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宿はただ一時の屋根

作者: 灰撒しずる

 陽は傾いている。西に連なる山の稜線に燃え盛るような色でもって触れ、その木々の群れを暗い影にしている。夜は近い。となれば、旅の者たちが宿に急ぐのは当然だった。他の馬や人がそうであるように急ぎ足を速めた馬車が大揺れして止まったのは、先刻のこと。

 斜光を受けた白銀色の剣は眩く見えた。その反射は追剥たちの目を刺し――実際の刃もすぐに追いつく。不意の光に目を閉じてしまった一人の男は反応らしい反応もできないままに肩を斬りつけられ地に転がされる。

 商人の馬車を襲った強盗は五名。全員が刃物を手にしていた。だが、そのどれも、この場においては玩具のようなものだった。

 〝剣の乙女〟。名工が鍛えた最高の剣にだけ与えられる称号を得る大剣は、称号には不似合いの、しかし得物自体には似合いの長躯の男の手で誇るように輝いている。怯えた馬の嘶きと人の声を背景に、乙女は舞った。

 不運な強盗たちには剣自体が輝いて見えた。光の筋を残して自分や仲間の体に向かってくる切っ先は、手にした武器で応じようとしても簡単にすり抜けられるのだ。勿論それは錯覚だが。

 まず、強盗たちは遅すぎた。構えた隙に剣は捻じ込まれている。どうにか刃同士を触れさせたところで簡単に押し切られる。彼らの間には圧倒的な力量差があった。この程度の人数では埋められない、歴然とした力の差。

 美しい剣を掲げ、男は人形を放るように悪漢たちを馬車の周囲に転がしていく。物音が立つ度、馬車の中からも悲鳴が発せられた。早々に籠城した商人の悲鳴である。ほとんど気にかけず、剣の乙女は手を引かれて踊り続ける。

 叫び、上段に切りかかった大男の剣が弾かれる。彼の血走った目が見たのは剣の奥、竜か魔物か、正しくは剣士の鋭い目に映った矮小な獲物の姿だ。角張った顎に、返す手で硬い金属の柄頭が叩き込まれる。彼の視界からは衝撃と共に朱い光が奪われた。

 一人を応対する隙を狙い逆側から強襲した剣の一突きは容易く避けられ、今度は肘が顔面に突き入れられる。拉げる音。痛みを感じる頃、彼は別の仲間と衝突して砂埃にまみれている。

「死にたい奴は前に出ろ。腕を落としてやる」

 半数以上を一度地に転がしたところで男は言った。誰の予想にも違わぬ、低い、獣の唸りを想起させる声だった。剣の切っ先が下がり地に触れる。金属の重みを感じさせない軽やかさで、持ち主に寄り添ったようでもある。

 彼女の前には大勢の男が平伏してきた。今も男たちは意識を失い、血を流し、息も絶え絶えに地に伏せるか尻を付くかしている。金品を所望した時のような威勢の良さはもう何処にも見当たらない。彼らは一様に驚愕した顔をして、乙女と、その主を見上げている。

 大人しくなった乙女の代わりに彼らを見下ろす男の髪は、斜陽の所為ではなく赤い。肌は日焼けではない黄みを帯びた色をしていて、顔はしっかりとした骨格が感じられる、よくよく見れば整ったものだった。しかし作られた表情は硬く、怒気を前面に押し出している。目尻の上がった薄茶の瞳は緩やかに細められた。

 彼は猛き東方民族(タルファナン)、この度は強盗に襲われた商人を護衛していた、旅の〝護り〟である。


「いやあ、申し訳ありませんね。今ちょっとお部屋が埋まってましてね、大部屋しかなくてね。でもまだお一人しか居ませんから、むしろお安く広くて、お客さんみたいな立派な体の方にはちょうどいいんじゃないかって思いますよ」

 宿屋の亭主はよく喋る男だった。しかもどうでもいいことばかりを喋る。客商売の癖と言えばまだ聞こえは良いだろうが、不機嫌を形にしたような顔をしている剣士の横でそうしているのは、図太い、配慮が足りないとしか言い様がない。

 実のところ、顰め面で歩く護りは顔ほど不機嫌というわけでもない。が、やはり熱心に話を聞いているわけでもない。仕事を終えて賃金を受け取ったあたりから、彼の耳はあまり働いていないのだ。

 雇い主だった商人は何度も同じ言葉を繰り返して彼に感謝し続けたし、部屋に案内する主人はこれであるから、無理もないだろう。いくら屈強にできている剣士でも、仕事を終えてそこそこに疲れたときには余分なこと無しに休みたいのだ。美味い食事と酒があればなお良い。近頃この辺りが物騒になったというのは数刻前の体験で知ったことであるし、名物が塩漬け豚を使ったスープであるとか、今は湖に行く旅行者が多いから部屋が埋まっているのだとか、そうした情報は今の彼にとっては外で鳴いている虫の声と同じくらいどうでもいい。見知らぬ旅人との相部屋だというのも、どうでもいいことだった。

