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8 招かれざる客と水

<ガランガタンゴギャン>


凄まじい音がしました


入ってきた男は、太っていて、高そうな服を着ていました






「ああっ、勇者様!お会いできてよかったっ」


そう言って店主のいるカウンターに突進してきました





「失礼だが、どなたかな?」


店主が問いかけます


どうやら知らない人のようです




「私はカスタール王国、子爵、ラファエル=ミュシェルです!


勇者様とは魔王討伐に出立する際に一度お会いしております


何卒、お助け下さい!」


酒場の床に片膝ついて正式な礼をとりながら懇願してきました






店主が子爵をカウンターの席に座らせ、お水を出します


それをゴクゴク飲む子爵


あれだけ大声を出せばノドも乾くでしょう





話を聞くと勇者様(店主)が自分の世界に帰ってしばらくすると王族や貴族が行方不明になる事件が発生したそうです


2、3日で帰ってくるのですが、どうやら異世界に飛ばされたそうです


無一文で飛ばされるので飲まず食わずで疲弊して帰ってくる


武器を持たず飛ばされるので死にそうな身体で帰ってくる


飛ばされた先でぼこられてボロボロになって帰ってくる





そこでようやく気がついたそうです


魔王の呪いをかけられた勇者様と同じだということに!







そういえば1年くらい前に勇者様がこの世界に帰って来ていたとのウワサがありました


だったら勇者様に聞けばなんとかなるんじゃね?


そんなわけで探していたそうです






勇者様がきたらわかるように魔導師達が国中に警戒の網を張り巡らしました


そして今日、みごとにひっかかりました


そんでもって近くにいた子爵が駆けつけました   ←いまココ






「いやオレも飛ばされている真っ最中だよ」


店主がそう答えると子爵がガックリしました





何か気がついたようで子爵が顔をあげて


「でも、なにやらご無事のようですが・・・」


と、問いかけました





「この酒場のおかげですよ」


苦笑いしながら店主が答えます


酒場が重りになっているので飛ばされることを、ある程度抑制できる


酒場にはイロイロと備蓄があるので飛ばされても問題なし!




店主がそう説明すると


「ぜひこの酒場を譲って下さい!」


子爵が叫びました





「いや、むりっす」


店主が答えました


もう礼儀も何もなく素で返事してます






飛ばされた中には子供もいた


帰ってきたらボロボロだった


可哀想でないのか!


これから飛ばされるかもしれない子供もいる


可哀想と思わないのか!


子爵が延々と訴えます







「クズっすね」


「クズね」


離れて聞いていた剣士と美女が感想を言い合ってます


言葉は綺麗ですが、内容を簡単にまとめると『貴族のために、この酒場をタダで寄越せ』ですからね






黙って聞いている店主の顔が引きつっていくのに気がつかず言い続ける子爵




「でていけ~~~っ」


店主がそう叫ぶと子爵が座っているイスが出口の方に動きました


扉が開きます


イスが止まります


慣性で外に飛び出す子爵






「おとといきやがれ!」


店主が叫びました



意味はわからないけど、店主が怒っているのだけはわかった子爵は外でポカンとしてました

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