出会い
俺は化け物を倒した。
特に苦戦はしなくて、魔法を使えば余裕で殺せた。
*****
「まぁまぁの肉だな」
俺は今、化け物の肉を食べている。化け物と言ってもしょせん獣なので普通に肉は食べることができた。
「それじゃ行くか」
俺は肉を食べ終わったので先に進むことにした。
*****
「おっと、下に向かっている階段発見!」
俺はようやく先に進めそうな階段を発見した。
先程までは、特に何もなく魔物と数十匹遭遇しただけだったので、すぐに階段を発見できた。
俺は周りを警戒しつつ階段を下っていく。階段を下りるので、次は地下一階となる。下りきったら、さっきまでいた通路と同じに見える通路に出た。
「いや、よく見ると少し通路の幅が狭くなっているな…」
道幅は大人4人が並べるぐらいになった。
しかし、ただ道幅が少し狭くなっているだけなので俺は、特に気にすることなく進むことにした。
『カチッ』
『ガシャン』
足元や近くの壁でそんな音が鳴った。
『ヒュッ』
『グサッ』
俺の顔の前を矢が通った。
(???、え?)
……
………
…………
……………
(あぶね!完全に油断してたな…。)
矢は壁に深くささっている。
あれが、俺に当たれば貫通していたであろう。
よく見ると所々床や壁が少し出ている。
おそらく、そこが罠のスイッチのようだ。
「注意して進めば大丈夫だな」
俺は進んで行った。
*****
「階段みっけ」
分かれ道などは無く、罠もすぐに分かるので、何事もなくここまでこれた。階段を下りると、地下一階と変わらない通路に出た。
「出ているところは、ないな。」
俺は、罠の確認をすると、とりあえずは大丈夫そうなので、先へ進もうとした。が、
『ガコンッ』
という音が足元からした。右足が踏んでいるブロックが沈んでいる。右足が踏んでいるブロックだけが沈んでいる。
『バタッ』
床が開いた。
俺の足元のブロックがなくなった。
(どうやら、この穴はそこそこ深そうだ。)
俺は呑気にそんなことを考えながら落ちていった。
*****
『バッシャーン』
水の上に落ちたようで、それほど痛くはない。
この部屋は、半径7m、高さ14mの円柱となっているようだ。そして、中心3mには水がある。そのほかは石のブロックが敷き詰められている。
「お前は誰だ?」
俺の後ろからそんな声が聞こえてきた。
「え?」
俺は振り返ってみると、そこには7人の人が座っている。
「あなた達は?」
「質問を質問で返すんじゃねぇよ!」
俺が質問をすると黒髪ボウズの男性が怒鳴ってきた。俺はここで争うべきではないと考えたので、素直に自己紹介をすることにする。
「俺の名前はタクト。化け物に襲われて間違ってこの洞窟に迷い込んでしまったのだ。あなた達は?」
「俺は、Aランク冒険者【鈴音の団】のリーダー、ハヤテだ。そして、右からケイラ、ヘザー、ポーラ
だ。見て分かる通り全員人族だ。」
ハヤテは、髪は茶色の男、ケイラは赤髪の女で髪の長さは肩ぐらい、ヘザーは俺に怒鳴ってきた黒髪のボウズの男、ポーラは黄髪の女で腰あたりまで髪が伸びている。全員、俺より身長が高そうだ。
「後ろの3人は?」
その4人の後ろには3人の人が倒れている。その人達は痩せ細っていて、服もボロボロである。
「ああ、こいつらは私たちの奴隷よ。」
ケイラが奴隷達を睨みながら答えた。俺はその奴隷達を見ようとするが、
「それより、あんた間違ってこのダンジョンに入ってしまったって、よっぽど運がないのね。」
ポーラが俺を嘲笑いながら何か言ってきたので、よく見れなかった。
「それより、お前食料持っていないか?持っていたら出せ。」
ヘザーが命令してきた。
「今は、もっていないな。」
俺は、少し肉を持っていたがヘザーの態度がイラッとしたので、肉の入っている皮袋を【暗殺者のローブ】の中に仕舞い込み見えないようにした。
