5 鍛冶屋とバクダン
私はただの炭酸ですが、一般的には炭酸入りの酒らしいです。
バクダンについては異論が出てくるかと思いますが、そのへんはスルーして頂けると嬉しいです。
<カランカラン>
ヒゲもじゃで、背が低く、そのくせ横幅と厚みがハンパない男が酒場に入ってきた
どこからどう見ても鍛冶屋である
「あるじ、いつものを頼む」
そういってカウンターに座る
店主はガラスのコップと酒の入った瓶を鍛冶屋の前に出す
鍛冶屋がカウンターに金貨を1枚のせる
あいかわらず、原価率1%くらいの、ぼったくりであす
鍛冶屋が自分で酒をついで飲む
注いで飲み
注いで飲む
注いで飲む
見た目通り、凄く飲む
他の人とは違い、1杯で金貨1枚にしないはずである
店主にも良心というものがあったようだ(笑)
「あるじ!これよりも強い酒はないのか?」
鍛冶屋が店主に聞いてきた
「あいにくですが、そのウオッカという酒がうちの店での一番です」
そういう店主の言葉に肩を落とす鍛冶屋
「ですが、バクダンならあるいは「それをくれ!」・・・はい」
速攻で返事が帰ってきた
冷蔵庫から瓶を一本とりだす
そして新しく取り出した小さめのプラスチック製のグラスに少し入れる
その後に出してあったウオッカを瓶から注ぐ
「ちょっとお待ちを」
飲もうとした鍛冶屋を止める店主
「合図したら一口で飲んでくださいね」
そういって、グラスを洗った手のひらで覆って、グラスをカウンターに叩きつける
<シュワシュワシュア>
炭酸がグラスから溢れ出た
「どうぞ!」
店主がそう言うと鍛冶師がグイッと飲む
<タン>
グラスを置く鍛冶師
下を向いて黙っていた
だめだったのか?
見守っていた店主と周りの客がそう思っていると
「か~っ!すごい!すごすぎる!倍、いや3倍じゃ!」
どうやら気に行ったようである
「こちら金貨1枚です」
サイダーの瓶を指差して言う店主
それを聞いて素直に払う鍛冶屋
3倍の破壊力なら、倍の支払いならお得である、そう思っているのがミエミエの態度であった
しかしサイダーの原価率は1%以下である
あいかわらずの、ぼったくりであった