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食べ物
「大丈夫?」
少年の声で、少女は目が覚めた。
「昨日、急に倒れてびっくりしたよ」
少年は呆れ笑いで言った。
「ごめんなさい」
「いやいや、大丈夫だよ。さあ、朝ごはん食べようか」
少女は、少年が準備してくれた朝ごはんを食べた。
「…そういえば、…私達は生きていけるのかしら?」
少女は、食べる手を止めて言った。
「なんでそう思うの?」
「だって、いくら機械や端末で食べ物を生産してるとはいえ、その端末を操作するのは人間なのよ。でも、もう誰も操作しないから…」
「そっか…」
少年も食べる手を止めた。
「でも…」
「何?」
「みんなは死んでしまった。でも、もしかしたら生き残った人が他にもいるかもしれない。それに、こんなことになったのは日本だけかも。だったら、外国の人々が助けてくれるよ」
「…そうね」
それから、食べ終わるまで沈黙が続いた。