「タクト、お前どんな魔法が使えるんだ?」
ハヤテが他の奴らとは違い普通に聞いてきた。
「《闇魔法》と《変換魔法》が使える。」
《空間魔法》《時魔法》《魔法》はほとんど使えないので言わなかった。
「チッ、卑怯者。」
ヘザーが突然罵ってきた。
「どうして卑怯者なんだ?」
「当たり前でしょ!《闇魔法》なんて、光のある場所じゃ使えないじゃない…。だから、闇魔法使いは相手の不意をつかないと攻撃できない卑怯者なのよ。てか、なんで使用者のあなたが知らないのよ。」
ケイラが疑いの目で見てくる。
「なぜだ?俺は光のあるところでも使えたが…。」
「「「「………………」」」」
「俺たちを騙そうとしているのか?」
ハヤテが睨んできた。
「いや、本当に使えるんだが…。ほら、*凝暗*。」
「「「「?????」」」」
「なぜだ?ここには光がある。光があるところでは《闇魔法》は使うことができないのに……。」
ハヤテが考え事をしている。
「ねぇ、それは本当に《闇魔法》なの?」
「はい。」
ケイラが確認してきた。
「………どうやらお前は特別な闇魔法使いというわけだな。」
ハヤテが結論づけてくる。
「まあ、確かにこの世界にはたくさんの魔法が存在していますからね。そのようなことがあっても不思議ではないですけど、あまり調子にならないようにしてくださいね。」
ポーラが何か言っていた。
「俺のことはもういいだろ。お前達はどうしてこんなところにいるんだ?」
「ああ、俺たちは偶然にもこのダンジョンを発見することができたんだ。だから、攻略しようとここまできたが……ここにいる奴隷がスイッチを押してしまい全員ここに落ちてしまったんだよ。」
ハヤテが説明をしてくれいるが、その目には怒りが宿っている。
恐らく、奴隷に対してだろう。
「この役立たずが!お前らは何のためにいるんだよ!このクズが!」
『ドゴッ』
ヘザーが奴隷の1人を蹴った。
「うっ……」
恐らくその子がスイッチを押してしまった子だろう。
その子は、体の見えている部分だけでも切り傷、火傷、打撲などが多すぎて元の素肌の色が分からないほどだ。しかも、片目が潰れているのか片目だけ包帯を巻いている。
それに、この子は獣族のようだ。尻尾や耳が生えてある。
他の2人の奴隷はエルフ族と人族のようだ。エルフ族の子は緑の髪が肩ぐらいまである。人族の子は黒髪でエルフの子よりも髪は長い。
2人とも獣族の子よりも大切にされているようで、清潔感があり、見た感じ怪我はない。
奴隷3人は全員女の子のようだ。
「それじゃ、早くここから出ましょうか。」
俺は獣族の子を助けてやりたかった。
だから、ここから出ることがあの子の助けになると考えたので、ここから出ようとする。
「おいおい、どうやってここから出るんだよ!ここは、完全に隔離されているんだぞ!壁を壊して進むの不可能だぞ!」
「壁を壊すんじゃない。屋根を壊すんだ。」
「どうやって屋根まで登るのですかね?壁は、上れるようになっていませんよね?」
「簡単だ……。*凝暗*。」
俺は*凝暗*を足場として使い、階段を作っていく。
「へぇ、お前の《闇魔法》は便利だな。俺たちの魔法は足場になど出来ないからな…。」
ハヤテか羨ましそうに見てきた。
天井に手が届く所まで来たが、問題はここからだ。
「*凝暗*……駄目だ、俺の魔法じゃ、これは壊せないな。」
そう、問題は天井をどうやって壊すかだった。
「それは俺たちに任せろ。ヘザーお前の大剣で壊してくれ。」
「ここなら俺の大剣も届く距離だからな。」
ヘザーは大剣を構え、振りかぶった。
天井に亀裂が走り砕け散る。
「やっと出られたよ!」
ケイラが嬉しそうにハヤテに抱きついている。
「よし!それでは先に進むぞ!」
ハヤテが号令をかける。
「「「おう!」」」
他の3人はそれに答える。
だが、獣人の子は震えていたので、俺は少し不安な気持ちになってしまった。




