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社会について

あくまでも僕自身の考えですので、すべてが正解というわけではないです。

「これからの日本はどうなると思う?」

「日本? ずいぶんと規模のデカイ話だな」

「だってTPPに参加しそうだし、増税するし、アベノミクスしてるし、ちょっと前だと地震とかも続いたし、ゲリラ豪雨とかもすごいじゃない? このまま日本っていう国はなくなっちゃうような気がするじゃない」

「悪いところだけ上げればな。オリンピックだって決まったじゃん」

「そうかもしれないけど、そこまでに景気が回復してればいいわよ。TPPで関税がなんちゃらとかって言ってるなら、そもそも参加しなければいいじゃない」

「え、何? 怒ってる?」

「いつもどおりよ」

「さいですか。つまり反対派ってわけだ。でも参加することで利益になることもあるわけだろ。だったらプラスが多い選択肢を選ぶだろ」

「工業品とかの輸入が利益になって、逆に農業品に大打撃よ。輸出するときの関税が無くなって、安いものを輸入できて、それがそのままスーパーに並んだりするのよ? それなら私たちは安い方を買うじゃない?」

「よくわかんない外国のお菓子でも、安かったらとりあえず買ってみてもいいかなーって思うもんな」

「そうなると外国のものがスーパーにたくさん並んで、日本産のものが減っていくのよ。スーパーとかコンビニとかでも、たくさん売れて利益になるものを並べたほうが売上につながるしね。そこで起こってくるのが価格戦争よ」

「安いものをより売るためには、安く提供するのが手っ取り早い、ってやつか」

「もしも今までと同じ方法で、同じ物を安く提供する場合、あなたならどうする?」

「普通、利益になる部分を減らすだろ。500円で売ってたもので200円の利益が出るとしたら、それを100円に抑えれば100円安くできる」

「半分正解」

「半分?」

「それだと会社が儲からないのよ。売れば売るほど赤字になる、っていうケースが多くなってくるかもしれないじゃない」

「それ、一部のケースだろ?」

「損得勘定は常にいろいろなケースを考えないとダメよ。じゃあどうするのか。会社として使うお金を減らせばいいのよ。極端な話、全部自社で作ればいいのよ。材料から何まで作って、家族経営にしちゃえば大丈夫よ」

「そんなのできんの?」

「極端な例ね。でも削れるところはわかったでしょ。そう考えていくと、食品を扱っているところなら、『材料費・人件費・光熱費』の3つが削れるところなのよ」

「材料費って削れんの?」

「削ろうと思えばいくらでも削れるわよ。でも削りすぎると、味が変わったり質が落ちたりする。でもでも、本当に微妙な、とても機械じゃないとわからないような差なら、削っても大丈夫じゃない」

「それって……」

「そうよ。最近あった食品のメニューの表示偽造問題とかも、その影響を少なからず受けてるってことよね」

「安くしようとすれば質が落ちて、それをごまかそうとすれば違法になる」

「でもさっき言ったように材料費を削らなくても、まだ人件費と光熱費が残ってるじゃない。って言っても、光熱費なんて省エネを心がけて節電とかを徹底するだけだけどね。髪洗ってる時にシャワーを止めるだけでだいぶ違うのよ。普通に出しっぱなしにしてたら、一般家庭の浴槽分ぐらいは使ってるのよ」

「そんなにかよ!」

「個人差はあるけどね。まぁ光熱費はそんなところよ。残ったのが人件費」

「これは……言わなくてもわかる気がする。人員の削減と一人あたりの賃金の削減だろ?」

「んー、7割くらい正解かな。ただ人員削減をしたら『物を作る』という過程で支障が出てくるし、ただ賃金を減らしたら辞めていっちゃう人もいるじゃない?」

「じゃあどうすんだよ」

「『人員の整理と機械化』が正解だと思うの。有能な人を残して仕事ができない人は辞めてもらう。その人が辞めたところを機械で出来るようにして補う。機械でできないところを有能な人で補う。そうすれば賃金は下げなくても大丈夫でしょ? もちろん機械を買うお金はかかるけど、長い目で見れば機械のほうがコスパで見ればお得なはずよ」

「お得って、人間と機械を損得で考えるなよ」

「あら。経営には必要な感情よ。常に損得で考えるのよ。ムダを省いて利益を伸ばす。赤字なら切り捨てて、黒字なら伸ばす。これは大事なことじゃない?」

「そうかもしれないけど、人間には道徳心っていうものがあってだな、すべてを損得で考えたらいけない時があるだろ」

「でもその感情のせいで、何人もの家庭を持っている人が路頭をさまようことになるかもしれないのよ? 経営っていうのはそういうことなの。だから路頭にさまようかもしれない未来を恐れて、農家の人たちはTPPへの参加を反対していたりするのよ」

「……俺、経営には向いてなさそうだわ」

「私もそう思うわ」

「逆にお前ならうまくできそう」

「そんなことないわ。今言った通りだと、労働基準法に引っかかるのよ。有能な人たちが機械のできないことを補うとは言っても、日本では労働基準法が制定されていて、年間だったり月間で働いていい時間数が決まっているのよ。『これ以上は働いたらダメですよー』『働きすぎて身体に害を及ぼしますよー』『やめてください、死んでしまいます』的なね。でも機械だけだと動けないし、有能な人が何人もいるわけじゃないから、その人たちが毎日出勤するとなるとその法律に引っかかる」

「じゃあどうするんだ?」

「ブラック企業って知ってる?」

「マジかよ」

「そういうことよ。国に提出している労働時間より働けばいいのよ。見つからなければ違法じゃないし、バレなければいいのよ」

「でもバレたらどうなるんだ?」

「まぁ営業停止だったり、最悪会社は倒産ね」

「そんなリスクを冒してまで働く意味ってなんなんだよ」

「なんだと思う?」

「お金のため?」

「人はお金がないと生きていけないからね。お金がなくても幸せかもしれないけど、お金がないと生きていけないのよ。生活をするために働いているはずなのに、働くために身体をボロボロにしている人もいるのよ。(こく)よね」

「ひどい社会だな」

「そんな中でも、世界にはいろんな国があるし、いろんな社会もあるわ。その中でも日本で住んでいるのにはいろいろ理由があると思うの」

「ほうほう」

「それはまた次回」

「続くのか」

次回に続きます。

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