 揉み手する人の後ろをついて歩いて、護りは何の変哲もない宿の廊下を通り抜ける。この近隣は彼と近しい東方民族――背の高い人々が多いので、天井の高さも十分なだけあった。鞘に納まった剣を抱えていても何の難もない。

 どこかで窓が開けられているのだろう。微弱な風が通り抜け、背に垂れた赤い髪を揺らす。東方領に程近い町の夏にしては、過ごしやすい夜だった。

 一番とだけ書かれた扉が控えめにノックされる。間延びした男の声ですぐに返事があった。

 その声に護りの眉が微かに動いた。気に留める者はなく、固く横に結ばれていた唇が薄く離れる間に扉は開けられる。軋む音少ない、滑らかな動きだった。遠い蝋燭の灯りが物陰に滲み出る。

 部屋の中には、宿の主と声が教えたように男が一人だけ居た。廊下で立ち、部屋を見据えた護りとは対照的な淡い色味の、痩身の若い男が。

 蝋燭の火を映して光る銀の棒を手に腰掛ける青年の目は、愛想を振りまく亭主を通り越してその背後にいる長躯を見つけていた。まるで銀を透かした青硝子のような、上等で印象的な色の垂れ気味の目が丸く見開かれたのは、短い時間の間だけ。

 彼の顔はすぐに、客人を待ち構えていたような笑顔になった。

「あら、奇遇ですやね。ちょっと老けました?」

 胸の前でもぞもぞと手を動かしながらまだ何か相部屋の要請以外のことを喋り続ける亭主を置いて、笑いをふんだんに塗した、愉快そうな声が言う。薄い唇はよく出来過ぎた弧を描いている。これもまた、突っ立った護りとは対照的なところだった。

 宿の主も黙り込んで、束の間の沈黙。青年の布手袋をした手の中にある銀の杖と、護りの太い腕が抱える剣にある、細かく不可思議な紋様を刻む金の鞘飾りが同じように光っている。風が吹いて、やはり違う色をした二人の髪が揺れた。

「……お前もな」

 一日の終わりに一段と喋る奴が来て、護りの顔は真の顰め面となった。


   §


 十人入る大部屋は客二人には十分過ぎるほどだった。そこそこの質で清潔に保たれた寝具と静かな環境は疲れた旅人に上等の眠りを提供してくれた。それで、護りは一先ず満足することにしている。夜に供された食事が材料と手間に反比例した味だったのは、元雇い主の商人が支払いを肩代わりしてくれたので半ば無理矢理納得した。

 護りの朝は早い。三十七歳、年寄りと呼ぶにはまだ早すぎるが、よほど疲れが溜まっていなければ、目覚めは日の出と共にやってくる。今日も彼は鎧戸で見えない太陽の訪れを感じ取って目を開けた。どこかで鶏の鳴く声が聞こえ、鳥のさえずりも聞こえたが、それ以外はまだ静かなものだった。人々が起きだすにはもう少しかかる。

 奥で眠る男も、まったく静かなものだった。彼が静かなのは何かから隠れているときと眠っているときぐらいだと知っている護りは、気遣いではなく自分の為に、静かに寝台から抜け出した。

 身支度に時間をかけることもない。靴を履きしっかりと紐を引いて固定した彼は、飾り気のない丈夫なだけの上下に仕事着に近い普段着を付け足していく。

 それは剣士の装いだが、鎧というほど仰々しくはない。足首近くまで長さのある固い防護布(ソリディテトッフ)を腰に巻き、締めた革帯に大きな掌に隠れてしまう大きさの短剣を二種類括る。白麻の短外套を羽織り、元より癖があるために寝癖を気にしない髪に適当に指を通して、紐で一つに結い纏めてしまえば大体終わりだ。本来なら襟や袖に見られる飾り刺繍が無いことを除けば、東方領の最果てにある地方の民族衣装の一つ――篭手も鎖帷子(くさりかたびら)も省いてはいるが戦闘装束である。

 まだ、奥の寝台は静かだった。目を向けた護りの眉が僅かに寄る。夜に見たのと変わらない青年は変わらない姿勢のまま、銀の杖を含む雑多な荷物を抱えて転がり、今も微動だにせずに寝入っている。薄茶の狩人染みた目は横に、部屋の中にと滑らされたが、他も変わったところなど見られなかった。剣士に感知できる大事は何も起こっていないらしい。

