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HIKARI  作者: 奏瑠*°
9/12

軍の青年

「…ん」

少女は目を覚ました。

硬くひんやりとしたコンクリートの床の上でうずくまっていた。

『起きた?』

声が聞こえた。

さっきの軍人とは違う、優しい声だった。

少女は目を開けた。

鉄格子の向こうに、若い青年が座っていた。

少女は身体を起こそうとしたが…

「あっ…」

身体を起こした瞬間、髪の毛が肩を撫でた。

「嘘…」

少女の腰まであった綺麗な長髪は、肩のところで無残に切られていた。

『ごめん、反対したんだけど、人の髪の毛はこの国ではかなり高く売れるんだ。特に、長い髪は。…本当にごめん』

青年はそう言って、鉄格子の鍵を開け、中に入ってきた。

「…こないで!」

少女は力のない声で小さく叫んだ。

しかし、青年は少女に近づいてくる。

「…私、もう何も持ってない。貴方達が全部奪ったんだから!」

青年は少女の目の前でしゃがんだ。

初めて、目を合わせた。

青年は、氷のように透き通った、薄青の目をしていた。

青年は、ポケットから水の入ったペットボトルと包帯とガーゼを取り出した。

『水で洗わないと、化膿するよ』

そう言って、全身にできた擦り傷切り傷を手当てしてくれた。

『ほら』

肩からさげている小さなカバンから、パンと水を取り出した。

『お腹空いてるでしょ?これだけしかないけど…、はい、どうぞ』

「ぁ、ありがとぅ…」

少女はもどかしそうにお礼を言った。

そして、続けてこう言った。

「どうして助けてくれるの?」

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