恋愛について
「告白ってさ、どうやってするのが正解だと思う?」
「何? 急に改まってどうしたの? 病気?」
「いや、なかなか落ちてくれない誰かさんをどうしたら落とせるのかなぁって思ってさ」
「なんだ恋愛相談か。ビックリしたわー。ビックリついでにハンバーグ投げつけるところだったわ」
「食べ物は大切に。で、正解は?」
「恋に正解なんてないって誰かが言ってた」
「恋に正解はなくても、告白に不正解はあるでしょ」
「確かに。メールやなんかで言うのはダメとかね」
「どうしてメールはダメなのに、ラブレターはいいんだ?」
「気持ちが伝わってくるから? 手書きだし」
「文通相手に手紙で伝えるならいいさ。でも今日びそんな風にする人なんていないだろ」
「根本的に直接言わない男は女々しいよね」
「じゃあ直接言うのが正解?」
「そんなことないんじゃないかな。別にメールでもいいと思うよ。気持ちが伝われば」
「伝わればな」
「うん。伝わればね」
「伝わらない時はどうしたらいいんだ?」
「脈なしだったって諦められるじゃん。告白して直接振られるよりも損害は大きくないよ」
「でも次の日からどんな顔して会えばいいのかわからなくなって、結局疎遠になって消えてくパターンだよな。それならいっそのこと玉砕したほうがマシかも」
「おー。男らしい」
「ドヤァ」
「でも暑苦しいのももうダメだよね。存在が不正解」
「ズバッと言うね。どこらへんまでが暑苦しいなのさ」
「多分人によりけりだと思うけど、私的には大声出す人は暑苦しいかな」
「基準がわからん」
「男子が言うところの『ぽっちゃり』と同じ感覚じゃないかな。そのくらい男と女の視点は違うんだよ」
「難しいな」
「元々は違う生き物なんだから相手の価値観なんてわかるもんじゃないって」
「その価値観を乗り越えた先に恋人っていう存在があって、さらにその先にあるのが結婚か」
「結婚だけが全てじゃないと思うけどね」
「ん?」
「交際して結婚するっていうことだけが男と女の全てじゃないってこと。好きな人と一緒にいられるだけでいいっていう人もいれば、好きっていう気持ちを確かめたいがためにイチャイチャして喧嘩して仲直りしてっていうのを望んでる人もいるじゃない」
「じゃあ付き合うっていう行為は必要ないってこと?」
「彼氏彼女の関係じゃないと見えてこないものもあるから、一概に必要ないとは言えないけど、相手のことを知るだけならこんな会話でも知れるし」
「こんな会話とな。こんな会話は楽しいかい?」
「楽しいよ」
「フッ。嬉しいよ」
「それは良かった」