第22話 循環訓練 〜流れを整える〜
「――やっぱり、魔力量って……増えないんですか?」
朝の訓練前、レンはラネアに改めて問いかけた。
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ラネアは、少し困ったように苦笑する。
「ええ、残念ながら……。
魔力量は基本的に、生まれ持った器の大きさでほぼ決まっておりますの。
成長期が終われば、自然に増えることはほとんどありませんわ」
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レンは軽く頷いた。
もはや驚きはない。前回の魔力切れの際に、ある程度は予想していた答えだった。
(……まあ、そうだよな)
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「ですが――」
ラネアは続ける。
「訓練によって、魔力の流し方や使い方は大きく改善できますわ。
同じ魔力量でも、無駄なく綺麗に流せば負担も少なく、長く使えますのよ」
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(総量は諦める。でも効率は伸ばせる)
レンの頭の中では、すでに切り替えが終わっていた。
事実を受け入れたあとは、どう活かすかを考える――それが科学者の性分だった。
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「じゃあ、今日はその“流れを整える訓練”ってやつを、教えてください」
「承知しましたわ!」
ラネアは嬉しそうに微笑み、早速準備を始める。
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「流れを整えるには、まず身体の中を巡る魔力の感覚をしっかり掴むことが大切ですの。
乱れていた流れを穏やかに、なめらかに整えていくイメージですわ」
「……水の流れを整えるみたいな?」
「まさに、それに近いですわ。
急激に流せば渦ができて乱れますし、弱すぎれば停滞します。
ゆったりと、でも止まらず――静かな川を思い描くのですの」
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レンは目を閉じ、静かに魔力を流し始めた。
意識を腹部から指先までゆっくりと巡らせる。
雑念を払い、滑らかな流れをイメージする。
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(今までは"押し出す"ことばかり考えていたけど……
本当は"整える"作業だったのか)
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クロエが静かに補助報告を入れる。
《流速安定。乱流要素低下。循環抵抗5%減少》
(ほう……数字でも効果が出てきたか)
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火種を生む訓練から、いまは体内の基礎設計を整える訓練へ。
新たな成長の土台作りが、ゆっくりと始まっていた。
本日もお読みいただきありがとうございます!
ここ数日は少し多めに更新していましたが、今日はちょっと控えめに進めようと思います。
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