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第二幕

二十代目桃太郎が鬼の頭領を倒してから10年。


再び鬼が復活してしまいました。


どうやら鬼は以前の頭領の娘、マナを頭領として復活したのでした。


そして桃太郎が住む村を重点的に襲い始めました。


今までは鬼の頭領が倒されてから50年は安泰だったのぜ前代未聞の出来事に村人は焦ります。


桃太郎はそれをいち早く聞きつけ、冷静に鬼ヶ島へ行く準備をしていました。


なぜなら桃太郎はこの10年で鬼から奪った金を全て使い切ってしまったのです。


酒、女、ギャンブルに没頭し、自堕落な生活を送っていた桃太郎。


そのせいか最近7人の妻とも仲が悪く、困っていたそうです。


「金が……。金が必要なんだ……。」


「桃太郎、行くのか。」


「あぁ、今度は鬼どもを復活できないくらいミンチにしてやるぜ。」


「その調子じゃ。こいつを持っていくがいい。」


そう言っておじいさんが渡してきたのは桃色の刀と黒色の刀でした。


「二本だと?」


「あぁ、桃色の方は10年前お前が使った刀、秘剣草薙を鍛え直したものじゃ。そして黒色の方は先代桃太郎しか扱えなかったと言われている《滅亡の妖刀》村正。お前にはこれを使う素質がありそうじゃ、持っていけ。」


「サンキューじいさん。」


「桃太郎。」


今度はおばあさんがやってきて前と同じく黍団子を持ってきてくれました。


そしてもう一つ、婆は禍々しい団子が入った黒い巾着を手渡してきました。


「こいつぁ鬼微団子。鬼の力を微弱だがため込んだ魔術道具マジックアイテムだ。ピンチの時に使いな。」


「感謝するぜ二人とも。それじゃあ行って鬼どもをぶっ殺してくる。」


そう言って桃太郎は10年前と同じ道を歩いていきます。


するとしばらく歩いたところで小太刀をくわえた犬四郎が待ち構えています。


「いふんでふね。」


「あぁ、お前の力も必要だ。俺と来てくれ。」


「もひろんおほもひまふよ。わたひの剣さばきをみへてやりまふ!!」


「犬四郎、喋るときははずそうな。」


そうして犬と一緒に山道を歩いていくと前よりややマントヒヒのように派手に毛を染め両手に女の子をはべらせた猿乗を見つけました。


「あんたらはやっぱりいくんか。」


「あぁ、お前の力も貸して欲しいんだ。」


「これも何かの縁や。しゃーない、わいの力を貸したりましょか。10年前のわいとはちょっとちゃうで!!」


こうして無事猿も仲間に加え、海岸まで来ると10年前に雉子と出会った場所に『桃太郎さんへ』と書かれた手紙が落ちていました。


手紙には、『皆さんごめんなさい。私はあの時の戦いから帰った後、カ◯ネルさんというとても優しい人に出会い、その人と一緒に暮らすことにしました。だから私は一緒に戦うことはできません。』とロボットが書いたような綺麗な字で書かれていました。


