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第三話 鎌倉観察記

「大姫ッ、背筋を伸ばせ。聞いているのか!」

「え、なになになにここどこ!?」


 男性の叱り声で飛び起きた。


「ん~義高殿のことが気になって眠れなかったのはわかるのだけど……さすがによだれは、ねぇ?」


 隣に座る女性に顔を拭かれながら状況を確認する。

 場所は――大倉御所にあるお父さまの私邸だ。

 庭に見えるのはすでに散った桜の木。

 じめじめした空気には濃い雨の匂いが混ざっている。

 そして記憶よりほんのわずかに小さいわたしの手。


 なるほど……あの日だ。


「どうしたの姫、義高殿はまだいらしてませんよ?」

「頼朝様、木曽義高殿が参られました」

「あら、言ってる間に来たみたい」


 治承七年、1183年の梅雨入り前。

 義高さまと初めて会った日。

 夢で“私”が言っていたのはこういうことだったんだ。


「突然婚姻を決めた事は悪いと思っているがそう睨むな。義高は悪い男ではない」

「にらんでるのではなくて緊張しているのよ」


 今から一年後、義高さまはお父さまに殺される。

 前回とは違って未来の記憶と完全に同期できたおかげで、これから源氏や日本に起こる事を知ることができた。けど、どうやったらお父さまから義高さまを守れるのかは……見当もつかない。


 一年、たったの一年しかない。

 今年は閏年だから13ヵ月ある、それでも約400日。

 どうしようもなく時間が足りない。

 そして頭を抱えている間にも時間は進む。

 御家人に案内され、外の廊下から義高さまがやってきた。


「清水冠者、源義高と申します」


 ああ……義高さまだ。

 最後の記憶にあるよりも幼い顔立ち。

 だけど、こうして彼の置かれた立場を知った上で見れば、どうして11才でここまで大人びた挨拶をできるのかも、隠している緊張もよくわかる。

 義高さまは、自身が義仲さまを牽制するための人質として送られたのだと理解した上で、多くの虚勢を張ってこの場に座っている。


 この婚約は単によくある政略結婚だと能天気に考えていた自分が憎い。何もわかっていない幼稚なわたしは、一体どれだけ義高さまを苛立たせただろう……。


「――大姫? 義高殿が挨拶をしていますよ」


 お母さまが呼んでいるけど言葉がでない。

 久しぶりに見る義高さま。

 わたしの最愛の人が、まだ生きている。

 こうして目の前にいる。


「…………うぅ……うっ、うぇっ…………」

「大姫っ!? どうしたの急に!?」


 泣くのをこらえようとしてブサイクになった顔を隠そうと両手を当ててうずくまった。

 もっと義高さまを見ていたいのに、涙で視界が滲む。

 元気な義高さまとお話をしたいのに、胸から漏れ出る嗚咽が許してくれない。


「よ……よした、義高さま…………ごめッ、ごめんなさいぃ……」


 鎌倉は安心して暮らせる場所だと思ってもらうためにも、絶対に笑顔で迎えようと思っていたのに、汚い泣き顔を晒し、謝罪の言葉しか出てこない。


 失敗だ。義高さまと向き合う準備ができていなかった。

 いつまでも泣き止まないまま謝罪だけを繰り返すわたしを抱えたお母さまがお父さまを見て、


「頼朝様、此度の婚姻なかったことにできませんか」

「何を言う! これは源氏が手を取り合い平家と戦うためには必要な――」

「姫がここまで嫌がっているのですよ! 何とも思わないのですか!? 貴方は私達の娘を何だと思っているのですか!!」


 やっぱりお母さまは最後まで味方でいてくれたのかもしれない。

 ちらりとどんな状況か伺ってみれば、まさに鬼の形相。お父さまに掴みかからんとするばかりだ。


「源氏の結束を強めるだけなら貴方の妹だっているでしょう!」

「今更そんな……義仲もそれでは許さんだろう」

「貴方にはこの姫の涙が見えないのですか!」

「それは、確かに……手はかかっても、赤子の頃から一度として泣いたことのない大姫がこれほど拒絶するなんて……何かの凶兆……かもしれぬが……」


 お父さまの声が徐々にしぼんでいく。


「う……む、仕方がない。すまぬが義高――」

「待ってッ!!」


 今なんて言おうとした!? まさか娘が泣いたくらいで、政略結婚を一方的に破棄しようとしたの!?

