プロローグ
真っ赤だった。とにかく真っ赤としか言えないほど周りは赤い炎に包まれていた。さっきまでいた僕たちの家は原型が無くなり、ただの瓦礫の山と化していた。その周りをどこから来たのか、モンスター達がうろうろと歩き回っている。
逃げることしかできなかった僕は、ただただ、その様子を山の上からみていることしかできなかった。何でこうなったのか、思い返してみれば今日の村はいろんなところがおかしかった気がする。
いつもじいちゃんの所に来る人間も来なかったし、その人間にいつもついて来ていた人間の研究者?とか言うやつらも来なかった。
最近になって村の警備をしてくれるようになった天使達も今日はいなかった。
さらによく思い返してみれば村が襲われた時も、いつもならモンスター達相手なんかにやられない村のみんなが殺されてしまったことは全然わけがわからない。変身して殺せばいいのに誰もしていなかった。
そういえばなんで僕は逃げたんだ?何で戦わなかった?変身も使いこなせるようになって、魔法も少しだけど使える。なのに僕は弟達、妹が連れていかれても何もできなかった。ただ、その場から逃げなくちゃいけないことしか頭になかった。
父さん、母さんが化け物達に襲われていたときも、助けれなかった。足が一歩も動かなくなった。母さんの「逃げなさい!」と言う叫び声で動くようになった足は、父さん達とは反対方向に向かっていた。もしあの時、父さん、母さんを助けられたら、という妄想をしては、村のある場所が赤く燃えているのをみて現実に引き戻される。
もうどれくらい時間が経っただろうか。なんで今僕だけしかいないんだ?村のみんなや、父さん、母さん、そして弟、妹を助けられたかもしれないのになんで逃げた?どうして戦わなかった?
弱かったからだ。僕が誰も助けられない、誰も救えない、ただの弱者、臆病者だから今僕しかいないんだ。
あそこにいる化け物達も、空から来た奴らも、僕が全部殺せていればこんなことになっていなかったんだ。なにもかも、僕が弱いからこうなった。
強者、圧倒的な強さがあれば弟と妹は助けられる。家族や村のみんなを殺した奴らに復讐できる。誰よりも強くなるには、僕より強い奴らの戦い方、知識を片っ端から覚えて、それを組み合わせてさらに強くなるのが一番早い。村でもそうやってきた。これからもそうしていけばいい、というかそれ以外の方法を僕は知らない。
とにかく僕より強いやつと戦わなきゃな‥‥そう思った僕は、まだ化け物達がいるのを確認すると、焼け焦げて黒い塊になっている村に向かって、山を駆け下りた。




