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第28話 科学の限界と魔法の本質 〜創造の世界〜

「では、次はいよいよ土魔法ですわ」


ラネアの言葉に、レンは静かに息を整えた。

これまでの火・水・風の習得で魔法の感覚も少しずつ掴めてきた。

だが、土魔法はどこか今までとは違うものになる――そんな予感があった。


**


「土魔法は……どういう風に使うんですか?」


素直な疑問を投げかけるレンに、ラネアは微笑んで答えた。


「基本は、土を作り出すのですわ。

火で炎を生み、水で水を出し、風で流れを作るように――

土もまた、何もない場所に現れるのですのよ」


「……土も、"無"から生み出すんですか?」


「ええ。火や水と同じですわ」


ラネアは軽く手をかざす。

すると彼女の掌の前に、ふわりと茶色の土塊が現れ、ぽとりと地面に落ちた。


**


(……本当に、"生まれた"。)


レンはしばし言葉を失った。


**


クロエが静かに補足する。


《確認:周囲環境に依存せず、魔力のみで土粒子の物質生成が行われています》


「……つまり、空気中の成分を集めているわけでもない?」


《その形跡は検出できません。完全生成現象と推定》


**


レンの中で、今まで積み上げてきた理論が静かに崩れていく感覚があった。


火は熱を生み出すエネルギー変換だと解釈できた。

水は空気中の水蒸気を凝結させていると思い込んでいた。

風は対流による流れの操作。


だが――土は違った。


そもそも、何も存在していない空間に、物質が生まれているのだ。


**


(……これはもう、完全に創造じゃないか)


**


「土の硬さや柔らかさを変えるのも、作り替えてるんですか?」


「もちろんですわ。

細かな粒子の結びつきを緩めれば柔らかく、強く結びつければ硬くなりますの。

火が炎から爆炎、煙、熱風と派生するように――土もまた変化するのですわ」


「……つまり、状態変化の制御、というわけですか」


「そうですわ。どの魔法も基本は同じ理屈ですのよ」


**


レンは深く考え込んだ。


(俺は……最初から"誤解"してたのかもしれない)


**


火も、水も、風も――

「自然にあるものを操っている」と思い込んでいた。

だが違う。

そもそも存在していないものを、魔力が作り出していたのだ。


**


(これは……科学の延長じゃない。

超常現象そのものだ。)


**


クロエが静かに告げる。


《魔法現象、現段階では「世界法則の直接改変作用」と分類。

既存科学体系の拡張理論構築が必要》


「……つまり、一度すべてを壊して、最初から理屈を組み直せってことか」


**


レンはふっと息を吐き、わずかに笑った。

混乱しているはずなのに、どこか心は静かだった。


(――いいだろう。なら、その"新しい理屈"を探してやる)


科学者の挑戦は、ここから本当の意味で始まるのだった。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

マイペースな更新ですが、引き続き楽しんでいただければ嬉しいです。


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