 お父さま……本当にお母さまには逆らえない男だな。

 本質的には範頼さまと同じで小心者が過ぎる。

 義高さまを暗殺しようとしたのも、ありもしない復讐にビビってのことだろうし、武士の棟梁とは思えない情けなさだ。


「ちがうの! 義高さまがイヤで泣いたんじゃないの!」


 義高さまと結ばれるために、二人で幸せな未来を作るために戻って来たんだ。またしてもこのクソ親父に邪魔されてたまるか。


「じゃあどうして泣いたの?」

「う、それは……その……」

「いいのよ大姫、無理をしなくていいの」

「ほんとに違うの!」

「大丈夫、母はわかっています」

「だから聞いてってば!」


 お母さまが強く抱きしめたまま離してくれない。

 わかっています、じゃないよホント。

 流されてお父さままで涙ぐんでるじゃんか。

 揉み合う親子を余所に、話に置いて行かれた義高さまは顔を真っ青にしていた。


「もしや……此度の話は罠だったのか……? 父上、母上、先に逝く不幸をお許しください」

「だからちがうのおおおぉ!!」



 * * * * *



 わたしは――悩んでいた。


「ひぃっ、おおお大姫様!? 何をなさるのですッ!?」


 だってふざけて後ろから抱き着いただけでこの態度ですよ。


「……泣きたい……ぐすっ」


 ひどい、抱きしめた婚約者からこんな青ざめた顔で見られたら誰だって泣きたくなる。


「あの、うそ泣きしていないで離れてくれませんか。くっつかれると暑いですし」

「暑……ソレ婚約者に言っていい言葉じゃないからね」

「申し訳ございませんッ! どうかお許しを!」

「……はぁ」


 顔合わせの一件以来、義高さまはわたしを恐れるようになってしまった。

 急に泣き出したわたしも悪かったんだけど、未だに誤解が解けないでいる。また一緒に海へ行こうと思ったのに、今回は誘うことすらできていない。


「忘れてって何度も言ってるのに~」

「大姫様が婚約を受け入れていない、というのが鎌倉武士の共通見解みたいになってしまったので、嫌がらせを受けてる義高様の気持ちを考えて欲しいところではありますけど」


 と、海野が横から得意の茶々を。

 前回に比べて嫌味の鋭さが増している。敵愾心が限界突破して遠慮のないド直球だ。

 海野が命を懸けられるほど忠義に厚い武士だと知ってしまった今となっては、ケンカもしにくくなってしまったけど。

 でもいいもんね、だいたい焦ったところで仕方ないし。


「そうだ落ちつけわたし……わたしはデキる女、わたしは女光源氏……気長に、されど綿密に事を運ぶのだ……」

「紫式部がお好きなのですか」

「義高さま、乙女の独り言を聞いてはいけませんっ」

「はっ、申し訳ございませんでしたッ!」

「だからそんなかしこまらないでって」


 それにしても、最初にひと悶着あったからといって関係が悪すぎる。

 多分、わたしに対するイメージだけじゃない。さっき海野が言っていた嫌がらせとやらが原因かな。


「……嫌がらせ、されてるの?」


 試しに聞いてみたら、二人とも答えにくそうな顔。

 これは本当の話みたい。しかもこのひどく怯えているような態度からして、結構な大物がからんでいる気がする。

 お父さまとお母さまの誤解は解いたから――誰だろ。


「北条……比企……梶原……」


 順番にそれらしき名前を挙げていく。


「堀……和田……範頼……義経……」


 義経? あいつか!

 範頼さまのところでまばたきが増え、義経さまのところで決定的な反応をみせた。


 源義経――平安を代表する武士。

 もっとも未来の知識から見れば、戦場のしきたりを無視した奇襲や部下の安全の一切を無視した奇策を好む、無謀と勇猛が紙一重の異常者。どうしてか一部の人間を異様に惹きつける人たらし。わたしには理解できない血生臭い世界の住人である。


