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第12話 魔力操作訓練 〜初めての流れ〜

「では、今日も始めましょうか」


ラネアの優しい声に、レンは静かに頷いた。

魔力の存在が確認されてから、数日が経っていた。


クロエが魔力循環の検知に成功して以降、訓練内容も少しずつ変わり始めている。

次なる課題は――魔力の操作だ。


**


「レンさんの中には、確かに魔力があります。ただ、それを流す感覚を覚えないと魔法は使えません」


「はい。やってみます」


ラネアの説明を受け、レンは呼吸を整えた。


**


(意識を、中心へ――)


これまで何度も繰り返してきた動作。

違うのは、今はクロエが常に体内の魔力循環を観測し、フィードバックを与えてくれることだ。


クロエの音声が静かに告げる。


《現在、微弱な循環反応安定中。流動量は低レベルです》


「レンさん、今の感覚を維持したまま、意識を少し広げてみましょう。

魔力の流れを、自分で"押し出す"ように――」


**


レンは集中を高める。

腹部の奥にわずかに漂うぬるりとした温かさ。

それを掴もうと意識を伸ばすが、すり抜けてしまう。


(くそ……また逃げる)


《循環反応、不安定。再補正します》


クロエが即座に微調整を行い、数値情報をフィードバックする。

蓄積されたデータが、少しずつクロエの解析精度を高めていた。


**


さらに数回、同じ動作を繰り返した後――


「今です、レンさん。少しだけ、流れを押し出して!」


ラネアのタイミングの助言に合わせて、レンは意識を集中させる。


(……行け!)


腹部の内側で何かが「コポン」と弾けるような感覚が走った。


クロエの声がすぐさま反応する。


《体内循環上昇を検出。微弱ですが魔力流動発生を確認しました》


レンは思わず目を開いた。


「……感じた。……少しだけど、流れた気がします」


ラネアは嬉しそうに微笑む。


「ええ、確かに流れましたよ。これが最初の一歩です」


**


長い長い感覚訓練の末、ようやくレンは自分の魔力を「動かす」感覚を掴み始めたのだった。


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