第21話 魔力切れ 〜初めての限界〜
安定した火種が、指先に柔らかく揺らいでいる。
ここまで順調に出力制御を進めてきたレンは、さらに出力を微調整しようと意識を集中した。
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(もう少しだけ……火力を上げられるはずだ)
クロエが淡々と報告する。
《現在出力:115%。出力変動安定範囲内。》
(悪くない……制御も維持できている)
だがそのとき――
レンの意識がふっと軽く揺れた。
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「……?」
一瞬、目の前が霞んだ。
立っている感覚が微妙にふわつく。
指先から、じわりと力が抜けていくのがわかる。
(これは――ただの疲労、じゃない)
めまい。
手足の痺れ。
全身の感覚が微妙に遠のいていく。
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《警告:生体反応異常。血圧低下、意識混濁兆候、神経伝達速度低下。》
クロエが緊急警告を発した。
「……マズい……」
自分でもはっきりと異常を認識する。
身体が軽く痙攣を始め、足元が揺らぎ始めた。
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「レンさん!? 危険ですわ!」
異変に気づいたラネアが駆け寄る。
「魔力切れを起こしかけています! すぐに回復を!」
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ラネアは慣れた手つきで腰のポーチから小瓶を取り出した。
淡い青色の液体――魔力回復用のポーションだ。
「レンさん、飲んでください!」
レンはわずかに頷き、ラネアに支えられながらポーションを口に流し込む。
冷たい液体が喉を通ると同時に、全身にじわじわと温かさが戻ってきた。
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「……ふぅ……」
しばらく呼吸を整えた後、ようやく頭がすっきりしてくる。
火種はすでに消えていた。
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「魔力切れ、ですって……?」
初めて聞くその言葉に、レンは驚きと興味が入り混じった表情を浮かべた。
ラネアはそっと頷く。
「ええ。魔力を使いすぎると、身体が限界を超えてしまいますの。
無理を続けると、意識障害や身体の崩壊すら招きかねません。
今回は早めに止められて良かったですわ」
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(……これが、魔力の限界……)
今まで「魔力を使う」という行為そのものが初めてだったレン。
限界という概念に、ここで初めて直面したのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
実は今回から、少しずつあとがきを書いてみようかなと思います。
異世界×AI×魔法という、少し変わった組み合わせですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
更新はしばらく頻度高めで続けていきますので、よろしければ今後もお付き合いください✨
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