「でも……なんで?」

「……逆恨みをされているのかもしれません」

「逆恨みって……そもそも義経さまと会ったことあるの?」

「私はありませんが……」

「本来ならば、三月に義経様は義仲様と戦うはずだったのです。しかもそれが将として初陣となるはずだったらしく――」

「おい幸氏!?」


 慌てて海野の口が塞がれるけど、もう遅い。


 源頼朝と木曽義仲には大きな因縁が二つある。

 まず、お父さまの父・源義朝さまが、その弟であり義仲さまの父・源義賢よしかたさまと争い、結果、義賢さまが亡くなっている。


 そして当代における関係として――

 常陸国ひたちのくに(現茨城)の神社での押領行為を諫めたら、逆上して鎌倉を強襲しようとした大叔父の源義広。

 平家追討の令旨を運んで、届け先に寄生しては「令旨を受けたのは自分だから軍を寄越せ」とたかり、ついに鎌倉を追放された大叔父の源行家。


 義仲さまがこの二人を匿ったことで、お父さまとの間に深い亀裂が入った。


 しかし義経さまにとっては――奥州平泉から鎌倉に来て二年半、アホほどプライドの高い男が、腹違いとはいえ実兄に冷遇されながらも、じっと耐え訪れた初めてのチャンス。

 それがわたしと義高さまの婚約によって、一度も切り結ぶことなく和睦されてしまいましたっと。


 とまあ我が家と義高さまの家には実はかなり深い恨みつらみがあるんだけど……義経さま、それはとんでもない八つ当たりだよ。

 事情が伝わっていなくて、わたしが婚約を嫌がっているとだけ聞き、腹いせついでにお父さまにゴマをすろうとでもしているんだろう。


「なる、わかりました」

「……へ?」


 ちょうどいい、あの人とも話をしておきたいと思っていた。


「未来の妻として義経さまを説得してきます! ……未来の妻として!!」

「気に入ったんですか、その言葉?」

「そんなことより、わざわざ事を大きくする必要はありません、私が耐えればいいだけの話なのです」

「大丈夫、わかってるから! 遠慮なんかしないでわたしを頼っていいんだよ!」


 不安そうな義高さまにウインクをして、交渉相手の下へ出発する。

 最初の敵は平安最強の一人・源義経よ。


「うわ、すごい思い込みと行動力……義高様から聞いた御台所様そっくりですね」

「笑ってる場合か! 面倒なことにならなければよいが」

「まぁまぁ、鎌倉の姫が義高様をどう思っているのか確認する良い機会ではありませんか」



 * * * * *



「――というわけで、義高さまへの嫌がらせをやめてください」


 義経さまの館、わたしはそこの主と強面の郎党たちに囲まれていた。

 むさくるしい武士たちが並んだ圧力で床が下に軋んで見える……いや、実際軋んでるのか? さてはあんまりイイ物件じゃないな、ここ。


「つまり、義経様は頼朝様の意向に相反することをしてしまった?」

「はい、しでかしました」


 だがしかし、か弱いわたしよりも男たちの方が顔色は悪かった。

 男達はにらんでいるわけではない。わたしと義高さまの関係は良好である、という話がウソであって欲しいという懇願と後悔でこわばっているだけだ。


「わたしの味方になってくれたらお父さまに上手く話してあげてもいいんだけどな~……チラッ」

「義経様は関係ありませぬ、全ては拙僧の独断で」

「やめよ弁慶」


 郎党の中でも一番の大男が前に出ようとするも即座に制される。

 義経さまの声に剣呑なものが混ざっていた。いつもの豪快に笑うお兄さんではなかった。


「お前たちは今日の大姫様を見て何も感じないのか」

「は? ……普段と同じようにしか……」

「大姫様はな……どうやら私と戦をしにきたらしい。兄上の恐ろしさを理解して私を脅しているのだ」


 義経さまの言葉に一瞬息が詰まる。

 前回では、わたしを面倒な相手のガキとしてしか見ていなかったはず。今回は顔を合わせた時から心境に大きな変化があったと気づいているようだ。

 こういう人の機微に聡いところは兄弟なんだなー。自制心さえあれば将来殺されなくて済むだろうに……。


「しかしッ――」

「抑えよ。私はもう……馬は引きたくない。これ以上は、私について来てくれたお前たちにも申し訳が立たぬ」


 以前、お父さまが鶴岡八幡宮の社を建てた宮大工への褒美に馬を与えた時の話だ。

 義経さまは、同じ源氏でも他の御家人と平等に扱うという見せしめに、その馬を引く役目を押しつけられた。

 しかし、源義朝の息子である自分の務めではないと拒否したところ、お父さまの怒りを買う結果となり、義経さまの立場は悪化した。

 義経さまがお父さまに逆らえなくなった出来事である。


「それで、私に何をさせたいのですか」

「……これから先、義仲さまがこのまま進軍して平家を倒したらお父さまとまた戦うことになると思うんだけど……義仲さまの軍を倒しても義仲さまは殺さないで鎌倉に連れてきてくれる?」


 義経さまも郎党の人達も、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

 確かにわたしには源頼朝と北条政子の娘であるという最大の強みがある。

 でも、まだ六才、そして女、去年には跡取りとなる弟万寿(未来の頼家)が生まれているという点で、鎌倉での地位が下がってしまった。もはや遠回りな手段は選んでいられない。


