勇者召喚~まぁ現実はこうなるだろうなw~
なんか書きたくなったので、練習に。
拙い文章ですが目をつむって読んで下さい。
「異世界の勇者様方!どうか我々をお助けください!」
第一声をそう発したのは、お姫様な格好をした胸が大きい美少女だった。胸が大きい美少女だった(←重要)。
なにいってるんだと思うだろう。お前は変態かと。
それは否定しないが、そうでもしてないとやりきれない状況に俺とクラスメイト達はいる。
朝6時に起床。いつものように自転車で登校。教室に入る。
朝のSHRが始まる。中世風内装をした宮殿らしきところにいる。
そう。いつのまにかここにいた。なんでだ。
まぁ考えてもしょうがないので辺りを観察しよう。
彼女の周りには全身を鎧で固めた騎士とおぼしき男たちが5人立っていた。そして、その少し後ろには王様、大臣、そして魔法使い然としたジジイたちがいた。
俺の周りには、31人のクラスメイトたちが立っている。
それも巨大な魔法陣の上にだ。
「こ、此処はどこなのでしょうか!」
状況が理解できずフリーズしていた俺たちのなかで、一番早く再起動したのは天月 雄世だった。
俺?美少女の胸が気になってそれどころじゃあない。
それはともかく、天月はイケメンで正義感が強い上に運動神経抜群、可愛い彼女もいるというクラスの中心人物だ。
その天月が言葉を発したために皆の注目が彼に一気に集まった。
「此処は、マリアール王国でございます。我々は、度重なる魔族の侵略によってもはや滅ぶ一歩出前になっているのです。その為、王家に伝わる勇者召喚の儀式によってあなた様がたを御呼びさせていただきました。」
聞いてもいないのに召喚の理由までいったよ。
つまり、自分たちが滅びそうだけども魔族が強すぎて手に負えないから異世界から勇者を呼んで助けてもらおうって考えだ。
うんこ野郎どもだなw
「でも僕たちには何の力もありません!なぜ僕たちが呼ばれたのですか?」
テンプレートな質問とにはテンプレートな答が返ってくる。
「今回の召喚は5回目ですが今までの勇者様方はそれこそ様々な力を授かっていました。ですから、今回も強力な『スキル』を授かっていると思われます。」
はいテンプレ~。なんていうかな、絶対天月は勇者だよな。あいつ主人公体質だからな。
「それでは皆様に自分のステータスの見方をお教えします。あれを!」
姫様が手を二回叩くと、後ろにいた魔法使い然としたジジイが銀色をした金属板をもって来た。
彼女はそれを一枚取り上げて持つと、皆に見えるように動かした。
大きさは横5×縦10センチほど。そんなに重くもなさそうだ。
「これを今から一人に一枚ずつお渡しします。受け取ったら板に指を置いてください。数秒で自分のステータスが浮かび上がって見れるようになります。」
前のやつから渡された板を一枚とり、後ろのやつに手渡す。
言われた通り指を板に置くと、板の表面に文字が浮かび上がって来た。しかも日本語だった。
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【ステータス】
【名前】八咫 善人
【性別】男性
【種族】人族
【職業】商人
【称号】金の亡者
【Lv】1
【HP】50
【MP】10
【STR】2
【INT】5
【VIT】5
【AGI】2
【DEX】5
【魔法属性】風
【スキル】 『調合』『詳細鑑定』『能面』『刻印』『魔力感知』『翻訳』
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これは・・・。うん、予想してたけどさ。
弱い。なぜわかるかだって?
「すげぇ!天月お前、職業『英雄』じゃん!」
「私は大魔導師!」
「俺の聖騎士、STR50あるぞ!」
「俺のジョブ弓師だけどステータス全部20超えてるぞ!」
周りからなんか聞こえてくるんだもん。
いやマジで。
聖騎士とか英雄とかさぁ。なにその職業。
中2じゃないんだよ。羨ましい。
ショボいやつでも俺の4倍以上あるっぽいし。
いや、俺確かに商人かもしれんよ?
