その40 準備
さてと、みんなと久々に会えたことだし、そろそろ星龍の討伐に向けて準備を整えていかないとな。いろいろとあったせいで忘れてたけど、よくよく考えてみたら俺の最終目標は星龍を倒すことだ。善は急げと言うし、できるだけ早く討伐してしまいたいな。ただ、星龍は過去にこのキメラの国の最強の戦士たちをやっつけてきたらしいから、一筋縄ではいかないだろう。準備をしっかりとしなきゃな。
まあこんなにも急ぐのにはちゃんと理由はある。そんなに大した理由ではないんだがな・・・この世界の人間というものを見てみたい。
というわけで今日は星龍をさっさとやっつけるための準備の第1弾、装備の準備だ。
さて、かなり昔の話になってしまうが、皆は俺がクイーンに要求して、許可はもらったけど結局手に入れることが叶わなかったものを覚えてるだろうか?そう、魔結晶・虹励起だ。あの時は全属性の同時操作ができなかったから回収はできなかったが、今の俺には全属性魔法がある。問題なく回収できるはずだ。たぶん。
今日は回収した魔結晶・虹励起から可能ならば装備一式、それが無理でも少なくとも俺とルナ用の武器は完成させる。あぁ、ルナにどんな武器を使うのか聞いておかないとな。
まずは回収だな、魔結晶・虹励起を回収するか。
とりあえずはクイーンが全属性の同時操作ができないと回収できないと言ってた意味を確かめたい。てなわけで一本だけ根元から折ってみる。
・・・おぉ凄い。大体触った感じ、体積当たりの重さ、密度が鉄の倍くらいはあるんじゃないかな?
うーん、別に全属性の同時操作ができなくても問題ない気がするが・・・ん・・・いや・・・あぁ、これはだめだな。うん。猛烈な勢いで俺が手に持ってる結晶が軽くなっていく。それと同時に結晶内部に渦巻いてた虹色の光が見る見るうちに薄くなっていく。
最終的には、中に残った虹色の光も僅かになって、、あれほど重かった結晶も体感で、水程度の密度になってしまった。
その差、実に16倍である。
予想するに、非常に大きな質量を持つほどに圧縮された魔力が折った時の断面から一気に逃げ出してしまったんだろう。俺としてはどうやってそこまで魔力を圧縮することができたのかが非常に興味をそそられるが、今考えるべきはそこじゃないな。
問題はどうやってこの結晶を完璧なまま回収するかだが、もう案は考えてある。さっき確かめたんだが、断面から、その場所に対応する魔力をちょっと流し込んでやると、その場所に断面が安定する。
よって、結晶を折った瞬間に断面からその場所に対応した属性の魔力を流し込めば断面が安定して、そこからの内部の魔力の流出を阻止することができる。
ここで問題となってくるのが、折った瞬間にどの属性の魔力が断面に来てるのかわからないということ。そして、折った瞬間に断面に来てる魔力が分かったとしても、内部の魔力配置は絶え間なく変化してるから、できる限り早く、そしてタイミングよく正しい種類の魔力を流さなくてはならないということだ。さっきも言った通り、結晶内部の魔力は渦巻いていて絶え間なく動いてる。カギとなるのは反射神経だろう。
まあ、問題ない。
前世から、某神制作会社のピアノ調の美しい旋律の楽曲で寂しくそして儚くも見るものすべてに感動を与えるストーリーを紡ぎだしたとある音ゲーと、他にはない斬新なシステムで世界各国で支持を得、様々な難易度の楽曲で幅広い層から愛され、独特の近未来的世界観でプレイヤーを魅了したこれまた神音ゲーで鍛えてきた俺の反射神経とタイミングセンスがあればな!
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ざっと200キロは回収したかな。これだけあれば俺とルナの分を作るには確実に足りるだろう。
じゃあまずは自分の武器から取り掛かろうか。