いつだって後ろから
あなたが私を抱きしめる時は
いつも決まって後ろから
たまには正面からもって
腕を広げて待っていてあげても
笑ってはぐらかすの
僕はこっそり近付いて
君を後ろから抱きしめるのが好きなんだ
君の驚いた声を聞くのも
一瞬 強張る体も
何よりそこから僕を受け入れてくれるように
柔らかくなっていく君が
とても愛おしくて
もし本当に私が可愛いのなら
たまには真っ直ぐに私の顔を見てよ
私だけを見て
その瞳の中を私だけで
たまには満たしてみてよ
そんなことしたら君は
僕の瞳の中から抜け出せなくなるよ
僕はとても強力な魔法が使えるんだ
嫉妬深い僕だもの
他の男たちに君の姿が見えないように
君を僕の目の中に閉じ込めてしまうよ?
それなら私は
いつも後ろから回されるあなたの腕を
優しく掴んであげる
そしてそのまま
一生どこへも行けないように
他の女に触れられないように
この指先を薔薇のツルに変えて巻き付いてあげる
じゃあ僕はその薔薇に
この世で一番美しく咲き誇ってもらえるよう
溢れるほどの愛情を注いで
綺麗になってもらわなくちゃ
あなたはいつもそうやって
私が正面から腕を広げて待っていてあげても
笑って誤魔化して
横を通り抜けていくの
バレてないと思っているでしょ?
あなたが私を後ろからしか抱きしめない理由
私知ってるんだから
あなたはいつだって
私を抱きしめる時
今にも泣き出しそうな顔をしているの
こんな情けない顔
君に見せられるはずないだろ
僕はいつだって不安なんだよ
とても素敵な君だもの
いつか僕じゃない誰かの元へと飛び去ってしまうのが
この腕の中にいる君の香りや
回される柔らかな手の感触が幸せすぎて
いつだって怖くなるんだ
知ってる
だけど私はどこへも行かないなんて言ってあげない
どこにも行くはずなんてないのに
いつだって自信無さげで 今にも泣き出しそうな
その顔が私は大好きで
とても愛おしいから
だから私の大好きな
その顔を真っ直ぐに見せてっていつも言ってるのに
あなたは今日もはぐらかして私を後ろから抱きしめるの