第51話 プラン 2
「やっとここに来られたわ。すごく役に立つものを持ってきたの。彼の愛の告白よ。」
彼女は驚いた表情を見せた。
私は、青いケースに入った自分のスマートフォンを取り出し、画面を彼女の目の前に差し出した。画面には、ある音声ファイルが表示されていた。それは、彼女だけが聞くべきものだった。
心の奥で、私は佐々木君に謝罪した。こんなことをしてしまってごめん。でも、これは二人の関係のため。
少し休んでから、私は彼女の隣に座り、一緒に音声を聞いた。
彼女は信じられない様子だったが、やがて真剣な表情でじっくりと内容を分析しながら聞き終えた。すると、彼女は自分のスマートフォンを私に差し出し、指紋認証でロックを解除した。
画面に映ったのは、一つの音声ファイル。
その時間は、ちょうど私が佐々木君に質問をした頃と同じだった。
私は彼女のスマートフォンを手に取り、再生ボタンを押した。
「リョウコ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
それは、ユメの声だった。どこか心配そうな響きを帯びている。
リョウコの声は少し戸惑っていたが、ゆっくりとした口調で返事をした。
「……うん。でも、どんな質問?」
「あまり気にしないでほしいんだけど……うん、じゃあ聞くね。」
ユメは深く息を吸ってから、意を決したように言った。
「まだ佐々木君のこと、好き?」
「最近まで一緒にいた、あの人のこと……。」
しばしの沈黙。
「……うん。ミナミ君のこと、まだ好き。」
「すごく好き。もしもう一度一緒にいられるなら……私はきっと幸せになれる。」
少し前、佐々木君と一緒に帰っている途中、私はユメにメッセージを送っていた。
彼女とは、体育祭の日をきっかけに、少しずつ親しくなっていた。驚くほど気が合い、いつの間にかよく話すようになっていた。
そして、彼女から聞いたのが——沢渡さんと佐々木君が別れたという事実。
理由はわからない。でも、私は提案した。直接話して、一緒に計画を立てよう、と。
だからこそ——彼女は今、屋上で私を待っている。
彼らは、こんな展開になるとは思ってもいないはず。
私は学校の方へ引き返した。まるで何かを忘れたかのように、リュックの中を探りながら。
なんとなく、それが一番自然な行動に思えた。
でも、正直、周りの人の視線が気になって落ち着かなかった。
校舎に入ると、下駄箱にしまっていた白い上履きを履き直し、素早く外靴を仕舞った。
「今向かってる」とユメにメッセージを送る。
走り出したせいで、体がじんわりと熱を帯びてくる。
これを、ちゃんと計画しないと。
まだ彼女に、「どうして二人を元に戻したいのか」は聞いていない。
でも……きっと、彼女は沢渡さんの幸せを願っているのだと思う。
屋上に着くと、私は勢いよくドアを開けた。どうやってこの鍵を手に入れたのかは分からないが、今はそんなことどうでもよかった。
私は壁に手をつきながら体を預け、荒い息を整えようとした。かなり走ってきたせいで、体が熱くなっている。もうすぐ学校が閉まる時間だからこそ、今ここに来るのが最善だった。
驚いた様子を見せながらも、嬉しそうに歩み寄ってきた。
「すごいね、五分前まで玄関にいたのに」
私は息を整えながら彼女を見上げ、微笑んだ。
そのとき、音声から切なげな声が聞こえた。
『そうなんだ……教えてくれてありがとう、リョウコ』
突然、音声が途切れた。画面を見ると、すでに再生が終わっていた。
もう疑う余地はなかった。二人はお互いに同じ気持ちを抱いている。
私はユメと目を合わせ、同時に頷いた。もう、やるべきことは決まっていた。
でも、計画を立てるなら慎重にしなければならない。まずは佐々木君の妹、美翔ちゃんと連絡を取る必要がある。彼女ならきっと協力してくれるはず。
一方で、ユメはすでに沢渡さんの姉と面識があったが、今どこにいるのか分からない。
最初のステップは、二人の姉妹を引き合わせること。それができれば、次の展開につなげられる。
難しくなるかもしれない。でも、努力なしに何かを成し遂げることはできない。
私たちは、最も可能性の高い方法を選び、計画を進めることにした。
そして、しばらくしてから一緒に屋上を降り、正門で別れた。
彼女は左へ、私は右へ。
まずは美翔ちゃんに会わなければ。
階段を駆け上がったからか、汗をかいていて、何か冷たいものが欲しくなった。ちょうど近くに自販機があったので、いちごジュースを買うことにした。
カートンタイプだったので、ストローを差し込み、一息つくようにゆっくりと飲む。
すると、ふと目の前に見覚えのある顔があった。
美翔ちゃんだった。
まるで奇跡みたいだった。偶然なのかは分からないけど、こうしてすぐに会えたことが嬉しかった。




