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1 剣士と冷房

<カランカラン>


とある酒場にベルをならして剣士が入ってきた





「ち~っす!あ~あちーっ、暑すぎるっ!あ~涼しい~っ」


挨拶なのか、文句なのか、楽しんでいるのか、入ってくるなりとんでもない挨拶をする美青年





金髪碧眼で引き締まった身体


どこでも、たとえ未開の野蛮人の所にいってもハーレムが作れそうなほどの美形である


古代なら光輝く?


少し前ならオーラがにじみ出ている?


現代ならば『えろまんがフラッシュ』を常時発動している?


だろうか






装備もスゴイことになっている





胸の鎧は速度重視の皮鎧である


でも、その色は金色であった


大事なことなので二度言う


金色である


あきらかに普通の皮ではない


現代風に言うなら「そんな皮の動物は知らない!」?


だろうか






いったい幾らかかっているんだろう?


1億?


2億?


怖くて聞けない






おそらくは聞くと教えてくれるだろうけど、とんでもない答えが返ってくることだろう


もしも聞く機会があったとき、聞く聞かないはおまかせする


なお、二世代も昔風に言うならば「聞いて後悔しても当方は一切感知しないのでそのつもりで」、であることをご記憶願いたい


といったナレーションが勝手に頭の中で再生されるくらいのレベルだろうか?







腰につけている剣の鞘は黒く、それでいて艶がある


どう見ても工芸品、いやどこかの王族の宝物殿にあるのが相応しい


誰が見ても、たとえ剣に素人の村人が見てもそう思うであろう


だれもが傷でもつけたらとんでもない賠償金を請求されると感じるレベルである


いや、支払えなくて奴隷にでも売り飛ばされそうである





「そんなものカンタンに腰につけて歩きまわるな!」


まわりに居る人間は常にそう思っていることだろう






顔、身体、鎧、剣


どれをとっても当代一級品である


しかし、態度で台なしになっている





ふた昔前なら「不良」?


少し昔なら「チーマー」?


現代風ならば「チャラ男」?


だろうか






数多ある長所を台無しにするほどの残念さ!


さしずめ『残念イケメン剣士』?







そんな剣士が入った酒場は床、壁、天井、カウンターすべてが見事な木材で作られていた


もちろんテーブルやイスもである


天井には大きなプロペラがゆっくり回っている


そして壁に掛けられたクーラー





そのクーラーの吹き出し口の真下に陣取り、冷風をその身に浴びる剣士


「いいすね~、この魔道具!おれの家にも欲しいっす!」


クーラーを魔道具と呼び、皮鎧と剣を帯刀している


誰が見ても異世界の住人であることはあきらかである


本人も自分が場違いなこと、いや、この酒場が普通でないことはわかっているだろう


それにもかかわらず、傍若無人な態度をとる


結構いい性格をしている







「あ~きもちいいわ~~~」


冷風にあたりまくり、幸せな顔をする剣士


他にも客がいるというのに、すさまじいKYっぷりである


他の客から冷たい視線を向けられているのにも気が付きやしない


本当にイイ性格である


いや案外、気が付いているけれどゴーインにマイウエイか、おばかキャラかもしれない






だからといって何やっても許されるわけではない


「ちょっと!風がこないじゃないの!」


案の定、他の客に怒られた


本当に中身が残念な剣士である

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