 鞘にぴたりと納まった大剣を手にするのは最後だった。まだ綺麗な手拭いなども太い指に引っ掛けて、やはり静かに、彼は部屋を抜け出した。

 彼は割と規則正しいほうの人間だった。起床時間もそうだが、起きた後にすることも毎日ほとんど代わりがない。水汲み場で顔を洗い髭を剃り、その後は剣を抜く。鍛錬を怠れば命がない、という以上に、体に染みついた習慣をこなさなければ調子が出ないのだった。

 白々とした朝日の中で、敵もいない宿の中庭で、剣の乙女はただただ美しい。鍛えらえられた腕が振るえば驚くほど軽やかに風を断ち切ってみせる。決まった型と共に整った呼吸を繰り返し、剣士は体の具合を確かめる。

「相変わらずお早いことで」

 声は建物の二階からだった。回廊の手摺に腕を載せて見下ろすのは、薄い体に質素な服だけ身に着けた、護りと相部屋の青年。寝癖の残る灰色の髪を撫でつける手は昨日と同じ白い布手袋をしていた。

 気配と足音を感じ取り、声をかけられ、それでも一通りをこなしてから、護りは顔を上へと向けた。普通にしていれば見下ろすことになる十ほど歳の離れた青年に逆に見下ろされているのは、違和感と共に、なんとなく不快感がある。普段はそのようなことを気にしない護りがそう感じたのは、ひとえに青年が満足げな笑顔だったからだろう。

「よく眠れたでしょ、ユーグ。此処は静かですから」

 不機嫌に見える男に対し、驚くほど馴れ馴れしい声で彼は言った。ユグ、と短く音を発するのが正しい人の名を、引き伸ばした愛称にして。

 仏頂面の〝護り〟――ユグ・エクレールは記憶に違わぬ青年の振る舞いにしばらく黙っていたが、剣を納めると大儀そうに口を開いた。

「お前が寝ていたからな」

「お陰様でぐっすりと。さて、」

 低い声もなんのその。淀みなく言葉を返して笑みを深めた青年は手摺を伝い、雑に板を渡しただけの階段を下りてユグの前に立った。比べるまでもない体格差が強調される。

 青年が昨夜と変わらず手にしていた銀の杖の先を地に下ろした。蔦模様が彫られたイルジィエル硬銀の魔法具はすいと緑色の光を引いて、何事も起こさないまま朝の光を弾いている。

「じゃ、朝飯でも行きますか」

 何がどうしてそうなるのか、という極めて普通の疑問は護りの心中にも当然浮かんだが、彼はそれをわざわざ口に出そうとは思わなかった。脈絡のない提案ではあったが、理由は大凡想像のつくことだったから。

 まだ若い〝運び〟と、その護衛を務めたことのある男。彼らは一度や二度ではなく共に仕事をした仲だ。友のように親しくなくとも知っていることは多い。仕事に関することは勿論、偶然知ってしまった事柄も含めて、場合によっては友よりも詳しい。そもそも比べる友が居るかという確認は、お互いにしたことがなかったが。

 だから護りは知っていたのだ。相手も、自分も、私生活において食事に重きを置いていることを。

「外にか」

 確認は独り言のようになった。言いながら、彼は昨晩のことを思い出している。品数だけ豊富な、好んで食べようとは思えない大皿の数々。火の通りの甘い、または焦げの目立つ肉や野菜、塩気だけ強いスープ、生焼けのパン……

「此処の飯不味いんですもの。煮えてない豆とか粉っぽいパン食いたいなら好きにすりゃいいですけど」

 想像にかぶせるように運びの青年が言う。辟易した声は、一度その献立で食事をしたものの意見だった。昨日のことを思えば、ユグにだって想像は容易い。朝食に同じ物を出される確率は頗るに高かった。

 あれが煮えていなかった、切り方が悪い、臭みがとれていない、などと指折り論う声を背に、ユグは黙って歩き出した。三歩も行ったところで軽い足音が近づいてくる。

 歩調を崩さぬまま軽く振り向いた護りに、青年は折っていた指を伸ばして明るい小路を指差した。


 ――そうして扉をくぐって席に着いた先。老店主が鍋を開けると、漂っていた香辛料の香りが強くなる。湯から上げて蒸らした飯に揚げ玉葱と小魚が混ぜられ、熱いスープが注がれる。朝昼の時間によく見られる定番料理だ。

「ああ、じゃあ主都で倉庫番やってたの。楽な仕事だったでしょ」

「賃金も知れたものだったが」

 小さな木杯に注がれていた山羊乳(シェブレ)を飲み干して、二人は手際よく数分の間に作られた朝食を受け取る。この辺りに出入りする東方民族の出身地――鉱山地帯の一地方では朝食も飯屋頼りであることが多いから、この時間にはとうに準備が済んでいたのだった。半刻ほどで他の客もやってくるだろうが、今はまだ、小さな円卓に向かい合って座る護りと運びの二人だけだった。

