表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デミデビル  作者: 小夜
3/8

デミデビル2


ふと空を見上げると、積み重なるように濃度を薄めていく紺色が広がっている。

水平線に一筋残る(だいだい)色は今にものみ込まれそうだ。


車道を挟んだ反対側には早足で帰宅を急ぐサラリーマン。電車に間に合わないとはしゃぎながら走る中学生たち。

部活動終わりの高校生にまぎれ、帰路を歩く。

悠も付いてきたが途中で同級生の女子に捕まってしまい、帰ろうとする私に待っててくれと叫んでいた。

もちろん笑顔で手を振って置いてきた。


「ひ…っく、ふっ……」

どこからかすすり泣く声。辺りを見渡すと、小さな女の子が座ってうずくまっていた。

近くに両親らしき大人は見当たらない。外見で言うと3歳くらいだろうか。


「どうしたの?迷子?」

「おねえちゃん。ワたシが、わかル……?」

少しだけ顔を上げて女の子は片言で答えた。違和感を感じたが手を伸ばす。


「うん、お父さんかお母さんはどこ?」

「おかア、サん…!」


女の子の両手が私の左腕をわしづかむ。足元から無数の手が絡みついて離れない。


「は、離して!」

【はナさなイ‼︎】

「やめて、ちぎれ…るっ!」


鞄が落ち、両足を支えに抵抗するも虚しく、腕が引き込まれていく。全身が悲鳴を上げている。

これは違う、()()()だ。

殺される。死にたくない。


「………ぉい、バカ!」


左の手首を力強く引っ張られ、私は反動で尻餅をついた。

目の前には高校の制服ズボン。そいつは革靴で一度影を踏んだ。

にじんだ視界がはっきりしていくにつれ、後ろ姿が映る。気付くと女の子と影は跡形もなく消え去っていた。


「悠?」

「1人になるなって言ったろ」

右手を差し伸べられて引き上げてくれた。


「ごめんな、余裕無くなった」

落とした鞄を拾い、悠は私の身体を持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこ。

「ひぇっ」

「少し我慢してくれ」


「ええええええええええ?」


軽く屈伸したと思ったら、屋根の高さまで飛んでいる。

やっぱり幼馴染は人ではなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