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第45話 君の世話をする一日 2

◇◆◇◆


昨夜


ベッドに横になりながら、これからどうしようか考えていた。試験が近いのに、勉強にほとんど時間を割いていない。どうすればいいんだろう?


そのとき、スマホに通知が届いた。美翔からだった。


[明日来られる? なんだか変な予感がするから、来てほしいんだ]


どういう意味なのかよく分からなかったが、こんな夜遅くに…… それでも、断るのはよくない気がした。彼女がわざわざ誘ってくれるのに、行かないのは子供っぽいかもしれない。それに、最近あまり会えていなかったから、久しぶりに行くのも悪くない。


それに……やっぱりミナミ君と話したい。彼が貸してくれた小説の続きを読めたことを感謝したいし…… それだけじゃなく、なんとなく会いたい。なぜか分からないけど、この気持ちは抑えられなかった。だから、「大事な話がある」とだけメッセージを送った。


よし、決めた。明日は行こう。


翌朝


新しいメッセージが届いていた。ちょうど目を覚ましたばかりで、まだ出かける準備もしていなかったが、読んだ瞬間、すぐに家を出ることに決めた。


[まだ来れる? お兄ちゃんが風邪をひいて、一人で家にいるつもりみたい]

[茜と私は祖父母の家に行かないといけないから、お兄ちゃんのことお願いね]


一番楽な服を選び、適当なコートを羽織った。


本当は、最近知ったことがあったから…… それが気になっていた。


彼は、私を黒川から守ってくれていた。それを知ったとき、嬉しかったけど、それ以上に申し訳なかった。だから、せめてこのくらいはしないと……。


『お願いだから、耐えてね、ミナミ君』


そう心の中で祈りながら、タクシーに乗って彼の家へと向かった。


家の前で降りると、玄関の扉が少し開いていた。何かあったのかもしれない。


恐る恐る扉を押してみると、内側からわずかに抵抗する力を感じた。誰かが閉めようとしている。でも、それはとても弱々しくて……。


少しだけ力を入れて開こうとしたその瞬間、彼が崩れ落ちた。


慌てて彼の手をつかむ。熱い。


「熱がある…… どうか耐えて……! 上へ運ぶから」


「……え? 俺、天使を見てる?」


そんなことを言われたのは初めてだった。思わず顔が熱くなる。


でも、今はそんなことを考えている場合じゃない。


彼をしっかりと抱えて、なんとかベッドまで運んだ。普通の男の子と違って、ミナミ君は病気でも力がある。それでも、どうにか寝かせることはできた。


彼の額に手を当てる。まだ熱が高い。


すぐに美翔に連絡を取り、こういう時に何を作ればいいか聞いた。


すぐに返事が来て、味噌汁のレシピを教えてくれた。これなら、きっと回復の助けになるはず。


まずは料理を作って、それから彼のために水を替えてあげよう。


私はエプロンをつけて料理を始めることにした。

それはピンク色で、白いポケットがついているものだったけど、意外と自分に似合っている気がした。


美翔の指示通りに調理を進め、弱火にしたところで、ミナミ君の様子を見に行くことにした。


しかし、ドアの前まで来ると、彼がすでに起き上がっているのが目に入った。


そして、今に至る——。


◇◆◇◆


「ちゃんと横になっていて」


そう言って、私は心配そうに彼の額に乗せられた濡れたタオルを取り、新しく持ってきた冷たいものと交換した。


「……なんでここに?」


「美翔がLINEで連絡してきたの。家に遊びに来ないかって。でも、それだけじゃなくて……ミナミ君の看病も頼まれたのよ」


「俺のこと、心配だったのか?」


否定するのは無意味だった。私は普段、素直に物事を言う方だけど、今回はどう答えればいいのかわからない。


だって、結局私は家を飛び出すようにしてここへ来たのだから。つまり……そういうことなのかも。


「まあ……今まで色々助けてもらったし、少しくらいは恩返ししないとね」


「……そっか。それなら、俺が助けた甲斐もあったってことだな」


彼は、どこか寂しそうな笑みを浮かべた。


「……え? 今、笑った?」


私の見間違いじゃない。確かに、彼が微笑んだのを見た。


初めて見る表情だった。だけど、その瞳には、今まで見たことのない感情が宿っていた。それって……何かのサインなの?


私は、できるだけ優しく微笑み返そうとした。でも、なぜかそれができない気がして、途中でやめてしまった。


それにしても、彼のせいで視線が彼の唇に引き寄せられてしまう。


——何これ? 私、なんかおかしい。


自分でもよくわからない気持ちに翻弄されていると、ミナミ君が私に問いかけた。


「……どうかしたのか?」


彼の一言が、私を深い考えの渦から引き戻した。


「……ううん、何でもない」


私はそう答えながら、無意識のうちに首を横に振っていた。


「とにかく、今は下に行くわね。ミナミ君のために味噌汁を作ってるの」


「……そうか、わざわざありがとう。じゃあ、俺はもう少し寝るよ」


——その時、ふと思い出した。


熱を測るために、家から持ってきた体温計があったんだ。


私は、自分の額を相手の額に当てて熱を測るようなタイプじゃない。きちんと数値で確認できる方がいいと思っていた。


カバンの中から持ってきた袋を取り出し、中から体温計を取り出す。


もっとも、ここに来てみて気づいたけど、この家にもこういう時のための道具はちゃんと揃っていた。


……そうか。


ミナミ君は、毎年この季節になると風邪をひくのかもしれない。


冬になると、無防備な人は体調を崩しやすいものだ。

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