 ユグが蓋のように載せられていた薄焼きパンにバターを塗っている間に、運びは熱々のスープをかき混ぜて口に運んでいる。長年の勘で絶妙に配合された香辛料の匂いは早朝でも胃を動かす力があり、無理矢理目を覚ませにかかる宿屋のスープと比べるのはどうあっても失礼だった。味も申し分なく、少々薄味だが旨味が出ている。

 うん、と器を見下ろし呟いてバター無しのパンの端を咥えた運びを眺め、咀嚼していた物を飲み込んだユグが口を開いた。

「今は何を運んでいるんだ」

 半分ほどに減ったパンを片手に持ったまま、匙でスープを混ぜながら。馴染ませるより長くそうやっているのはスープが彼にとって熱すぎるからだ。

 問いかけながらも彼の視線は器の中に落ちている。顔色を窺う気もさらさらなく、世間話のような体だった。

「仕事したいですか」

「俺は稼いだ後だ」

「そりゃ残念」

 そんな様を見て目を細めた運びは、答えるより先に問いかけた。間を置かずに返るつれない返事に肩を竦めて、スープの続きに取り掛かる。

 〝護り〟の仕事探しも楽ではない。定住していない護りなら尚更で、普通は着いた先で、その町の総合組合(ギルド)の名簿に入れてもらうことになる。そうして誰かからの指名を待ちながら自分でも売り込みを行うのが定型だ。

 ただ、今回は酔っぱらった商人が辺りの客に宣伝をしてくれたお陰で、ユグは既に何人かから声をかけられている。賃金は高額とは言えずとも市での競りのように上がっているし、行く先や仕事の内容で選ぶだけの選択肢があった。一件こなした直後ということもあり、急いで仕事を探す必要もない。気に入る仕事がなければ隣町まで移動することも、今なら可能だった。目の前の運びに仕事を請うような状況ではない。

「でも話ぐらい聞いてくださるでしょ。せっかく来たんだし」

 ユグが程よく冷めたスープに手をつけたところで、運びは再び言葉を発した。

 眦の上がった目が反応して少しだけ動くと、薄く笑みを刷いた顔が目に入る。数年前の初対面の頃とほとんど変わらない、他の民族に比べて老いるのがやや遅い中央民族(レウノンカン)の顔だ。そして紛うことなき仕事人の。青い瞳は人を引き込むような色をしている。

「金の櫛を一つ。クァクスカナートまで。ちっさな地方貴族(ペイ・ノブレス)、子爵様からのご依頼です。期日が曖昧でしてね、一月かかんなきゃそれでいいって。今半分過ぎたとこ。予定ではあと十日で終わります」

 目と目が合ったところで、運びは胸に手を当て、何かの題名でも言うように流暢な王都の発音で言った。王都の東隣にある町の名前までは舌はその響きを残していたが、喋れば喋るほど何処のものともつかない僅かな訛りが混ぜられる。

 平素は聞き流すその奇妙な響きも、このように仕事の内容を告げられるときに使われると無視できなくなる。やたらと耳に残り人の意識を絡めようとする声だ。それがこの〝運び〟の意図的な手練だと知るユグは、すぐに目を伏せて食事に戻った。昨日の宿の主人とのやりとりとは違い、耳を働かせてはいたが。

 運びは運びで、ユグが話を聞いていることを疑わない。彼は話を続けた。

 聞きながらユグは考えている。クァクスカナートまでの道程、経路、通る門の数、手段、気候。抜ける場所は平野か市街か。障害物の多さと――

「その櫛が、どうやら元は盗品らしくて。多分云十年前の話ですけどね。でも、未だに執着してる輩がいて追っかけてくるんです。これがまた悪いことに刃物持った馬鹿ばっかで」

 想定される敵の数。

「護りを付けずにそんな仕事を?」

「まさか、臆病者にそんなことできるわけないでしょうや。付けてたんですけど、どうも寝返ったようですね。戻って来やしない」

 奥で煮炊きをしている店の主人の耳が遠いのは店に入ったときから知れているので、その辺りは気にしない。ただ、入り口から人が入ってこないかだけは気を配って、運びの目はちらちらと動く。

 それでも問いかけに淀みなく答え、ついでに食事も止めたりはしない。人が少し質問を挟む間にパンを口に詰める。あまりに口が休まないので、ユグは毎度のことながら感心する外なかった。

 相手が喋れば喋るほど、ユグは言葉を忘れそうになる。特にこの運びは相槌要らずの話し手であるから、尚更のこと。

「お前の選んだ護りがか」

 ほとんど聞き役に徹している彼が発する声は、ここにきていくらかの驚きを含有していた。表情には差異など見られず、発音の調子も淡々としていたが、確かに意外そうな声だった。薄茶の目はまだ僅かに残る食事から外れて、運びへと向けられている。

