その43 レベリング
当初の予定とは少し違う感じになってしまったが、ルナの武器が無事完成した。
もともと俺が作ろうとしてたのは、空中に球を浮かせておくことでそこからも魔法を発生させて手数を増やしたり、2つ同時に魔法を発生させることでより複雑な現象を起こしたりする事だったんだが。
球が3つに増えたことで、武器としてより高い効果が期待できるようになった事は間違いない。
だが、そのおかげで武器が格段に扱いづらくなっただろう。本来だったら自分と球の2つを同時操作できれば良い武器のはずだったんだが、球が3つになったことで他の球に気がとられてしまって魔法が全体的におろそかになってしまっては元も子もない。そこをしっかり使いこなせるかは完全にルナにかかってるな。
さて、武器の作成も終わったし、あと星龍戦に向けてできるのは、レベリングかな。
星龍と戦うまでに進化できれば万々歳なんだが、あまり期待はしないほうが良いだろう。今回主に狙うのは単純な、レベルアップによるステータスの底上げだ。
という事で、新武器の試運転も兼ねて、今からルナと一緒にレベリングだ。
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さて、いつも通り生活領域の外までやってきた。まあ、かなり久しぶりに戻って来ておいて「いつも通り」ってのも変な感じではあるが。
俺がいなかった間ルナはクイーンに協力してもらってレベリングを自分でやってたようで、ここ周辺に出現する敵は把握してるとか。何でもクイーンは直接戦闘は苦手でも他人の戦闘補助は得意らしい。
さて、そんなルナによると生活領域から遠ざかるほど敵が強くなっていって、この地下空間の出口付近まで、つまり星龍の目と鼻の先、まで行くと地上で星龍に生活空間を追われた地上の魔物がいるそうだ。
そいつらが安全に倒せる魔物の中で1番強いそうで、安全が保障されてるものだけを考えれば恐らく経験値が1番美味しいところでもあるだろう。
だが、これは星龍戦に対する準備。安全に戦闘したんじゃ意味がないだろう。という事でルナにはもうちょっとだけ敵が強い場所に連れていってもらう。
地上へ繋がる道から少しだけ横に逸れた場所から行けるところに、地上から追いやられた魔物が住み着いて独自の進化をして、特異な生態系を築いてる場所があるらしい。
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・・・着いた。
ここは、ルナ1人だと致命的な傷は負うことはないけど、気を抜いてると普通に一撃もらうくらいの強さの敵がいるそうだ。・・・随分と具体的な説明だが、体験談だろうか?
まあそれはさて置き、先の方を見てみると、丁度魔物らしき生物が1匹だけ奥の方にいる。
見た感じ、少し大きめの狼のようだ。狼にしてはがっちりとした体格で、尻尾が2本あるのが特徴だな。
【スプリットテイルウルフ】
【大きな狼型の魔物で、その筋肉質な体格と2本に分かれた尻尾で識別される】
【進化の過程の中である程度洗練された姿を手に入れたためか広範囲に安定して生息しており、特殊な個体も少ない】
【肉質は硬く、食用には向かない】
【統率の取れた狩りが得意で、1匹を囮として使い、その間に獲物を取り囲む】
【そのため、1匹発見した時にはもう遅いと言われている】