童話 魔法使い見習いスティカの成長
あるところに、小さな女の子がいました。
その女の子の名前はスティカ。
とても頑張り屋さんな女の子です。
そんな女の子、スティカは魔法使いになるために一生懸命。
お師匠様の元で、毎日修行に励みます。
けれど、全然成果がでないため、スティカは焦ってしまいます。
もっとたくさん力をつけたい。
そう思ったスティカは、自分の魔法の力を上げるために、故郷を飛び出してしまいました。
その日からスティカは、使い魔の黒猫と共に、色々な町や村へと向かいます。
けれど、どこにも一足飛びに力をつける方法はありませんでした。
どの町や村の魔法使いも、力を強くするには地道な修行が必要だと言います。
がっかりしたスティカが故郷に帰ろうとした時、ある情報が飛び込んできます。
危ない森の、深くにある特別な植物が、魔法使いの力を高めてくれる。
ーーというものです。
その話を聞きつけたスティカは、迷う事なく森へ向かいました。
だけど森は、話通り危険なところ。
スティカは何度も危ない目にあってしまいます。
狂暴な動物や自然の驚異にさらされる度に、スティカは帰りたいと思うようになりました。
けれど、臆病な心に活を入れて、スティカは前に進んでいきます。
そんなスティカの心に答えるために、使い魔も頑張りますが、ある時怪我をしてしまいます。
もうすぐ森の奥にいけるけれど、使い魔を助けるためには、戻って人里にいる動物のお医者さんに診せてあげなければいけません。
魔法使いは色々な魔法を使えますが、何かを治したり、生き物を癒す事ができないからです。
スティカは悔しい気持ちをおさえて、森から去る事にしました。
そのかいあって、使い魔はすっかり元気になります。
スティカはその後、もう一度森の奥へ向かうのですが、なぜか以前より強くなっていました。
それは、自分のためでなく、大切な誰かのために行動したいという、スティカの精神的な成長の結果でした。
魔法使いの力のアップは地道な修行が必要ですが、もう一つ、心が成長した時にも上がる事があるのです。
それに気づいたスティカは、森の奥を目指すことをやめて、故郷に帰る事に決めました。
お師匠様の元に戻ったスティカは、心配をかけたことでたくさん叱られましたが、成長した事もたくさん褒めてもらえました。