 義高さまが暗殺される第一のきっかけは、義仲さまが死んでしまうから。

 だから鎌倉にさえ連れて来れば、お母さまに助命を説得してもらえるかもしれない。


「お、大姫様が何をおっしゃっているのか、とんと分かりませぬ」

「誤魔化さないで。わたしだって前は伊豆の山をお母さまと逃げ回ったし、戦に参加してたようなものなんだから、子供だと思ったらダメだよ」


 男達がさらに目を丸くする。

 そして、義経さまだけは更に眉間のシワを深くさせた。


「大姫様の頼みでも、それはできませぬ」

「なんで!」

「木曽義仲という男は捕まるくらいなら死を選ぶ男です。仮に戦となり勝てたとしても、それは義仲の死を以ってしかありえないと断言できましょう」


 炎でも宿っているかのような鋭い視線に負けて要求を続けられなくなる。


 そうだった、一昨年、平清盛が病気で亡くなったと報が流れた時に喜ばなかったとされる男が二人だけいる。

 義仲さまと義経さまだ。


 今の平家があるのは清盛入道の功績であり、平家最大の怪物を直接討ち取ってこそ源氏復興の悲願成就となる、というのが言い分だったはず。

 血で血を拭うが源氏の武士だと思っている荒くれ者同士、シンパシーでも感じているのかもしれない。


「どうしてもお願い聞いてくれない?」

「聞かぬ、ではなくできぬと申しています」


 義経さまが伸ばそうとして伸びないヒゲをいじりはじめる。

 小男かつ無駄に顔が整っているだけにギャグかと思うちょびヒゲだ。

 ヒゲを蓄えるのは大人の武士として当然なので伸びないことを苦々しく思っているとは聞くけど、正直その姿は鼻につく。息を荒く立ち上がると床板がぎしりと鳴った。


「わたしのお願いを断ったこと……絶対忘れないからっ、もう義経さまのこと助けてあげないんだからねっ!」

「おお怖い怖い、ですが大姫様も言葉を慎まれたほうがよい………………小娘にはわからぬ世界があるのだッッッ!!!!」


 ぼろ屋敷を震わす怒鳴り声。郎党たちがよくぞ言ったとばかりに称賛の視線を向ける。

 ドヤ顔でヒゲを撫でる姿がまた腹立たしい。


「ぐぐ、このっ……くそ……ーとのくせに……」

「なにか言いましたかな?」


 源義経は源氏の英雄である。

 歴史を伝える吾妻鏡あづまかがみや平家物語にどれだけ脚色が加えられていたとしてもそれは否定できない。しかし1183年初夏、


「自分なんか……平泉でも、鎌倉でも雑用しかしてない」


 現時点では――戦があっても端っこで小間使い、鎌倉では畑仕事も手伝わず、たまに狩りに行くのは自分の息抜きのため、まさに、


「タダ飯食らいのちょびヒゲクソニートのくせにいいいぃ!!」


 ぼんぼんのニートにすぎない。

 捨てセリフを叫びながら、わたしは逃げるように義経館を飛び出した。




「なにやらとんでもないことを言われたような……ところで“くそにいと”とはなんだ?」

「大姫様は神通力があると聞く。何かのまじないではないか」

「タ……」

「どうなされた義経様」

「……タダ飯食ら……ちょびヒ……げふっ」

「なッ!? 義経様が大姫様にたたられて舌を噛んだぞォ!」

「息をしていない!? 誰か! 誰かぁ、医師を呼んでくれぇ!!」



 * * * * *



 海水に浸した足に、幾度もさざ波が打ち寄せる。

 潮辛い飛沫を乗せた冷たい風が頬を撫でる。

 それでも頭に上った熱までは奪ってくれない。


 あれから数日、叔父範頼さまにも義仲さまの助命を頼もうとしてみた。

 だけどあのビビリおじさん、途中で嫌な予感がしたのか、話を切り出す前に逃げだしやがった。

 どうにもわたしの親族は、平治の乱の敗戦から息を殺して生きてきたせいか危険を察知することに長けているらしい。めんどう極まりない兄弟だ。


「だーもーどうしろって言うんだよぉー」

「難しい顔をしていないで一緒に遊びませんか」


 座ったまま空を見上げる。海野と遊んでいたはずの義高さまが顔を覗いていた。

 やっぱり初めての海が楽しいようだ。今日はいつもより雰囲気がやわらかい。


「連れてきていただきながら我々だけで遊ぶのはどうも……」


 優しい……でも、優しくされると、わたしの知る義高さまが帰ってきたみたいで嬉しい反面……ちょっと泣きたくなる。


 ところで前回は気づかなかった点がひとつ。由比ヶ浜に来ている間、護衛についている武士の態度がいつも以上に硬い。

 鎌倉は南を海で、東北西を山で囲まれている。標高こそ200mもない低い山でも地図もなしに越えようとすれば地元の人間からは逃げられない。だから舟も出せる東西に続く広い砂浜は、人質が鎌倉から逃げる場合に考えられる大きな選択肢となる。