 運びはスープの残りをかき込んで唇を舐めた。その口の端が上に歪んでいる。

「ご冗談。私まだ目玉ついてるんで。――雇い主がつけた護りですよ。まあ信用置けない面構えでして。子爵様、物の目利きはできるけど雇う人間はちょっとよろしくない」

 食事でも外さない手袋についたパン屑を叩いて掃い、運びは首を振った。自分もその子爵に雇われた身だという事実を棚上げした発言だったが、ユグはそれを指摘しない。単純に面倒臭かったのだ。

 店主が小振りな黄李(ミラベル)を十個ほど積んだ籠を手にやってきたので、話は中断された。運びの青年はそれまでとは違う裏のない笑顔を浮かべて見せ、店主に礼を言って籠に手を伸ばす。やはり手袋は外さなかった。

「まあそれで、〝代わり〟を立てて逃げ回るような状況ですよ。今は様子見しながら護り探してました」

 離れる店主の背を横目に、テーブルに置かれた、鮮やかな黄の表面に吹き付けるように赤を滲ませた果実を眺めて肩を竦めて。彼らと同じように組合に登録して仕事をする――今回は身代わりを指す仕事の名を口にし、しっかりとみずみずしい黄李の表面に歯を立てる。

 その代わりがどうなったのか、運びは言わなかった。護りも聞くことはない。運の良し悪しばかりは、他者にはどうしようもない事柄だ。

 喉の渇きを潤すために持ち出された旬の果実は濃く、しかしさらりと甘い。話に不似合いなそれを気にすることなく、薄い壁の向こうに起きだしてきた人々の気配を感じながら、彼らはしばらく沈黙する。

 二人の決まりであるように、その無言を終わらせるのは運びのほうだった。

「此処の組合もなんて言いますか、旅行客に吹っ掛けることばっか覚えた口先尖った奴らしか転がってなくてですね。そんなん雇うぐらいならどうにか一人で切り抜けようかなーって」

 流れるように言って黄李の三つ目を手に。ユグの視線が入り口へと動いたのを見て、彼もまた入り口を窺った。話に出ていた組合の護りたちが連れ立って扉を開け、耳の遠い店主に大声で注文をする。運びは笑い、種を吐き出して立ち上がった。

「そこに現れたのがアンタ様。ほら、運命感じたでしょ」

 見知らぬ同業者、似たような地方の出身の、しかし同郷とは言えぬ人々を見遣りながら、ユグは甘い果肉を噛んでいた。至極愉快そうな声が降ってきた上を見れば青い目の若者が笑っている。宿の二階から中庭を見下ろしていたのとはまた、違う顔で。

「偶然にも、都合よく、か」

 表情を変えないまま、護りは呟いた。不快に感じたともとれるその低い声に、おや、とその顔を覗こうとしたのは運びではなく、新たにやってきた護りたちだった。喧嘩でも始めるのかと、そういう空気だった。遅れて店主が二人を見る。

「運命ですってば。他の護りでいいってこともないんです。やっぱりここは勝手知ったる仲で」

 運びが横に立てかけていた銀の杖を手にしたところで、彼に――彼らに揉め事を起こす気など微塵もない。ユグの厳つく険しく見える顔や少々剣呑に聞こえる声は、生来のものに加えて、仕事について考えているからに過ぎない。仕事中ならば、それだけで十分に護衛対象を護れる、威嚇染みた雰囲気ではあるが。

 それを見る運びの、含むところが多分にある微笑みもまた、それと同じようなものだ。彼らは今仕事の話をしている。

 窓から注ぐ白い光の中、古く粗末な作りの飯屋の片隅に腰掛ける長躯の剣士。睨むように目を細め、口を引き結んだ顔は武神のようで、しかし荒々しさよりは静けさがある。腰から外された大剣の鞘の中程では、不可思議な模様が刻まれ、薄く透明の膜が張った金の飾りが曇りなく輝いている。

 物語の人物のように様になっている赤髪の目立つ異国の装束の人は、しばらくそのまま黙っていた。時間にすればそれほど長くはないが、他の人々がそちらを気にしながらも元の目的の為に動き出すほどの時間ではあった。

「いつから、俺とお前はそんな仲になった」

 些細な騒音の戻ってきた中、思い出したようにユグは呟いた。吹き出した運びの息がそのまま笑いに変わる。

「結構前から仲良くなかったっけ。五年くらい?」

 軽口に軽口で返して、青年は手にしていた李を口に触れさせた。体の向きを変えながら噛もうとして、おっと、と動きが止まる。

「勿論無理にとは言いませんけど。その気になったらすぐ言ってください。払いはちょっとよろしいですよ。アンタ様の鼻が利いてくれることを願うばかりですやね。……即決してくれたらこれも奢りますけど」

