その71 処女()
大学って大変ですね。時間がゴリゴリ削られていきます。こっちはまだ推敲するだけなので何とかなってますがミリアムの方なんかは全く進まぬ・・・。
漁村の人たちとセレネ様が話をつけてから4日が経った。今日ついに、まあ御察しの通り彩華が目を覚ました。俺が彩華の顔をぼんやりと眺めてたら急に眼を開けたから随分と驚いてしまったよ。
「・・・気分はどうだ?何か異常とかないか?」
「・・・ん、ここはどこ?私は・・・?」
「ここは、俺たちの船の上、お前は3000年くらいずっと眠ってたっぽいな。時系列的には意味不明だが・・・。そこを俺たちが起こした。それで、俺のことは覚えてるか?」
「あ・・・思い出した。私、カイくん殺してから、そしたらなんか動かなくなって、警察の来て、捕まりたくなかったけん、そのまま舌ば噛み切ってから自殺して・・・。」
ひぃぃぃ・・・怖いよぉぉぉ・・・。愛が重すぎるんだよぉぉぉ・・・。
「・・・お、おう。それで、お前方言は恥ずかしいからって隠してたと思ってたんだが、普通に言うことにしたんだな。」
「あっ・・・・・・・・・。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
あ、あれ?何この沈黙すごく雰囲気が重いんですけど。
「ほ、ほら。かわいいと思うよ?方言。懐かしいな〜。だから、さ、その物騒な爪を仕舞おうな?無言で俺に向けないで?」
「・・・・・・」
「ほらごめんって、何か言うこと聞くから。」
「・・・・・・わかりました。では、そこに寝転がって下さい。」
そう言って彩華が指差したのは部屋の中に置いてあったもう1つのベッド。ここは大人しく従っておいた方がいいだろうな。ということでベッドに寝転がる。
「これでいいか?」
「ええ、ではそのまま目を瞑って下さい。」
こいつは昔からそうだった。付き合い始めた頃からだ。普段は彼氏である俺に対してもずっと敬語を使うが、驚いたりするとふと方言が出る。今回は寝ぼけてたからかな。そしてもう一つ、方言を聞かれると切れる。ものすごく。マジで怖い。諦めていう事を聞いて穏便に済むことを願うくらいしかできない。
簡単に言うとお仕置きと称して性的ないたずら()をしてくるんだな。俺のせいではないのに理不尽である。ちなみに途中からお仕置きという体裁を忘れて普通に調教と称して性的な暴力をふるってくるのは言わない約束だ。そして、数年間という付き合いの中で調教の成果が少しずつ実を結んでたのも言わない約束だ。
ギシ、ギシ・・・ストン
「あの・・・彩華さん?どうしてわたしに馬乗りになっているのでしょうか。」
「あら、こうしないと顔がよく見えないではないですか。これからお仕置きをするのに。これから、転生して得た能力を試そうと思っていたんです。カイくんだって、気になっていたでしょう?」
「いやまあ確かに能力は気になってたけどさ。」
「ならいいではないですか。じゃあ、始めるのでさっさと目を閉じなさい。」
こう言われてしまってはもう逆らえない。目を閉じる。そしてその瞬間を待つ。
・・・・・・むにゅ
首筋に柔らかい感覚。俺の首を甘噛みしたり舐めたりしてるようだ。
「うっ・・・。」
ついつい声が漏れてしまう。まったく、こんなことをして何が楽しいんだか。俺がそう思った瞬間、
・・・・・・・・・ちゅぅぅぅ!
「ひっ!?」
・・・いきなり吸われたのか。不思議な感覚だ。何かが、吸い取られていく・・・よう・・・な・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
目がさめる。爽やかな目覚めだ。イメージ的にはたくさん運動してから寝た寝起きだろうか。寝る直前の程よい疲れが翌朝の爽快感を大いに増やしてくれる。
だが、はてさて、昨日は別に運動なんかした記憶はないのだがなぁ。
「おはようございます。」
「ああ、おはよ・・・誰?」
「嫌だなあ忘れてしまったんですか。彩華ですよ。昨日はあんなに激しくヤったというのに・・・。」
ああ、そうだったな。彩華か完全に見た目が変わってるんだった。ところで、
「ヤった?」
「はい。カイくんは本当に良い声で鳴きますねぇ。私も思わず興奮してしまいました。でも仕方ありませんよね。カイくんがあまりにもいい反応をするから。」
「誰かー!助けてー!ここに変態がいるよーー!!」
「誰も来ませんよ。では、調教の続きを・・・。」
ドタドタドタドタドタドタ、バタン!
「大丈夫か!?」
「は、はい。一応大丈夫ですセレネ様。」
「ふむ、本当にか?その痴女に何か変なことをされておらぬか?」
「はい。さっき起きたばかりですし。」
「ならば良いのじゃ。じゃが、忘れるでないぞ、貴様は我のものじゃからな。簡単に奪われるようなことはあってはならぬのじゃ。そして自分の貞操のくらい自分で守れ。」
「ちょっと、さっきから聞き捨てならないのですが。カイの童貞は私のものですよ!」
何言ってんの!?
「甘いッ!!甘すぎるッ!!!洗脳魔法で極限まで味覚を高めた状態でサトウキビを口に詰め込まれたかの如く甘いのじゃ!甘い愛液を滴らせてしまいそうじゃぞぉ!!!」
「な!何を意味不明なことを言っているのですか!?」
「『童貞は私のもの』?笑わせるでない。我はッ!カイの処女も我が物とするぞ!カイの処女も童貞も、我のものじゃ!!!」
「なん・・・だ・・・と。私がそれを忘れてしまうとは、不覚です。くっ!殺せ!!」
「我の・・・勝ちじゃな・・・。」
いや、何だよこの茶番は。しかも何セレネ様まで流れで俺の貞操を奪おうとしてるの。彩華はまあ前世の彼女だからわかるけどセレネ様は張り合ってるだけでしょ。
「いやセレネ様、そもそも俺男だから処女なんてありませんから。別に両性具有とかではないので、冗談も程々にして下さい。」
「?冗談ではないぞ。貴様にも処女があるではないか。」
「えっ。」
「えっ。」
え・・・あるの?俺が無知なだけ?
「うむ、この話はまた後ほどしようかの。それより今は、カイが昨晩何をされておったのかが大事じゃ。」
「それは、私がスキルを試していたんです。」
「ほう、どんなスキルじゃ?」
「簡単に言うと対象の生命力を吸って自分の力にするスキルですね。私のサキュバス側のスキルです。」
「サキュバス側?」
「私は特殊な種族らしく、サキュバス、ドラゴノイド両方のスキルが使えるんです。」
「・・・聞いたこともないな、2種族のスキルが扱える種族など。これは、貴様についてもう少し詳しく聞く必要があるようじゃな。全て話してもらうぞ。」