 護衛の武士が通行人を見つけては忙しそうに顔を振っている。わたしが一緒でなければ、義高さまは海に来られないのだと嫌でも意識させられ気が沈む。割り切って子供らしく遊ぶのも大変だ。


「……あの、大姫様……」


 大の字になってひっくり返っていると今度は海野幸氏が話かけてきた。

 義高さまは以前と同じで巨大アサリにやられたようだ。ひっくり返ってびしょぬれになった服を絞っている。


「ありがとうございました」

「ん? ああっ、鎌倉に来たら一度は海に来ないとね!」

「それもありますが……義経殿の件で」


 義経……? そうか、海野の中では、わたしは海野の策略で義経さまに会いに行ったことになってるのね。


「おかげでやっと腐った野菜や粟の食事から抜け出せました。井戸も自由に使えるようになりましたし、義高様も大変感謝しております」


 そんなひどいことまでしてたんだ。

 現在鎌倉の噂を独占している男――幼女に罵倒され、怒りのあまり舌を噛み切って倒れたというニートを思い出す。


「あのちょびヒゲ……憤死しちゃえばよかったのにっ」


 海野が盛大にツバを吹いた。


「どこで覚えたんですかそんな言葉!!」

「……先に乙女の顔にツバかけたことを謝りなさいよ、このアホたれ!」

「すいません!」


 袖で顔を拭い、海野に腹パンを入れる。

 こんなやり取りもちょっと懐かしい。


 あーでも確かに憤死は言いすぎだったかも。

 あの外道ニートさまがいないと源氏が負ける可能性がある。

 暗殺を防いでも平家に負けたら全部水の泡だ。


 現状、源氏は源頼朝軍・木曽義仲軍・武田信義軍の三勢力。

 武田は「神仏に誓って鎌倉殿には逆らいません」って宣誓書を書かされてるから、すでに頼朝軍の一部とも言えるけど……戦の後に語られる伝聞の美しさにまでこだわる頼朝軍の在り方で平家に勝てるのか不明だ。


 これから義仲軍が平家を京から追い出しても、時間を置いてしまったら、四国九州から兵を呼び寄せて、すぐにでも再起する。義経さまが短期決戦で追撃しなければ、泥沼化して戦況がどう転ぶかわからなくなる。

 考えれば考えるほど、義高さまを守る条件がきびしい。


「うぬぬ、武士の世めんどくさ」

「……まあ今のは聞かなかったことにしておきますので、さすがにそこまで気を遣っていただかなくても結構です」


 海野はわたしを信用してくれたのか気まずそうな愛想笑いを浮かべた。その歪んだ笑みを見ながら考える。


「あのさー……海野は義仲さまにてがみとか出せる? 頼朝お父さまに内緒で」


 思いつきを口にすると、海野が細い目をこれでもかと開いた。


「む、り……ですよ、そんな……あはは、考えたこともありません、当たり前じゃないですか……もしかして、鎌倉殿が何か疑っていましたか?」


 海野のこの恐れ様……許可なく手紙なんて出そうものなら、見つかった時にどんな罰を与えられるか分かったもんじゃないってことだな。


 義高さまは義仲軍との戦争が終わるまで――正確には、法皇さまから義仲追討の宣旨を得て、頼朝こそ源氏のトップだと地位が確立されるまではまず殺されない。

 どの源氏勢力も基本的には地方豪族の寄せ集め。実際には源氏を良く思っていない家や平家方を裏切っている家も混ざっている。そんな中で人道に反することをすれば求心力が落ちてしまう。軽々しく無茶はしないだろう。


 できれば義仲さまに、


『京は飢饉の影響で食べ物がないから焦って攻めれば略奪が必要になる。関東で勢力を伸ばしているお父さまと違って、義仲軍は源氏と繋がりの薄い家が多い。特に統制は難しいはず。そして京の治安を乱せば、「私の土地を荒らす余所のならず者をどうにかしてくれ」と後白河法皇がお父さまを頼る口実が生まれてしまう』