 部外者の空気もなんとなく緩んだところで、考えてくれ、と告げ、懐から銅貨を三枚取り出す。そうして細い首を傾げたが、彼を見上げる護りは緩く首を振った。

「……まだだな」

「そ。では、私は組合に行きますんで」

 笑みを深めて、残念がる素振りもなく。青年は素っ気なく告げ、改めて黄李を咥えて支払いに立つ。

 店主と話す運びが「あの人が全部払います」などと本気に聞こえなくもない冗談を言うのをユグは確かに聞いたが、反応するのもまた面倒だった。あの男と上手く付き合うには適度な無視が必要だと、彼は経験で知っている。

 遠ざかる足音と気配をぼんやりと感じながら、ユグは二つ目の黄李に手を伸ばした。もうすぐこの地の夏は終わるのだと、卵黄にも似たつややかな果実は教えていた。


   §


 刺突剣(スティレット)と両刃のナイフと、形の違う短剣をそれぞれに磨いて鞣革の鞘に戻して、あまり多くない武具の点検は終わりだった。腰に戻し、床に胡坐を掻いたまま、ユグは開けた窓を見遣った。

 今日もまた日が暮れようとしている。もうすぐ此処を発つ旅人たちと〝空視(そらみ)〟が話すのを、彼が通りすがりに盗み聞いたところによれば、明日も晴れだ。運びはこの町の護りは程度が悪いと言っていたが、少なくとも空視は信用できる雰囲気だったと彼は思う。

 あの後にユグも組合に顔を出したが、運びの姿は見当たらなかった。契約相談の為に個室の多い施設であるから壁を隔てた何処かに居る可能性も高かったが、少なくとも見えるところには。

 総合組合のほうは閑散としていたが、隣に併設された〝報せ〟の職業組合(サンディカ)のほうは朝早いにも関わらず、緑の襟布を印とする〝報せ〟たちが何人も出入りしていた。こんな町でこの時間から情報屋が忙しくしているのは、何かあるに違いない。

 ユグに予想できることは一つだけ。その他だったならば――どちらにせよ、この町に長居することにはなるまい。何事もやり過ごそうと思えばやり過ごせるが、面倒なら早く出ていくのが良い。幸いにも資金に困ってはいない。

 そんなことで早々に宿に戻り亭主に話をしたが、宿で貸してくれる馬は老いて痩せたものしか残っていなかった。仕方なく馬貸しのところに行って話をつけ、ついでに茶の相手などもさせられ、一日は穏やかに過ぎた。また宿に戻ってきたところで「個室が空いたが移動するか」と亭主に訊かれたので、断りついでに明後日には発つと告げた。

 これからの行き先とその道程を、護りは算段する。地図など無いが、この辺りの大体の地形と町の並びならばまだ記憶にあった。最後に近くを通ったときと変わったことと言えば、東方主都ハーンミットから繋げられていた街道の整備が完了したことと、堤防が作られていたことだろう。年が変わってから軍が管轄する門が二つ増えたと、前の依頼主から聞いた記憶は新しい。女傑と呼ばれる辺境伯の手腕は就任十周年を迎えて健在のようだ。

 この時期なら野宿でも問題ない。最初の中継地点は、どの町を選んでも一日半で着く。楽な旅だ。

 一年近く、彼の生活はそうしたことばかりだ。仕事もその間を繋ぐ生活も安定している。それが悪いことだとは彼自身思わないが、何かが鈍ってくるような感覚は否めない。常に、ある程度は、周囲に意識を払って生きているつもりでいても。漠然としたものに飲み込まれているような。

 年を取った、と考えるのも仕方がないことだ。まだ引退には随分早いが、彼がこの国を訪れてからは長い月日が経過している。

 薄茶の瞳が朱く染まる空から外され、隣に立てかけた武器を見た。しっかりと磨かれた鞘飾りは陽の光を映して暖かな色に見える。曇らない金を飾る艶消しの鞘に納まった、刃毀れのない刀身。乙女の称号は、鞘に隠れてなお剣に相応しかった。

 剣と同じように陽の光を受けて、護りは目を伏せた。そうするとその強面も幾分柔らかな印象になる。赤い前髪の奥で、彼は床に差し込む光が色を変え続けるのを眺め続ける。やがて、夜が来るな、と当たり前のことを思い、燭台を探しに立ち上がった。

 彼が背にしていた寝台は二日前から運びが陣取っているはずの場所だが、今は荷物の一つも見られない。あのまま引き上げたのではないか、とユグは考えもしたが、それでも運びは戻ってきた。部屋が暗く陰る頃、やはり出て行ったときのままの格好で。

