2 剣士とビール
「あ~、マスター?何か冷たいものないかな~」
一通り涼んだ後、剣士が酒場の店主に向かってオーダーした
どっこからどう聞いても真面目な優等生相手にヤンキ―がカツアゲしているようにしか聞こえない
・・・もはや何も言うまい、いやツッコまないぞ
「それならキンキンに冷えたビールなんて如何ですか?」
剣士の言動に全く動じずに返事をする店主
ある意味、この人が一番強いのかもしれない
人間的な意味で
「ビール?はじめて聞くっすね、何ソレ?」
「麦から作ったお酒です。ちょっとシュワシュワして、苦くて、でもノド越しが良くって、水より冷たくすることができるお酒ですから、暑い時にはオススメです。」
剣士の無礼をスルーして、どこかの「小説家になろう」の作品のごとく解説する店主
でも安心してください
こちらのジャンルは『お笑い』ですから!
冷蔵庫に入れて冷やしたジョッキを取り出す店主
同じく冷蔵庫で1週間かけて冷やした瓶ビールも取り出す
瓶の栓を栓抜きでトントン叩いた後、栓を抜く
そして瓶の中身をジョッキに入れる
最初は勢いよくビールを入れて泡を出した後、ゆっくり注ぐ
上の1/3に泡ができ、下側の2/3が金色の液体で満たされる
それを見ている剣士
目がクギ付けである
まるで子供である
カウンターに座っている剣士の前に、ジョッキが置かれる
「うっす!」
そう言ってゴクゴク飲み始める
「すっげーっ冷てーーーっ!」
大声で叫ぶ剣士
迷惑この上ない
「何んすか、これっ!? 腹の中がすんげ~冷たいっす!なんなの?これっ?マジすげー!イヤ何?」
ド素人丸出しの感想
「小説家になろう!」のどこかの主人公を見習ってほしいモノである
剣士がビールの代金の金貨1枚をカウンターに載せた
どうやら、気に行ったら支払いをするシステムらしい
しかしビール1杯に金貨1枚(10万円)
原価率1%以下!
「小説家になろう!」のどこかのお店真っ青のぼったくりである
「マスターもう一杯!」
そういう剣士に店主が忠言をします
「注文があればお出ししますが、結構お腹膨れますよ?それと冷え過ぎてお腹壊しますよ?」
大丈夫っすよ~、オレ身体だけは丈夫だし~
そう言って2杯目を飲み出す剣士
~30分後~
「マジギモチワルイ・・・ハラガイタイ・・・ハキソウ・・・」
カウンターに突っ伏して潰れている剣士がいた
本当に迷惑な話である