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第70話 魔道具で湿度管理!〜レンの試作は続く〜

翌日。放課後の鐘が鳴ると同時に、レンはまっすぐ実習棟へ向かった。


昨日完成させた温度計は、まずまずの出来だった。あとはもう一つ──湿度計が必要だ。発酵は、温度だけではなく湿度にも大きく左右される。最適な条件を探るには、両方の数値が揃っていなければならない。


(今日は湿度計の試作品に取り掛かろう)


工房に着くと、ドアを開けるより早く中から声が飛んできた。


「遅いぞ、レン!」


思わず足を止める。アスター教授が、既に椅子に座って待ち構えていた。


「……どうしているんですか」


「君が来るのは分かっていたからな! さて、次は湿度計だろう? 設計図を見せてくれ!」


レンは苦笑しながら鞄から丁寧に畳んだ設計図を取り出し、机の上に広げた。


「この繊維──湿気を吸収すると伸縮する性質があります。これを使って、湿度に応じて微小な変化を捉え、魔力信号に変換して表示水晶に送る構造にしました」


「ふむふむ、魔草繊維か。なるほど、物理変化を術式で拾って魔石に記録するわけだな。……そして、この部分で感度を補正しとるのか。ここの魔力制御回路は暴走防止か。なるほど、よく考えられておる!」


教授は目を輝かせて図面を指でなぞり、しきりに頷く。


「君の回路は、無駄が少ない。だが、それ以上に“何が必要か”を見極める目があるな。実に見事だ」


レンは頬をかすかに赤くしながら、作業に取りかかった。


まずは魔草繊維の前処理。湿気に対して一定の反応を示すよう、熱処理と軽い魔力浸透を行う。レンは慎重に温度を管理しながら、それを炉から取り出した。


次に、感知回路と変換回路の術式刻印。ここでクロエが補助を入れる。


『感知回路、構造安定。変換ラインとの接続点にズレあり。0.3ミリ調整を推奨』


「ありがとう、クロエ。微調整する」


術式は魔法文字の細かい流れが命。一本でもズレれば精度が大きく下がる。レンは呼吸を整えながら、刻印を彫り進めていく。


「ほう……集中しておるな。彫る手つきに迷いがない。……まるで、職人のようだ」


教授の声も、どこか嬉しそうだった。


数時間後──試作品が完成した。


レンは小さく魔力を注いで起動させる。表示水晶には「49%」と、淡く数字が浮かび上がった。


「成功……です」


「おおっ、やはりやりおったか! 誤差は?」


「±2%以内には収まっています。もう少し微調整すれば、さらに精度を上げられるかと」


「いやはや、若者の発想力とは恐ろしい……。わしも刺激を受けるわい!」


教授は満足そうに深く頷いた。


レンは苦笑しつつも、どこか嬉しかった。


(これで、テンペ魔道具の準備が整いつつある……)


次は、マルゴじいさんのところで実地観察だ。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!


今回は、つけ豆魔道具製作の第一歩として、湿度計の開発に取り組むレンの様子を描きました。温度計に続き、湿度という目に見えないものを魔道具で測るという挑戦に、教授もすっかり夢中です(笑)


次回はいよいよマルゴじいさんのもとへ計測器を持って再訪し、本格的な観察とデータ収集が始まります。レンの魔道具作りは、まだまだ発展途上。ここからどう精密な「発酵環境制御バッグ」へと進化していくのか、ぜひご期待ください!


次回もよろしくお願いいたします。

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