「事情があるんじゃ仕方ない、なにも強制的に命を張れなんていえないからな。俺たちだけでいくか。」


「そうですね。」


「なんかわいカ◯ネルっていう人間聞いたことあるんやけど。」


桃太郎は愛しの妻達との生活で口調や性格も少しずつですが穏やかになっていました。


こうして3人はおじいさんのツテで豪華クルーザーに乗り、真・鬼ヶ島を目指します。



【絶望の楽園】真・鬼ヶ島


そして3人は鬼ヶ島につくやいなやいきなり武器を構え、戦闘態勢に入りました。


「俺たちの村で好き勝手暴れやがって、今度は絶滅させてやるから覚悟しろ!!!!」


桃太郎が号令を出すと犬と猿は鬼に飛びかかっていきました。


「僕はこの10年、小太刀を触れるように頑張ってきたんだ。その技をここで使ってやる!!《牙剣、乱刃》!!!!」


そう言って犬は小太刀をくわえながら鋭い太刀さばきで鬼を斬殺していきます。


「わいも負けてられへんわ。10年の山籠りの成果見せたる、《金魔術、これでどうかひとつ》!!!!」


猿は金を構え、魔術を放ちました。


「俺も負けてられねぇな。村正、その力を俺に貸しやがれ!!!」


桃太郎がそう叫ぶと村正の鞘が外れ、紫色の禍々しい刀身がギラリと光りました。


「こ、これが村正か。ずっしり重てぇ、それに魂がすわれるようだ。」


桃太郎は草薙と村正の二刀流で鬼を蹴散らしました。


「着いたぜ鬼の城。」


「油断しなさんな、ここからやばい空気がぷんぷん匂うで。」


「この感じ、すごく嫌です。」


猿は野生の本能で何かを感じ取ったのか身を構える。


犬は地面の砂をぱっぱとかけた。


「よしお前ら、いくぞ!!!」


「「おぉ!!!!」」


3人は城へと入り込み、城の上層部までをどんどん攻略していきました。


一階一階に強い鬼がいましたが3人の力が合わされば屁でもありません。


うんこのようです。


そして最終層、現頭領のところまでやってきました。


「待っていたわ、桃太郎。」


そこには肌を露出させた色白の美人鬼が立っていました。


しかしそんな美人鬼を前に桃太郎は剣を構えたままです。


桃太郎は妻達以外の女に興味はありません。


「お前が頭領か?命惜しくば金目のものを出せ、もしくは今までの虐殺を悔い改めるんだな。」


「やめないわ。これはパパの復讐だもの。」


美人鬼は険しい顔で桃太郎を睨みます。


そしてトゲが生えた黄金の金棒を構え、こっちに突っ込んできました。


「犬、猿、よけろ!!!」


その速さに着いていけず犬と猿は逃げ遅れ、金棒で弾き飛ばされてしまいました。


「なんちゅう力や!!」


「私たちでは歯が立ちませんのでサポートにまわります!!!」


「任せろ、俺が仕留めてやる!!!」


桃太郎は二刀流の構えで美人鬼に攻撃を仕掛けます。


しかし、鬼は金棒で攻撃全てを受け流しました。


川の流れのように穏やかに桃太郎の剣を受け流す姿はまさに鬼の姫といっても過言ではないくらい美しく、綺麗です。


「こいつ、強い!!」


「話にならないわ!!!」


「ぐわっ!!!」


桃太郎は受け流しからのカウンターをくらい、壁に吹き飛ばされてしまいました。


その金棒の一撃は重く鋭く、一撃喰らつただけで桃太郎の体は痺れて動かなくなってしまいました。


「ここまでか……。」


桃太郎が諦めかけているとおばあさんの言っていた鬼微団子の存在を思い出しました。


桃太郎が決死の思いで巾着を開けるとそこには食べ物とは思えないくらい真っ黒に染まった団子が。


迷ってはいられない。


桃太郎はとっさに鬼微団子を口に含みました。


「うぐっ!!」


口に含んだ瞬間まるでドブのような臭さ、砂利のような食感、むせ返るほどの吐き気に襲われます。


それでも桃太郎は妻のため村のためと、喉に流し込むことができました。


すると桃太郎の体はみるみるうちに変化していき、頭には角、大きく鋭い牙と爪、体中の筋肉が膨張し、その姿はまるで鬼のようです。


体の奥底から力が湧き出ている感じがしています。


「Highになってきたぜ。」


桃太郎ははじめての感覚に若干ラリっています。


麻薬でも入っているのてしょう。


桃太郎は草薙と村正を持ち直し、足に思いっきり力を入れて地面を蹴る。


そしてその勢いで美人鬼の正面まで移動し、二刀流で切り裂きました。


人間の体力ならここで攻撃の手が止まってしまいますが今の桃太郎には鬼の力が少し宿っています。


桃太郎はそのまま何度も何度も剣を振るいます。


桃太郎の剣撃は止まることを知らず、桃太郎が疲れ果てた頃には鬼の頭領はただのひき肉になっていました。


「勝ったぜ。」


「も、桃太郎さん……。」


「さすがのわいもドン引きやで。」


そして効果時間が切れたのか桃太郎の体も元の人間の姿に戻っていきます。


こうして二度の鬼退治から村の人間から英雄扱いされ、70人の妻と共に今度こそ幸せに暮らしましたとさ。




END


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