第03話 愛か哀れか? 第二部
「そう言うと、彼女は少し恥ずかしそうに顔を赤らめ、その仕草は周りの人々にはさらに魅力的に映った。」
「ごめん、君の答えに確信が持てなかったんだ。」
「そう、わかったわ。それで、あなたの名前を教えてくれる?」
「佐々木ミナミだ。」
『くそっ!なんてこった、名前も知らない女の子に告白してしまった。なのに、なんで彼女は僕を受け入れたんだ?それに彼女だって僕のことを知らないはずだろ!』
「よろしくね、佐々木くん。これからよろしくお願いするわ。」
「ああ、たぶん……」
リョウコはミナミの右手に目を向けた。その手にはタオルが握られていた。
「それ、私のタオル?」
ミナミは一瞬気づいた後、彼女にタオルを差し出した。
「ああ、そうだ。校外で落ちているのを見つけたんだ。」
「ここで何が起きてるんだ?誰か説明してくれ。」
その声の主は、リョウコを遮った少年だった。ミナミが近づくと、他の男子生徒たちが話しているのが耳に入ってきた。
「ありがとう。一緒に来てくれない?」
そう言いながら、リョウコはミナミの手を取り、教室の方へ向かった。
二人は校舎の中へ進んでいった。
「おい、廊下で走るなよ、廊下で走っちゃいけないだろ。」
ミナミは無表情かつ真剣な口調で言った。
「いいじゃない、ほんの少しの間よ。」
「まあ、仕方ないな。」
二人は教室に入った。正確に言うと、1-Aの教室だった。
「さて、ここまで来たからには、あなたに言いたいことがあるの。」
「な、何の話だ?」
「その……ちょっと言いづらいんだけどね。実は……あなたのこと、好きじゃないの。」
「えっ?じゃあ、なんで僕の告白を受け入れたんだ?それに、僕だって別にあれを言うつもりじゃなかった。ただ、つい口をついて出ただけなんだよ。」
「なるほどね、そういうことだったのね。」
「ああ、正直に言えば、僕も君のこと好きじゃない。」
「じゃあ、こうしない?お金を払うから、私と付き合ってるフリをしてくれない?」
「本気で言ってるのかい?それで君の経済状況が苦しくなったりしないの?」
ミナミの言葉に、リョウコは思わず笑い声を上げた。
「本気で私がお金に困ると思ってるの?」
リョウコは一枚の銀行カードを取り出した。それはVisaのVIPカードだった。
「そ、それは……」
「そう、その通り。私が言いたいのは、私は裕福な家の娘だってこと。知らなかったみたいね。」
リョウコは少し得意げに、自慢気な態度で言った。
「まあ、それは否定できないな。」と、ミナミは気まずそうな表情で言った。
「それなら、週に5万円はどうかしら?」
「本気で言ってるの?」
「冗談に見える?」
リョウコは真剣な表情で腕を組み、二人は黒板の前に立っていた。
『5万円あれば欲しいものが買える。2ヶ月だけ我慢すればいい。』とミナミは心の中で考えた。
「わかった。でも一つ聞いてもいいか?」
「何のこと?」
「どうして俺と付き合うことにしたんだ?」
「それは明日教えてあげる。今日はこれで帰りましょう。」
「ああ……わかった。」
『これでいいのかよくわからない。なんだか変な予感がする。はっきりとは言えないけど、少し危なそうな気もする。それでも、やってみる価値はあるかもしれない。少なくとも欲しいものが手に入るからな。』
ミナミがゆっくりとそんなことを考えながら教室を出ようとしたとき、誰かに見られているような気がして足を止めた。その様子を見てリョウコは首をかしげた。
「どうしたの?」
『気のせいかもな。』
「……いや、なんでもない。」
実際、その近くの階段の壁の後ろに誰かが隠れていた。しかし、二人ともそのことに気づかなかった。
「あ、ちょっと待って。忘れてた。携帯の番号を教えてくれる?」
「えっ?何のために?」
「電話で話したいことがあるの。ここではちょっと安全じゃない気がするから。」
「なるほど」と言いながらミナミは彼女に携帯を渡した。
「はい、登録できたよ。」
「じゃあ、私は帰るね。」
「一緒に帰ったほうがいいんじゃない?付き合ってるってことだし。」
「あ、そうだね。家まで送るべきだな。」と言いながら、二人は階段を下り始めた。
「でも、別に家まで送らなくてもいいの。」
「それじゃあ……」
「近くまで送ってくれるだけで近くまででいいわ。」
その言葉の後、二人は学校を出た。会話はほとんどなく、リョウコが「近くの一角で降りるから」と言った時以外、何も話さなかった。その後、二人は別れて帰路についた。」