう?」
美乃利の言葉に管が挑発する様に言葉を返す。美乃利は首を左右に振った後
「分かっているなら話が早いわね。選びなさい……降伏か決戦か」
上座に座った管は、美乃利の言葉に最悪の決断をする。
「あんた達が来る前に俺たちの方針は決まっていたんだ。戦いの前の士気の向上に役立ってもらうぜ!!」
そう言って右手を掲げると天幕の外から刀を構えた五十人の兵士が現れてコジロー達を取り囲んだ。
美乃利は豪族たちを一瞥して
「交渉は決裂ね。使者を殺そうとするなんて……貴方達はもうお終いよ」
と言い放ちコジローはその言葉を合図にアイテムストックからシルバーロッドを出すと
「皆、俺が退路をこじ開けますからその隙に走って下さい」
そう言って天幕の出口を固めている兵士を横薙ぎで吹き飛ばし逃走経路を確保すると、美乃利がそこへと駆け出した。一方奏楽は
「……馬を奪う。それまで攪乱を頼む」
とコジローに指示を出す。コジローは
「分かった。奏楽さんも無事に務めを果たして下さい」
「ふっ……誰に言っている」
奏楽を心配して声を掛けたが、それを素直に受け取れない奏楽はそれを鼻で笑い素早く去っていく。
攪乱を任されたコジローは
(それじゃあ……暴れながらゆっくりと逃げてみますか。)
適度に敵との距離を保ちつつ、決戦まで首謀者たちが逃げ出さない様に加減しながらの戦いを続けるコジロー。暫くそんなやり取りを続けていると
「コジロー、準備が出来た。こっちに来い!!」
奏楽が呼ぶ声がした方向を向くと馬に乗った美乃利と奏楽の姿が見えた。そこで初めてコジローは敏捷性を使い一気に距離を詰めて奏楽の乗った馬の後ろに跨る。
「乗ったな? ……では一気に逃げるぞ」
奏楽の合図で二人は馬へ指示を伝え全速で雫たちの待つ陣地まで撤退を始める。
当然騎兵の集団がコジロー達を逃がすまいと追ってきて矢を放ってくるが
「ウインドスマッシャー!!」
コジローが巻き起こした突風は迫り来る弓矢ごと射線上に居る騎兵を吹き飛ばし距離を稼ぐことに成功する。
始めてコジローの魔法を見る美乃利は不思議そうにコジローを見つめ
「コジローさん?? あなた一体??」
と疑問の声を上げる。一方コジローが振り落とされない様に腰にきつく抱き着かれた形となった奏楽は
「ひゃうん」
とまた悲鳴を上げコジローを睨もうとしたが、コジローが後方を警戒しているのが分かると怒りを鎮めた。
そうして何度か追っ手を撃退しながら引き離したコジロー達は無事に雫達との合流を果たした。
「美乃利、奏楽、無事で何よりだ」
「雫お姉様……交渉は決裂しました。決戦の用意を!!」
二人の肩に手を乗せて無事を喜んだ雫がコジローの姿を見つけると
「コジロー君、無事でよかった。心配したんだよ」
そう言ってコジローに抱き着いてきた。そして腰に回していた手をずらしていくと、またコジローの尻を鷲掴みする。
「雫さん、……あうっ・また」
コジローは感動の再開を期待していただけに、尻を掴まれる感覚に襲われた際に小さく声を上げてしまう。
当然それを見ていた美乃利に
「コジローさん、あなた雫お姉様に何をさせていますの?」
「そんな……おれは何も……あうっ」
(良く私の期待に応えてくれたよ……。今日はサービスで多めに揉んであげよう。)
コジローからすれば尻を蹂躙されているだけなのだが、美乃利から見ると抱き合っている様にしか見えずコジローはそのことを美乃利から責められ続けていた。その間も雫の手は止らずコジローは恥ずかしさと理不尽さの二重の意味で苦行に耐えることとなった。
最後まで読んで戴き有難う御座います。
これからも応援よろしくお願いします。
ご意見・ご感想もお待ちしています。