 朝に食べた物と同じ薄焼きパンを一枚咥えて、杖を持たないほうの手に瓶を持って。暗い廊下をそのまま歩いてきたのだろう、蝋燭二本だけの明るさに、彼は目を細めた。

「私、明日の昼には多分居ませんから。お早めにどうぞ」

「ああ」

 言い、パンを口に押し込んで葡萄酒で流し込む。ユグは短く答えて荷を詰めた袋の紐をきつく縛った。運びはやはり銀の杖を抱えて寝台に腰を下ろす。座って見るのは、開いた窓ではなく自分が入ってきたばかりの扉のほうだ。すぐに視線は下へと向かったが。

「ああもう疲れたのなんのって。どこ行っても話が面倒くさいんだからやんなりますやね」

 足音を感じ取ったのは、五感の優れる護りが先だ。三人、と判断して、ユグはちらと運びのほうを見てから床に足を下ろした。運びがまだ喋りそうだった口を止めて、また扉を見る。

 扉を叩く硬い音。「すみませんね失礼しますよ」という亭主の言葉と共に扉は滑らかに動き――案内した宿の主を押しのけて、部屋に踏み込む男たち。

 掛け声とやかましい靴音が重なり合う。一瞬で汗の噴き出た中、運びは視界に赤い髪と白麻の上着が揺れるのを知覚した。

 最初に踏み込まれた左足にかかる足払い。体勢を崩した男を間合いに引き込み脇に拳を叩き込む。ナイフを手に突進する後続の右手を視界の端に入れると即座に向きは切り替えられ、そちらへと腕が伸びた。

 瞬く間の出来事。尻餅をついた亭主と運びが硬直している間のほんの僅かな時間だった。

 運びに切っ先を向けた男の腕を掴み捻りあげ、顔色一つ変えずに〝護り〟は口を開く。

「金貨」

「三枚!」

 呟きのような一言には、すぐに悲鳴に似た声で応えが返った。運びの即断にユグの口角が僅かに上がったのを見た者はいない。

「では伏せていろ」

 次の言葉は身の竦む音と共だった。

 拘束から逃れようともがいた男を容赦なく床に叩きつけ、肘を打って跳ねた腕を刺突剣で貫く。悲鳴と共に手放されたナイフを寝台の下に蹴り込んだユグは、そのうちに起き上がった最初の一人が剣を振るってくるのを見目に合わず身軽に避けて、相手の側頭部を殴打する。

 彼が一つ動くたびに、人の体から酷い音がする。傾ぐ体にさらに一蹴り浴びせ、腕を纏めて床に押し付ける。護りは瞬く間に敵を制圧してしまった。

「口を開かせるか?」

「結構。どこの馬鹿かは見当つきます。しっかし――」

 護りが尋ねると、ふらりと横に並んだ運びはわざわざ顔を確かめることもないまま首を振った。応答に頷き、ついでのように昏倒した悪漢たちの腕の関節を外しておく男を見て、彼は銀の棒を握りしめていた手を緩める。

「よく突っ込んで来ましたよねぇ。こんなん居るのに。見るからに怖くないですかこの人」

 刺突剣を納めて立ち上がった人に対して呻き声を上げたのは、部屋に踏み込んできた悪漢たちではない。床に座り込んで蒼い顔をしている宿の亭主だ。

 ユグが一瞥し、運びが振り向く。無表情だった白い顔に笑みが浮かんでくる。薄い唇が訓練されたように弧を描き、薄く青い瞳が亭主を捉える。息を詰まらせた彼に歩み寄り、運びは右手の杖を持ち上げた。

「それで、日暮れ前にいらっしゃったお客様はあと何人、外にお待たせしてるんです?」

 瞳と共に光を含んだ杖の先端を人の首に据え、訊ねる。

 ユグの眼差しが獲物を委縮させる獣のそれならば、運びの眼差しは人を引き込む魔物の代物だった。呆けた、問いを理解していない表情にくっと喉を鳴らす。

 護りは黙ってそれを眺めていた。亭主が下手な動きをしない限り、運びが何かを言わない限り、その仕事は彼の領分にはならない。

「コイツらと一緒に来た奴がいるでしょ。何人です」

「五人……」

「いけます?」

 答えが絞り出されると、運びはすぐに顔を上げてユグを見た。

「別料金でな」

 ユグの応答はにべもない。相変わらず顔色も変えず、顔の端すら動かさずに言ったその人に、運びはまた喉を鳴らして笑いくるりと身を翻した。

「街道を通って三か所経由、十日で大金貨十三枚。どうです」

 数少ない己の持ち物と共に纏められていた護りの荷を手にした彼が告げるのは、この時期、普通の町でなら一月ほど生活できる額だった。相場より高く、しかし既に護衛対象が狙われているという前提を見れば、特別に高額とは言えない。元の、運びの仕事の賃金がよかったので色を付けておいた――そんな、微妙な額だ。

