その58 後処理
さて、状況が少々面倒になってきたが、未だに俺たちのすぐ近くでは巨人と龍による壮絶な殴り合いが繰り広げられているということを忘れてはならない。
「戦闘の行方を心配しておるのなら、安心せよ。我が人形に敗北はない。」
セレネ様が安心させるようにして言い聞かせてくる。その言葉の通り、赤い巨人はだんだんと龍を圧倒していき、その拳が一発、二発と龍のガードを掻い潜って直接ヒットするようになっていく。
そしてついに・・・龍のほうが軽くふらついたかと思うと、そのまま一気に倒れこんだ。
「さて、帰るぞ。」
セレネ様はそれだけ言うと何事もなかったかのように洞窟のほうに歩きだした。
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そんなわけで生活空間まで戻ってきた。ちょうど今、クイーンに報告したところだ。
「・・・はぁぁぁぁ。ええ、よくやりました。素晴らしい成果です。あなた方のおかげで我々キメラ族はこの島の地上の覇権を取り返すことができました。でも、もっとほら、こう・・・はぁ。言っても無駄ですね。超特殊個体が二人と魔王様ですし。・・・・・・ではカイ、星龍を処理すればこの国を譲ると言いましたね。唐突になってしまいました今がその時のようです。ですが、これはカイ1人、もしくはカイとルナの2人ではなし得なかった事。小国で、名ばかりではありますが、3人で一緒に治めるという事でどうでしょうか。」
「俺はそれで問題ないな。セレネ様なら経験もあるだろうし。」
「カイがそれでいいなら私もそれで問題ないわ。」
「我もそれで構わん。もう権力には興味はないからな。」
「では、今日はこれくらいにしておきましょう。あ、魔王様は王権のスキルは持っていますか?」
「うむ。じゃが我は疲れた。もう休めぬか?」
「それもそうですね。では、今日中にこの国の所有権を3人に移しておきます。また明日、手続きが正しくすんだかを確認しにここまできてください。」
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「ここが我の住む場所か。」
「はい、急ごしらえですが生活領域内では1番良いところだと思います。では、また明日の朝ここに来ますね、セレネ様。」
「・・・嫌じゃ。貴様は我の抱き枕だと言ったであろう。抱き枕は抱き枕らしく我と共に寝床に横になるのが筋というものじゃろう。」
「でも・・・家まで戻らないとルナが怒っちゃいますし。」
「それなら心配ないのじゃ。我とルナで決めておいたからの、貴様の抱き枕順を。今日は我の番じゃから心配せずとも良い。」
え、いつの間に?でも、魅力的な提案ではある。だが流石にそれは・・・。
「畏れ多いですよ。そんな事。」
「むぅ、貴様は欲望への忠実さと野心が足りぬのじゃ。どうせ、我の幼いからだを貪り尽くしたいと思っておるのじゃろう?ほれ、やれるものならやってみるといいのじゃ。」
「いえ、そんな事はしませんし、思ってもいません。いやまあ、まったく思ってないと言えばそれは嘘になってしまうかもしれませんが。それ以前に俺は・・・受け、ですので。」
「ほぉ、じゃからあんな願いをしたのじゃな。やっと腑に落ちたぞ。そういう事なら、我と共に寝よ。貴様の感じたことのない甘美な感覚を味わわせてやろう。」
「いや、でも・・・。」
「まだわかっておらんようじゃの。これは頼みではない、命令じゃ。もう一度聞く、我と共に寝るのじゃ。」
「・・・はい。」
「やっと素直になったのう。2度目じゃが貴様はもっと欲望に素直にならねばならんのじゃ。」
「まずは貴様の精神に直接、我が貴様の主で、我の貴様に対するあらゆる行為が快感であると刻み込もうかの。なに、安心するのじゃ。貴様はそこで抱き枕らしく何も考えずに、我の抱擁を受け続ければ良いのじゃ。」