 ――みたいなことを遠回しに伝えたかったんだけど。


「あーッ、いい案だと思ったのになあああああ!!」

「どうなされました?」

「もういい、今は遊ぼう!」


 行き詰まった時は気分転換が必要だ。

 義高さまとの時間を作ることも大切だしね。


 ちなみに、義仲さまに「義高さまと仲良くやっている」と報せるお手紙を出したいと自分でも頼んでみたら、「義高が何か企んでいるのか」と案の定却下された。

 娘の好意すら疑う父親とか、ほんとイヤになる。



 * * * * *



「はぁ、はぁ、はぁっ…………どうだっ、まけたか!?」


 気弱そうな中年男が振り返らずに確認する。

 最近は運動不足なのだろうか、やけに息が上がっているようだ。


「はい、もういな「じぃーーーっ」……いえ! まだいます!」

「くそっ!」


 息を整える暇もなく、男は再び走りだした。


「どうか、どうかもう許してくだされぇ! 私は何も聞いておりませぬ、誰にも何も話さぬと約束いたしますからぁ!!」


 情けない声を上げながら、中年男――源範頼が御所を駆けていく。

 わたしは足音をできるだけ消してその後ろを追いかける。


「私は義経のようにはいきませぬぞぉおオオ!」


 範頼さまが雄叫びで自身に喝を入れ直し、速度を上げた。

 鬼気迫るといった表情だ。わたしはただ範頼さまを観察してるだけなんだけど、なにか悪い噂が一人歩きしているみたい。呪いで人を寝込ませるなんてできないってのにさ。


 あれからまた、義高さまを救うために色々考えた。


 義仲さまとお父さまをどうやって和睦させるか。

 義高さまを殺さないようにどうやって説得するか。

 義高さまをどうやって信濃まで逃がすか。


 結論としては、この三つの内どれかひとつでもクリアできれば、義高さまは死なずに済むんじゃないかと思う。


 ってどれも上手くいってないんだけど。


 なぜかと言えば、多分一番の理由はわたしが武士という生き物を理解していないせいだ。武士相手に交渉というものができない。


 そして、武士の中でもお父さまが一番よくわからないこともある。

 どうにもわたしが見ているお父さまと実物のイメージがズレている。


 お母さまが笑顔でのろける夫の頼朝。

 実の弟達からも恐れられる源氏長子の頼朝。

 御家人が平伏する武家棟梁の頼朝。

 未来の歴史で語られる頼朝。

 どれも違う。


 まずは武士の中でも同じ源氏である範頼さまから観察を、と思ったんだけど、


「さすがに……これはちょいヘタレすぎるなぁ……」


 イメージと違いすぎる。

 範頼さまも、お父さまの御家人たちと戦場で「自分の立場が上だ」と争う尖ったナイフだった頃もあったけど、今は完全に牙を抜かれているらしい。


 お父さまもお母さまには逆らえないけど、他の誰かに頭を下げているところを見たことがない。ヘタレのビビリかと思ってたんだけど、範頼さまとはちょっと違う。


「参考になんない……つぎ行こ」

「範頼様っ、大姫様が諦めたようですぞ」

「…………はあ……やっと、か……」


 廊下の柱から離れると、何かが倒れる音が聞こえた。



 * * * * *



 歴史的に見ても源頼朝が殺した武将はかなり多い。

 戦・暗殺問わず、邪魔な人間がいたら「とりあえず殺すか」ってくらい殺してる。


 因縁のある平家方についた武士だけじゃない。南関東をまとめるまでに同じ源氏もだ。

 源平合戦中には木曽義仲を殺し、同じ源氏の大将格とされた武田信義――本人は高齢だから見逃したが息子は暗殺。腹違いとはいえ実弟である義経と範頼も謀反の疑いをかけて殺した。


