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その45 遭遇

 俺とルナは、クイーンと一緒に数日間クイーンの部屋に引きこもって魔法の開発をしていた。俺の科学的な知識とルナの魔法能力、そしてクイーンの国の長としての集合的な知識を組み合わせて便利そうな魔法をいくつか、そして強力な魔法を1つ作った。後者はあまりにも難しくて扱えるのはルナだけだがな。


 さて、今日も星龍戦に向けてレベリングとルナとの連携の確認だ。まあ、確認といっても昨日は敵が弱すぎたおかげで確認も糞もなかったんだがな。


 最初に囲まれた以外はほとんど危なげもなく進んで行けた。セレネ様の試練で強化された自分の実力を実感してるところだ。だが、今日はもっと奥に進む予定だからルナとの連携も必要になってくるだろう。


 まあ俺とルナの連携については全く問題ないと思うがな。唯一不安な点はといえば、昨日から腕に違和感があるということだ。なんだか腕の内側が硬い(?)ような感じがする。クイーンに聞いてみたが、何かはわからないそうだ。まあ、あまりきにする必要はないだろうけど。


 さて、なんだかんだで昨日と一緒の場所に到着した。ここからさらに奥に進んでいく予定だ。


 じゃあ、行こうか。


  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 あそこから大体500メートルくらい進んだ。通路はちょくちょく曲がっているものの、枝分かれはないから迷うことなくここまで来れてるし、帰るときも迷う心配はないだろう。


 今の所遭遇してる魔物はデスウルフ、鎧熊、そして今日初めて見る魔物もいる。魔獣人形(ビーストパペット)だ。


 簡単に言うと腕が4本ある尻尾の生えた身長3メートルで四足歩行の球体関節人形だ。ただしそののっぺらぼうのような顔面には薄気味悪い赤の光を放つ宝石のようなものが埋め込まれている。個人的には割と好きなデザインである。


 こいつは正直戦っててちょっと焦った。魔力爪とかで腕を切り落としても頭を切り落としてもすぐに何事も無かったかのように拾ってくっつける。潰してもすぐに再形成される。胴体部分は攻撃しようにも何らかの物質の保護されてているのか攻撃が全く通らない。唯一まともにダメージが通る目の部分は攻撃がすごく当てにくい。


 こいつに少しでも知能があったなら俺達は少々不味い状況にあったかもしれない。まあ切り抜けれた自信はあるんだが。


 こいつの攻撃は全部単調で大体は突進か、歩行に使ってない腕での叩きつけや薙ぎ払いの攻撃だけだった。避けるのも非常に簡単だ。


 最終的には俺が攻撃を避けながら時間稼ぎをして、その間にルナが三魔法球全部と自分を使った、手数4倍の石槍の一斉掃射でごり押ししたら胴体部分が砕けて活動停止してくれた。


 普通にやれば負ける要素は無いけど、倒すのに時間がかかる面倒なやつだ。


 倒した後に興味深かったのは、砕けた胴体の内部に複雑な紋様がびっしりと刻まれた魔結晶(マナクリスタル)がいくつも置いてあったことだ。それに、腕や足や頭、胴体といった全てのパーツを確認したところ、全てに同じマークが刻まれていた。


 太陽が中心にあって、そこに剣が上から刺さって、全体に龍が巻きついてるようなマークだ。


 一体何のマークかはわからないが、このマークは覚えておくとしよう。


  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 もう少し奥までやってきた。でも、これはちょっと厄介な事になっちゃってるのかな?明らかに誰かがいたような形跡がある。キャンプファイアーのように積まれた小枝。ちゃんと消火はされて形跡は隠されて、ただ枝が積み重なってるように見せているが、六感強化で強化された俺の鼻は、残った煙の匂いを微かに嗅ぎ取っている。間違いなく誰かいた。


 さらに奥の方に目を向けてみると、ところどころ壁や地面に血のシミが付いていて、ここで戦闘が行われたことは間違いない。一体どうなってるんだ?


  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【約1時間前、島陸上】


「先鋒隊の様子はどうだ?」

「はっ、ロドロフ様。現在特に問題はございません。出現する敵は強くても鎧熊程度、我々の敵ではございません。死傷者少数でいずれも軽傷、魔獣人形(ビーストパペット)の設置も無事終えて帰還中でございます。あと5分程度で出てくるでしょう。」

「よし。引き続き様子を見ておいてくれ。」

「はっ。」


 さて、この島の奴らはすぐに異常を察してこっちに対する攻撃を開始するだろう。私の勘と記憶が正しければな。確かあいつらは妙に情報の伝達が速かった。


「て、敵襲!相手は2体、魔獣人形(ビーストパペット)と現在交戦しています!」


 ふむ。予想以上に数が少ないな。だとすれば、こいつらはただ偶然ここにいたと考えるのが普通だろう。もしくは偵察のようなものか。いずれにせよ問題はない。我が国が新たに開発した魔獣人形(ビーストパペット)はそう簡単にはやられない。


魔獣人形(ビーストパペット)が相手をしているのならば問題ないだろう。戦闘の状況はどうなっている?」

「敵の一体が見たこともないような武器を取り出しました!浮遊する3つの球の様です!」

「ほう。興味深い。その球はどのようなものだ?」

「球の持ち主と思しき者の意思に従って動き、魔法を放っていることから、魔力発動の補助装置かと思われます。・・・っ!魔獣人形(ビーストパペット)がどんどん押されていきます!このままではコアを維持できません!・・・魔獣人形(ビーストパペット)との接続が切れました。内部の視認はもうできません。いかがなさいますか?」

「戦力を小出しにして牽制を続けろ。相手がしびれを切らして洞窟から出てきたら、星龍と共に迎撃する」


  魔獣人形(ビーストパペット)を簡単に倒すとは、少数精鋭で攻めてくるつもりか?


 まあ、我々に敗北はありえない。なにせ、天使の力を味方につけているのだからな。ああ、楽しみだ。

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