表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/74

第13話 魔法発動への挑戦 〜適性診断と新たな一歩〜

「レンさん、そろそろ適性の確認をしておきましょうか」


訓練を続ける中、ラネアがそう提案してきた。


「適性……?」


「はい。魔法の属性適性と、魔力量の測定です。どちらも今後の訓練方針を決める上で重要ですわ」


**


教会の奥にある小部屋へ案内されると、そこには透明な球状の魔道具が置かれていた。

中央には淡い光を放つ結晶が静かに浮かんでいる。


「これが属性判定結晶です。手をかざして魔力を流し込んでください」


ラネアが説明するのを聞きながら、クロエが静かに報告する。


《内部構造に結晶反応体を確認。光学波長への可視変換機能と推定。》

《ただし、属性分類理論については学習データ不足のため解析不能です》


レンは軽く息を整え、これまでの訓練で掴みかけた魔力をそっと流し込んだ。


**


結晶がゆっくりと光り始める。

赤、青、緑、黄、紫──

次々と色が変化していき、最後には柔らかな白光に収束して止まった。


ラネアは目を見開き、わずかに驚きの声を漏らす。


「……全属性適性ですね! これは本当に珍しいですわ」


クロエは淡々と続ける。


《発光色の変化を観測。複数波長域すべてで活性反応を検出しました。》

《ただし、各波長の属性分類基準は不明。詳細評価は保留中です》


(つまり――反応は観測できるが、意味はわからない、か)


**


続いて魔力量の測定へ移る。

別の小型結晶に手を当て、同様に魔力を流し込む。


数値が表示されると、ラネアは優しく微笑んだ。


「魔力量は平均よりやや少なめですね。けれど、訓練を進めるには十分な量ですわ」


クロエも報告を付け加える。


《体内エネルギー循環流量:測定完了。》

《現地基準との比較評価は、学習データ不足のため判定不能です》


レンは静かに頷く。


「出力が低いなら、効率を上げればいい。制御と最適化次第で、いくらでも方法はあるさ」


**


新たな研究課題がまた一つ、頭の中に積み上がっていく。

その思考が止まる気配はなかった。


ラネアが穏やかに告げる。


「では、次回からはいよいよ魔法の発動訓練ですね」


「――お願いします」


こうして、レンは次なる挑戦――初めての魔法発動へと踏み出していくのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