お金大好きだし金儲け大好きだし。よく皆から「お前金大好きだな」って言われてるし。
はぁ。まぁいいや。
「皆さん!」
しばらくたち、俺達のザワザワが収まってきたところで姫様は声を張り上げた。
「見て頂けましたか。この銀色の板、通称ステータスボードの中の『スキル』というのは勇者様の行動を補助するものです。普通は経験を積むことによって得ることができるものなのですが、勇者様方にはこの世界に転移する際に付与されています。」
「おそらく勇者様方は一人一人が強力なスキルをお持ちでしょう。どうか我々マリアール王国、いや、世界をお救いください!」
姫様は目に涙を浮かべながら深々とお辞儀をした。それを見た俺はとても感動し――――――たわけ無いだろ。
何で他人のために命捨てなくちゃならんのだ。
これで「わかりました!」とか言うやつアホだわ。
「わかりました!」
いや、アホが一人いた。声の方向に顔をむけると、強い決意を胸に抱いた顔( )で天月がたっていた。
「もう泣かないでください。僕たち皆で力を合わせれば・・・世界だって救えるはずだ!」
金八○生かよ。
「皆もそう思うだろ?!」
少なくとも俺は思わない。沈黙があたりを支配した。
天月がキョロキョロと辺りを見回した。
不意に一人の女子が声をあげた。
「私も、天月君と同意見だ。」
沈黙を破ったのは雨照 濡羽だった。水に濡れたような艶やかな黒髪、切れ長の目、すぅっと通った鼻筋。クールな印象の美少女だ。そして天月の正妻にあたる。
その美貌ゆえに、男子からも女子からも人気が高い。
彼女が天月の意見に同意したことで次々とクラスの奴等は「僕も」「俺も」「私も」と天月の近くによっていく。
俺もとりあえず無言で近くによっといた。
この空気で断る奴は凄いと思う。俺空気読める人なn(迫真)
「ありがとうございます!勇者様方!」
姫様が再び深々とお辞儀をした。
「それではこの紙にそれぞれのジョブとスキルを書いていってください。全員が書き終わったあと部屋にご案内させていただきます。」
姫様の指示で一人一人紙に書いたあと、部屋に案内された。メイドの話によると明日の朝詳しく話をし、それぞれの職業にあった訓練をするのだとか。
商人の訓練ってあるのか?
それまでは部屋で待機と言われた。
「では、私はこれで失礼します。ご用の際はベッドの横のヒモを引っ張ってください。」
何にもすることがない俺は寝た。
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柔らかな光が俺の顔を照らしている。朝か。
「いまだに信じられないな。」
俺はベッドから起き上がると、服を着た。目を擦っても、何をしても自分のステータスは変わらなかった。
商人。戦闘能力は平均以下。スキルは意味解らん。
これからどうなるのか。そんなことを悶々と考え続けながら俺はメイドの案内のもと、食堂へと向かった。
はぁ。帰りたいわ。
俺が食堂についた時には、皆席についていた。どうやら俺以外はもう来ていたようだった。
何人かの生徒から、責めるような視線が送られる。主に天月とその愉快な仲間たちからだ。
なんか文句あっか。
このハーレムヤリ○ン野郎が。羨ましい。
食堂内(王族御用達)の中に、お姫様の声が響いた。
「それではようやく全員揃ったようですので、勇者様方の今後の予定を発表させていただきます。職業ごとに違いますので、よく聞いておいてください。」
お姫様はそう言うと、手元にあった羊皮紙らしきものを読み上げ始めた。
「天月様は特殊な職業である『勇者』をお持ちになっています。また、雨照様は『聖女』、如月様は『聖騎士』、麻白様は『大魔導師』などと言った『ユニーク』の方々は王立学院に通っていただきます。」
「その他の戦闘系職業のかた方も王立学院に通っていただきます。」
あれ?俺は?まさかスルー?
商人はどうなるの、?
まぁトル○ネコさんも戦う商人だし?戦闘系だよね。
「えー、大変言いにくいことなのですが、唯一の生産系職業である八咫様は・・・・・・・・。」
ゴクリ、と静まり返った食堂に俺の唾を飲み込む音が響く。
「1ヶ月ほど、城内でこの世界の常識を学んでいただいた後、活動資金をお渡しします。」
「その後は、ご自由に。」
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1ヶ月後、城下で餓死した異世界人が見つかったとの報告があったと言う。
遺体は誰にも引き取られず、共同墓地に葬られた。
名もない墓は、風化し今では跡形もない。
異世界転移の現実なんてこんなもんだ。
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