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その50 天使の意思

 ・・・・・・・・・・・・!!


 圧倒的な光が空間を満たしていく。目を閉じていても、瞼越しに目を焼かれているかのようだ。闇の魔力を瞼に集めて魔法を発動、目の前に闇を展開する。これで光が多少は和らぐ。もちろんルナの目の前に展開することも忘れない。


 だんだんと光が和らいできた。もう目を開けても苦痛じゃない。そして目を開けると、そこにいたのは・・・


「ここは、下界か。復讐を司る復讐ノ天使リベンジャーエンジェルたる我がここに召喚されたという事は復讐対象は・・・貴様らか。貴様らに個人的な恨みは無いが、召喚主に呼ばれた我は主の意思を達成することで下界において天使の権限を越えた自由が保障されるのだ。おとなしく殺されてくれ。」


 一見人間のような姿でありながらも、みすぼらしい白い布に身を包み、頬は痩せこけ傷だらけで血だらけだ。それでも俺とルナを睨み付ける真っ赤な、ギラギラと威圧感を放ち続ける瞳。その手に持った三又の槍は、種族として闇の存在である俺たちの肌をジリジリと焦がすような神々しいオーラを放っている。そいつは、純白の美しい三対の翼を持つ、美醜両方をその身に宿した、美しくて醜悪な天使だった。


 将軍の装備品だけが転がってるから復讐ノ天使リベンジャーエンジェルは肉体に宿ってそれ以外は捨てたようだ。


 それにしても、あいつの放つ威圧感と殺意は本物だ。ただで逃してはくれないだろうな。


 まあ、一応ダメもとで、


「お前が復讐ノ天使リベンジャーエンジェルで間違いなさそうだけど、ここはひとつ、逃してくれないかな?悪い話じゃないと思うぞ。ほら、このまま戦うとただじゃ済まないだろうし。」

「ほう、下等生物如きが我と互角以上の勝負をするつもりなのか。実力差も理解できぬ可哀想な貴様はこの我がここで完全に滅ぼすとしよう。」


 まあそうなりますよね~。


 それにしても、将軍は完全に乗っ取られてしまったのか。さっきまで力を完全に扱いきれないみたいな事を言ってたし、かなり正気を失ってたようにも見えた。人間としての自分は残らないといったようなことも言っていたが、冗談ではなかったようだ。


 だが何にせよ、あいつが俺を殺そうとしてるのは変わらない。迎え撃つまでだ。見た感じだと1人じゃ勝てないだろうな、ルナにも協力してもらわなきゃ。


「ほらルナ、あいつの言う事なんか気にするな。あいつが何と言おうが関係ない。俺と一緒にあいつを殺そうぜ?手伝ってくれるか?」

「・・・うん・・・てつだう。」

「よっしゃ、その意気だ。」


 ルナは涙をぬぐって、三魔法球を体の周囲に浮かべて応えてくれる。頼もしい。


 俺も聖魔銅刀と雷炎鉄刀をいつでも抜けるようにして悪魔の魔法棘デビルズスティンガーにもいくつかの魔力結晶槍を生成しておいて投擲可能な状態にしておく。


「その女との最後のおしゃべりは済んだか?では、死ね。」


 スッ・・・キンッ!キン、キン、キンッ!


 復讐ノ天使リベンジャーエンジェルは素早く距離を詰めて持っていた槍を軽々と振り回しながら初撃を打ち込んでくるが、それを雷炎鉄刀で受け止めてそのまま切り結んでいく。


 ルナも相手にスキができたタイミングで石の弾丸を飛ばしたりしてアシストしてくれるが、その程度の攻撃では簡単に避けられてしまったり弾かれたりしてしまう上に、当たったとしてもあまり効いているような様子が無い。


 武器を利用した防御だけじゃなくて単純な防御力もかなりの物のようだ。それに、わかりにくいが、身に纏ってるみすぼらしい布もさっきから全く傷ついてない。かなり高い防御力を誇る素材でできてるようだ。


「ちょっとカイ!全く効いてないわよ、このままじゃ何もできずにやられちゃうわ!」

「わかってる!小さい攻撃じゃダメージが通らない!俺が時間を稼ぐから何かデカイのを頼む!」

「我がそんな事をさせると思っているのか?翼弾ウィングバレット!」


 復讐ノ天使リベンジャーエンジェルの三対の翼から放たれた無数の羽が猛烈な勢いで俺に襲いかかる。


 問題ない。聖魔銅刀を通して増幅した光属性の魔力を展開、斥力場を発生させる。翼弾ウィングバレットは全てこれで弾ける。


 だが、この状態では俺にとって翼弾ウィングバレットの威力が強すぎて斥力場を維持するのがやっとだ。ルナは復讐ノ天使リベンジャーエンジェルに大ダメージを与えられるような強力な魔法を発動するために魔力を貯めている。今ルナを攻撃されたら対抗策は限られてしまう。


 そして、復讐ノ天使リベンジャーエンジェルもそれを分かってるわけで、今にもルナを攻撃しようと、翼弾ウィングバレットを出し続けながらルナに歩み寄っていく。


 だがまあ、対抗策は限られてるだけであって無いわけじゃない。


 よって、次の手を打つことにする。

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