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能ある鷹は爪を見せてはくれない  作者: 町壁レタス
1章 "巻き込まれ体質"
2/10

私達の国、バストレール



私たちが生まれた国、バストレール国。


緑が多く広大な土地を有する私たちの国。その一辺には海に面した静かな場所もありその場所は国民からも人気が高い場所である。この国は急な災害などは勿論あるが国全体を通し比較的に天候にも恵まれているおかげで農作物もよく育つのだ。気候も雰囲気も穏やかな国で住みやすいと評価されるこの国の国民の数は他の国と比べ多いと言われているのだった。さっきも言ったが、バストレール国は農作物が育ちやすい…そういうこともあってか、私達王族が住む国の中心に建つお城の下、門を背に少し歩けばそこには城下町が広がっているのだった。その城下町を割る大通りでは定期的にバザールと言うものが開かれ賑わいを見せているのだった。毎週定期的に行われるバストレールのバザールは規模がかなり大きいため私達の住むお城の窓から見ることもできて時間があれば窓から覗くことが密かな楽しみであったりする。窓から覗けるほどたくさんの人であふれているバザール。…そんなバザールは私のお父様にあたる現在の王様が示した方針のおかげによりバザールが賑わいを見せるようになったのだ。というのも王様が"バザール出展を老若男女の問わず可とする"と決めた。これによりバザール通りは果てしなく長く続き一番端の出品店をみることができないほど発展させたのだ。この長く続くバザール風景は隣国に向けた私たちの国の特徴として言われるくらいには。




バザールを一歩歩けば左右に別れ多種多様な売り物が売り出されている。例えば、木の実を磨り潰した粉を水に溶かして絵を描いてそれを売っていたり、大きな採れたて野菜が売られていたり、極少数イモリの黒焼きやら、亀の生き血などの不思議なものも売られているこのもある。まあ正直、黒焼きやらなんやらが効くとは思えないが買う人は一定数いるらしい…。ちなみに私は買ったことはない。昔、このバザールは我がバストレール国を表すと王様が嘆いていたことがあったがそれは確かにそうかもしれない。バザールには沢山の商品定期的に並ぶ、これには訳があるのだ。それを一言で言うのならばー…魔法のおかげと言うだろう。



この国の国民達はそれぞれ魔法が使えるのだ。その良し悪しこそたくさんあるが国民全てといっても過言ではない。この国で子が産まれたら母子の状態が安定後、すぐにこの国の聖拝堂にいらっしゃる"聖女様"にお告げをいただくのだ。そこで聖女様から、この子は"育成の法を学ぶとよい"や、この子は"獣使いの法を学ぶとよい"などとお告げを頂き、人はそれを信じ特化し続けるのだ。そして魔法を使えるようになった頃には各個人それぞれの魔法を使いこなし特化した物を作りあげバザールで売っている。これが、このバストレールで定期的にバザールを開催できるカラクリであるのだ。



"聖女様"というのは何もバストレール国に存在するわけではない、各国に"聖女様"は存在すると言われているがその数は減少傾向にあるらしい。それ故か、聖女の存在を隠す国もあれば、逆に聖女が存在しない国は戦争を起こし攻め行った国の聖女を生け捕りにし自国の聖女に強引にさせたり、最悪の場合、殺害をしてしまうとも言われているのだった。我国バストレールでは、国直下で管理する聖拝堂の主として唯一存在する聖女様がいらっしゃる。御歳、83歳。私の大好きな祖母のような存在である。聖拝堂は城の門の中の端の方、離れにあたるところに建っているということもあって幼い頃から嫌な事があった時の逃げ場所としてよく使っているのだ。…まあ、嫌な事というのもお兄様の代わりに出ざるをえない公務のことばかりだけど。



お兄様から頼まれた公務と言えば聞こえがいいが、その内容は社交場の顔だしやらお兄様に嫁ぎたい、同盟を組みたいと考える人達との会談やら縁談やら…とにかく面倒なことばかりだとわかってほしい。私は"ナルーシェ"であって、兄"ニルギーシェ"ではないのだ。お兄様だと思った人から向けられる好意も、バストレール国第一皇子ということだけで命を狙われるのなんて堪ったもんじゃないのだ。そもそも、第一皇子じゃないし!まあ、姿が分かってもらえていないことは大丈夫。それよりか、兄の代わりをするということは国のこれからという未来の舵を握っているとも捉えられるため毎回、毎回手に汗を握らざるを得ないのだ。失敗したらバストレールに何らかの影響がでるだから絶対失敗してはいけないー…ニルギーシェお兄様のように、私が妹だと誰にもバレてはいけない。その重圧は、兄の代わりをする度に私を締め付けるのだ。



次の公務はセジブナル国のパーティーへの参加。例え、友好同盟国としていい関係の仲であっても決して気を緩めることは絶対にできない。



…やっぱり行く前に、聖女様に会いに行こう。

何となく会っておかなければならない気がしているのだ。




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