 平家追討後は義経を匿っていた奥州藤原も滅ぼしている。

 当主を継いだばかりの藤原泰衡は、父・秀衡の遺言を反故にしてまで義経を自殺に追い込み、その首を鎌倉に届け恭順を示したというのに、だ。


「過激……を通り越して悪魔の所業だよねぇ」


 お父さまの気性は、復讐鬼であり戦狂いの義経さまと似ているのかもしれない。

 ということで今度はあっちを観察してみよう。




「……義経様、大姫様が屏風の影から……」


 建物の隅っこで怪しい密会をしている集団の中に目当ての人物はいた。

 身を寄せ合って子供を守っているペンギンの群れみたいな感じで。


「また私を――に来たか、あの――……」


 義経さまはこちらに気づいているようだ。

 わたしを見て、聞きなれない京言葉で何かを言っている。


「ここでそのような物言いは……」

「わかっておる、兄上の策略かもしれん、御家人連中の前では言わぬとも」


 近頃の義経さまは、弁慶だけでなく常に四天王と呼ばれる強面の部下を傍に置いている。

 奥州藤原からついてきた凄腕の武士たち。藤原秀衡の命令で鎌倉に来たわけでなく、父の仇を討つため強大な平家に立ち向かう義経さまに感化された集団だ。


「……まだこちらを見ていますな」


 全員が血走った眼で睨んでいる。

 目が「お前を殺す」って言ってる。

 なんてヤバそうな人達だ。

 義高さまにはああいう蛮族武士にはなってほしくないな。


「お前たち、ぜっっったいに目を逸らすな。気が弱まると呪いを受けるぞ」


 わたしにそんな力ないってバカニート。

 足がすくんで動けないんだよ。


 基本的に鎌倉でわたしに強い態度を取れる人はほとんどいない。

 誰もが源頼朝の怒りを買いたくないからだ。

 だから、こんな風に本気で大人の男から威圧されるのは慣れてない。


 逃げたい。

 だけど義高さまを救うために、わたしは引けない。

 じっと見つめ返していると、ついに義経さまと取り巻きが顔を伏せた。


「…………勝った!」

「姫よ、勝手に御所へは来るなと言っているであろう」


 突然脇に手を差し込まれ、体が宙に浮いた。


「がっはっはっ! なんだ、また義経で遊んでいたのか!」

「頼朝様、“で”ではありませんよ」

「おお、すまんすまん、つい言い間違えてしまった!」


 大声で笑いながらわたしを抱っこしてくる。

 集団が顔を背けた理由は、後ろからお父さまとお母さまが来ていたからだった。

 義経一行は頭を下げ、そそくさと建物を出ていく。


 お父さまがこんなに機嫌が良いのは久しぶり……万寿が生まれて以来かも。この時期に鎌倉にとって良い報せなんて何もなかったはずだけど、と首を捻る。


「あれでも俺の弟だ。あまりいじめてくれるな」


 そう言って、再度大声で笑う。


「ふむ、しかしあまり義経がふがいなくても困る。そろそろ戦の一つも任せてみるか」


 わたしの頭をひと撫ですると、また歩いていってしまう。


「なんだったんだろ……」

「姫のおかげなのよ」

「お母さま、どうゆうこと?」

「ふふっ」


 残ったお母さまに質問を返すが、いつもの「子供は知らなくていいのよスマイル」で誤魔化されてしまう。


 最近やったこと……義経さまを憤死させかけた件か。

 思い返してみれば、さっきの笑い方や言葉は、どこか芝居がかっていたようにも聞こえた。まるで誰かに聞かせたいみたいに。

 考えが当たっていたのか、義経さまと距離が近い御家人たちが少し落胆した顔をしている。


「お父さまは義経さまがきらい?」

「……大姫は本当に聡いわね」


 お母さまが驚いた顔をする。


「でも嫌いとはちょっと違うかしら」


 違うのか。

 歴史を知っていると、“義経さまを蔑ろにする鎌倉での扱い”と“富士川の戦いに駆けつけた弟との対面を涙を流して喜んだ”というお父さまの態度が噛み合わないのだけど、あの人は何を考えているのだろう。


「じゃあ苦手?」

「というよりじゃま……ううん、姫が気にすることは何もないわ」


 お母さまは有無を言わさぬ笑顔でわたしの手を引く。

 つかまってしまったので、このままお父さまの観察に切り替えよう。

 お母さまの背中に隠れて聞き耳を立てていると、いろいろな話が聞こえてくる。


 鎌倉武士は、血の気の多い殺人集団なだけでなく、頭を使って他人を貶めることにも長けているようだ。本当にろくでもない話が多い。

 でも、お父さまは御家人たちの話はちゃんと聞くらしく、邪な考えを持った相手にはぴしゃりと怒鳴りつけて追い返していた。




 パッと見では誰かを恐れる人に見えない。立派な武家の棟梁だ。

 ただ、お母さまから見えるところでだけ、小さく溜め息を吐いたりもする。

 やっぱり普段の姿は虚勢なのか判断がつかない。


「うーん、一体どれが本当の――イタッ!?」


 御所から出ようとした時、お父さまの袖から落ちたものを踏んづけて悲鳴を上げた。


「これ……サイコロ? お父さまも双六やるの?」


 踏んづけたものを拾うとサイコロだった。

 鎌倉では見たことのない、緑がかった美しい石を削ったもの。だれかのお土産かな?


「……今となっては狩りに出るのも手間がかかるからな……まあ、政子にはなかなか勝てないのだが」

「お母さまが相手してるんだ」

「うふふ、せっかく貢ぎ物にもらったって言うから、たまにね」


 お母さまは確かに強そう、権謀術数とか超得意そう。

 実際、わたしの弟達が暗殺された後には鎌倉幕府の実権握ってるし。


「政子が男に生まれていれば、私は旗頭として座っているだけで何もせずに済んだかもしれぬのにな……」

「もう、あなたってば心にもないことを」

「北条が伊豆を治めていれば……千鶴丸も……」


 ほんの一息つく間だったが、30代とは思えないひどく老けたような顔を見せる。

 しかし、最後に出した名前に反応したお母さまに気づくと、慌てて咳払いをし早足で歩きだした。


 千鶴丸……わたしの兄に当たる人。

 伊豆の豪族、伊藤祐親の娘と源頼朝の間にできた男子。

 でも平家からお父さまを見張るように言われていた伊東祐親は、自分の孫であるその子を殺してお父さまも殺そうとした。


 そこで別の伊豆豪族である北条家に助けを求めたから、お父さまとお母さまの縁が生まれたはずなんだけど……お母さまにとって良い思い出ではないようだ。足を止め、すごい目つきでお父さまの背中を睨みつけている。

