#0山王
入学式を終えて教室に行き、レクリエーションが始まったが正直全員の顔と名前を覚えるのが億劫だ。気の合いそうな人だけ覚えとこう。レクリエーションが進んでくなかで1人興味ある女子を見つけた。隣に座ってた神戸京花だ。彼女は僕のタイプで一眼見た瞬間彼女のことを好きになった。可愛くてどこか懐かしい感じがしてずっと前から好きだったかもしれない、そんな気がしてきた。連絡先を交換しようかと迷ったが勇気が持てなかった。いつもそうだ……。好きな人に告白できずに卒業してきたじゃないか。でも初対面で聞くのは気持ち悪がられるのでは?僕は葛藤しながらレクリエーションを過ごした。
一日が終わり、スマホをいじりながらこの後何しようか考えていると、隣の京花さんが話しかけてきた。
「はじめまして、海都くんだよね?私神戸京花っていうの。」
急に天使から声をかけてくれるなんて!これは神様がいつも臆病な僕へプレゼントを与えているのか?僕はこういった考えをできるだけ悟られないように彼女と話した。
「は、はじめまして。京花さん。よろしくお願いします。」
「実はそのー、海都くんにちょっと頼みたいことがあるの。」
「は、はい。何でしょうか?」
「その〜……(ふぅふぅ)……友達に、なってくれませんか?」
僕が呆気に取られていると京花さんが続けて言った。
「困らせちゃってごめん!実は私兵庫から引っ越してきて知り合いが全くいないの。」
「それでね、海都くんを見たとき幼馴染みたいな気持ちが芽生えて……」
「だから海都くんとなら上手くやっていけそうな気がして。」
「やっぱり迷惑だったよね。ごめん!今の忘れて。」
突然のことでびっくりしたがなんだかキュンとして、
「京花さん、嬉しいです。京花さんを喜ばせるためなら何だってやります!だからこちらこそ友達になってください!」
「やったぁ!あっ……ありがとう。」
僕たちは友達になれた嬉しさでお互いの夕陽に染ったような顔をずっと見つめていた。その後LINEを交換して、僕たちは一緒に並んで帰った。日枝神社の桜の花びらが頭に乗ったのをみて2人で何度も笑った。