第24話 水魔法訓練 〜科学者の逆転発想〜
「今日からは水魔法の練習に入りましょう」
訓練場所は川辺。ラネアの提案で移動してきた。
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「水魔法は、火とはまた少し感覚が異なりますわ。
この場所の方が練習には向いておりますの」
「……なぜですか?」
「なぜか水のそばだと、水魔法は上手くいきやすいのですの。
水の気配が濃いと言いますか……理屈はわかりませんけれど」
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(つまり……水蒸気が多いってことだな)
レンは内心で科学的に整理した。
クロエも補足する。
《周囲の水蒸気濃度は通常より高めです。凝集操作には有利です》
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レンは魔力を流し、手のひらに水を集めるイメージを繰り返した。
だが――
水滴は現れない。
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「……火より難しいですね」
「焦らず、ゆっくりですわ」
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何度も試みたが、水滴はまったく生まれない。
(……水蒸気を凝縮させるには、温度を下げる必要があるのか)
クロエが補足する。
《凝集には局所冷却が有効です。しかし直接冷却は現在の制御では困難です》
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レンはしばらく考え込む。
(熱を奪う? 蒸発冷却?……いや、水を作れなきゃ蒸発すらできない)
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(なら、別のアプローチだ)
ふと頭に浮かんだのは、火魔法の訓練で学んだ「熱を生み出す感覚」だった。
(俺は魔力から熱を作れる。
なら、その熱で――空気を膨張させれば?)
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クロエがすぐに応答する。
《断熱膨張理論、適用可能。
局所的な空気膨張により圧力低下、温度降下を誘発できます》
「つまり、熱を生み出して空気をわずかに膨らませることで冷やせる、ってことか」
《その通りです。火魔法制御技術の応用が可能》
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レンはゆっくりと魔力を流した。
火を灯すのではなく、微弱な熱を生み出して、手のひらの周囲の空気をわずかに温める。
温まった空気はわずかに膨張し、周囲の圧力が下がる――
結果、局所的に温度が下がり始めた。
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(……冷えてきた)
しばらくすると、空気中の水蒸気が凝集を始め――
ポタリ、と水滴が浮かび上がった。
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「出ましたわね! 素晴らしいですわ!」
「……やっとできた……」
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クロエが淡々と報告する。
《水分生成量:0.8ml。断熱膨張冷却成功。今後の安定化訓練が推奨されます》
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(火と水――まったく逆に見えて、繋がっていたわけか)
科学と魔法は、また一歩交差し始めていた。
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