 ユグは腰帯に着けた武器の位置を調整して扉の外を窺った。開け放された先の廊下が少し騒がしくなっているのは夕食を終えた人々が戻ってきているからだろう。人が少ない時間帯とはいえ、先ほどの騒動に誰も気づいていないとは考えづらい。そろそろ誰か来る頃合いだ。

「悪くはない」

「はい。じゃあ行きましょう」

 床に伏して身動ぎしない男たちを一瞥し、護りは運びの腕を引いた。そうして護衛対象が安全圏に身を寄せたところで、廊下へと歩みを進める。

 食事の味に文句などを言いながら連れ立って部屋へと戻ってくる、あるいは叫び声を聞きつけてやってきた人の波に逆らって進む。二人が交わす声は小さく、ざわめきに飲み込まれる。

「お前、馬は何処だ。此処じゃないんだろう。いないのか」

 ユグが問うと、彼の左後ろを歩く運びは目を丸くして顔を上げた。

「なんで分かったんです?」

「此処にはあまりいい馬がいなかった」

 運びは――職種は当然、個人で見ても馬を選ぶのに厳しい。

 ユグも目が利く。その彼が昼に厩舎で見た馬には旅人たちが連れ込んだものも交ざっているはずだったが、何をとっても運びの連れるような馬がいるようには思えなかった。この辺りが元々、良い馬を産出する地域ではないというのが一因だろうが。

 指摘を受け、運びは一拍黙ってから相手に見えないところで相好を崩した。

「〝文運び〟の組合(サンディカ)に繋いで頂いてます」

 持った荷物を抱えなおして、手袋に葡萄酒の染みを見つけて肩を落とす。それも束の間。一言伝えた口はまだ動いた。

「客を売るよな亭主の宿には置いとけません。残念ですけど、この町でそこそこなのは報せぐらいでしたね」

 後ろから聞こえてくる小声。その言葉でユグは、この運びが組合で護りを探していたのではなく、報せを扱き使っていたのだと気づいた。報せたちが忙しなくしていたのは、追っ手の側が運びの情報を集めているのだとばかり思っていたが、どうやら逆だ。もしくは両方だったのか。今となっては大差もないが。

 報せたちは運びに雇われて走っていたのだ。それならば、運びは敵対者の来訪を予想していたに違いない。それでも宿に――空き部屋が生じたにもかかわらず大部屋に、しかも運びが戻ってきた直後、無頼の輩を案内する亭主がいる宿に戻ってきたのは。

「そういえば、俺はまだ通行証を申請していないが」

「ん? ちゃんとありますよ。だからこの町出れるかどうか、あとはアンタ様の手腕です」

 階下を見渡してから階段を下るユグが独り言のように呟くと、何も問題としていない口振りで返答がある。

 ほら、と声をかけ、運びは懐から細長い紙切れを二枚、ユグに示した。紙には署名と地名、諸々の事項が書きつけられ、東方軍の判が朱色で捺されている。門を通り町を抜け、目的地まで辿りつくために必要な通行許可がすべてが揃っている。記された文字で経路も知れた。

 ユグは溜息を呑み、雑多な思考を振り払った。いつからそのつもりだったのかと問えば、運びは恐らく、会ったときからだと答えるだろう。〝運び〟とはそういうものなのだと言っていたのは彼だ。〝運び〟はいつだって、自分と仕事の為に好都合なものを縒って集め、従えようとするのだと。

 運びは護りを、自分の思い通りに仕事に組み込む自信があったのだ。

「運びの何某は、程度の悪い〝護り〟は雇わないのではなかったか」

 確かにこれは運命というやつかもしれないと、護りは思った。少し面倒な仕事をしてみる、そういう時期だと思ったのは何のためか。端的に言えばこの青年に(けしか)けられたのだ。

 それでも選んだのは彼自身であり、契約は既に成されている。瑕疵がなければ覆す理由はない。考えるのは、この仕事をどのようにこなすか。目の前の運びがやったように上手く仕事をしてみせるかだ。

 運びの組合は馬貸しの隣だった、とユグは思い出す。その場所までの道も同時に思い出しながら、彼は外に出た先に居る剣呑な雰囲気の男たちを眺めた。数は五、全員が刃物を手にしている。少し前に覚えのある光景だった。その時の人々よりは腕が立ちそうだというのは、直感だった。ただし、まだ彼らは二人に気づいていない。自分たちの仲間が仕損じたことに、気づいてはいないのだ。

「ええ。ですから期待を裏切らないで頂きたい」

 運びは出来の良い微笑みを浮かべて言った。

 暫くの行動は一任する、という指示代わりのその言葉を間違いなく理解して、護りはナイフだけを右手に移した。


 それから、金の櫛が届けられるのは十日後のこと。


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