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第27話 風魔法応用 〜制御ミスによる暴走〜

風魔法の基本原理を掴み、順調に練習を進めていたレン。

次なる課題は出力の調整だった。


**


「それでは、少し強めの風を出せるように練習してみましょう」


ラネアが微笑みながら提案する。


「分かりました。あまり無理はしないようにやってみます」


**


レンは慎重に魔力を流し始めた。

今までよりわずかに多く、けれど暴走しないように――


(よし、まずは周囲の空気を加熱……温度差を広げすぎないように……)


火魔法の経験を活かし、空気の温度をじわりと上げていく。

周囲との温度差が生まれ、ゆるやかな上昇気流が発生。

その流れに合わせて周囲の冷気が流れ込み、自然と風が生まれていく。


**


ふわり、と心地よい風がレンの手のひらから流れ出した。


「お見事ですわ! とても安定してますのよ」


クロエが即座に報告する。


《風速:1.3m/s、制御安定、魔力量正常範囲》


(ふむ、ここまでは順調だな……)


**


しかし、少し欲を出してみたくなった。


(もう少しだけ、温度差を広げればもっと風量が増えるはず……)


慎重に、ほんのわずか温度上昇幅を広げる。

すると――


――ゴォッ!


予想以上に強い突風が生まれ、ラネアのスカートが大きく舞い上がった。


「きゃっ!?」


「うわ、しまった!」


**


クロエが警告を発する。


《温度差制御偏差発生。

局所圧力差拡大による乱流形成確認。安全値超過》


レンは慌てて魔力の流れを切った。


風はすぐに収まり、静けさが戻る。


**


「……これは、今までと違いますわね」


「完全に制御ミスです。魔力量を増やしたわけじゃないのに、温度差が僅かにズレただけで暴走しかけた……」


**


レンは反省しつつも、興味深そうに顎に手を当てた。


(風は力じゃなく、バランスだ……。

温度差の微調整がすべてを左右する。

これは実に面白い現象だな……!)


**


クロエが静かに分析結果を続ける。


《今後は温度制御の精度向上が必要です。

高出力時ほど偏差補正が重要となります》


「だな。……これはまた面白い課題ができた」


**


科学と魔法の融合は、失敗の中から新たな理論を生み出していく。


それこそが科学者レンの成長の証だった。

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