 顔は見えていないはずなのに、お母さまが後ろからかける圧力に、お父さまの背中がどんどん小さく丸くなっていく。完全に女房の尻に敷かれるダメ亭主だ。




 源頼朝――観察という形で客観的に見てみると、なんて歪な人なんだろう。

 いろんな虚勢を張りながら、いつも必死で逃げ続けた結果、邪魔な相手は殺してしまうしかないと腹が座る。やることは悪辣かつ合理的に見えるけど、実際はいじめられてキレる子供のまま大人になったみたいな人だ。


 この男をどうやって説得したらいいのか全然わからない。

 やっぱり義高さまを安全に逃がすルートと方法を準備するしかないのかな……。



 * * * * *



 陽の昇らない神社にある大きな池の前、わたしは生気の無い“私”の隣に並んでヒザを抱えていた。


「ねぇ……あのクソオヤジ……ダメじゃない?」

「着物で体育座りするのやめなさいよ」


 また失敗した。

 何度失敗しただろう。

 和睦も説得も逃走ほう助も上手くいかない。

 義仲さまとはどうあっても戦争になるし、お父さまは平然と約束を破るし、義高さまはどこへ逃がそうとしても夏には死の報せがやってくる。


 そして義高さまの死を確信した時点で、わたしには呪いのループが発動する。

 打ちひしがれるわたしを嘲笑うかのように、源平池に浮かぶガイコツがゆらゆらと揺れる。


「……こっち見んな!」

「死者に石を投げるのもやめなさい」


 石が当たって一瞬沈んでも、ガイコツはすぐに浮かんでくる。

 この平家のガイコツたちは知っているのだろう。誰も源頼朝には勝てないということを。自分たち一族が負けたように、わたしも負けるのだと。


「鎌倉にいても、状況を変えられる気がしない……」

「でしょうね」

「……は? わかってたの?」

「お父様は源氏同士争いの原因になるものを決して許さない。あなたの知る歴史でも千幡……未来では実朝と呼ばれているのね。あの子が生まれてから従順だった範頼さまにも、お父様は疎ましいという態度を隠さなくなった」


 範頼さまが殺される一番の理由は、二人目の弟が生まれて、万寿(頼家)に事故があっても源氏本流の血が途絶える可能性が低くなったから?

 お父さまが最初から自分の直系以外は必要ないとまで考えているのなら、義高さまを生かすように説得するのは不可能だ。義高さまが源氏であるかぎり、お父さまにとっては排除しなければならない対象から抜け出せない。


「どうして教えてくれなかったの」


 大人の“私”を見上げる。

 どこまでも深く暗い瞳、だけど意思の強さは失われていない。

 現状を打開する案があるのだろうか。


「でも……何十回も鎌倉を、いろいろな人を頼りに渡り歩いて、そろそろ違う道を探す準備ができたでしょう?」

「違う道ってもやっぱり限界あるってば」

「そんなことはないわ。私とあなたは明確には違う……考えの基準となる記憶が違うこと。そして――」


 同じ記憶を持っていても、確かに“わたし”の価値観は未来の人生を基にしたものだ。平安時代だけを生きて衰弱死したこの“私”とは考え方が違うだろう。


「過去へ戻る時に、呪いで上手く引き継げないもの、それが武器になる」


 記憶は継承できている。

 義高さまへの想いも、やり直しを重ねる度に募るばかり。

 この“私”にあって、“わたし”に欠けているから武器になるもの、なんだろ。


「わからない? …………家族愛よ」


 冷たくどこか温かい、葛藤を映した瞳で二十歳で死んだ“私”がわたしを見下ろす。

 失礼な女だ。わたしが薄情者みたいじゃないか。だけど――


「言われてみると……義高さまを殺された恨みとは関係なく、やり直す度に、家族とかどうなってもよくなってきてるような……これも呪いの影響?」

「そう……私はお父様もお母様も愛していた。それこそ義高様と同じくらい。だから“私”のままでは、何度やり直してもお父様を止められないことは想像できていた。だけど今の“わたし”ならきっとできる」

「…………ナニをさせる気?」


 酷く大変なことになりそうな予感にごくりと息を飲む。


「鎌倉を捨てましょう」

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