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その38 四次元干渉

「なぁジィさん、早速で悪いんだが、これはどうなってるんだ?最後の試練はここでやるもんじゃないのか?」

「はい。大魔王セレニティ様は、今までは封印の空間内で封印が薄れて脱出できる日が来るまで気長に待つつもりでいらっしゃったのですが、カイ様と出会われたことにより現在の外の世界というものに興味をお持ちになられました。久しぶりに外に出てみたいとも言っておられました。そして我々は大魔王セレニティ様の眷属。全力でこれに応えるのが眷属として当然のことでございます。また、カイ様が聞いているかはわかりませんが大魔王セレニティ様はここから思いのほか早く出れそうだともおっしゃっておりました。カイ様は眷属ではございませんので強制はできませんが、最後の試練を免除するかわりに大魔王セレニティ様の復活に協力していただけないか、というのが今回の試練でございます。」

「なるほどな。ああ、当然俺はそれでいいぞ。セレネ様をあそこから出したいのは俺も一緒だからな。・・・ただ、これは純粋な好奇心からの質問なんだが、もともとの最後の試練は何なんだ?」

「我々が用意した特殊な空間で1か月の絶食をすることでございます。」

「・・・それって確実に死なない?」

「今まで挑戦してきた方々は大体この試練の内容を聞いた時点で無理なのを悟って強行突破をしようとしてきました。まあ私は無敵の防御力があるので結果としては試練を受けている方が私を突破しようとする途中で空腹で倒れて試練終了という、絶食とあまり変わらない結果になるのですが。」

「お、おう。まあ、俺としても絶食を避けれるのは願ってもないチャンスだ。ありがたくそうさせていただこう。それで、結局のところ報酬はなんなんだ?それが無いとここからは出られてもセレネ様の封印の空間からは出られないんだろ?」

「報酬はスキル、四次元干渉でございます。これまでの内容から見ると、カイ様は情報習得系統のスキルをお持ちのようですから、効果はスキルが手に入った時点でそのスキルを用いて確認すれば良いでしょう。」

「了解した。その四次元干渉とかいうスキルはいつ手に入るんだ?」

「玉座に向かって左側の壁の扉。あの扉の奥にこの洞窟から出るための転移魔法陣が設置されています。その転移魔法陣を通った時点で四次元干渉が自動的に獲得できるようになっております。」

「そうか。感謝する。じゃあ行くぞお前ら。」

「それではカイ様方、行ってらっしゃいませ。」


 部屋の奥の扉を開けて・・・おぉ、あったあった。


 直径5メートルくらいの巨大な魔法陣だ。うん、まあ、ザ・魔法陣!みたいな見た目の魔法陣だな。幾何学的な模様が敷き詰められた六芒星があってそれに外接するようにして二重の円がある。さらに2つの円の間には大量の文字がびっしりと描かれている。1つ突っ込みどころがあるとするなら魔法陣に描かれてる文字が全部アルファベットなことくらいだろうか。


 それを見たとき、ちょうど俺英語読めるしちょっくら解読してやろうかと思ったんだが、よく見たらアルファベットなだけで全く英語じゃなかった。残念。


 という事で魔法陣に乗って、


 例のごとく魔方陣が光って、


 あ〜だんだん意識が遠く・・・


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ん・・・スライムたちはどこに・・・お、いたいた。軽くジャンプして体に付着した砂を振り落すような動作をしてる。この様子なら大丈夫そうだな。


 さて、


「セレネ様~、試練を無事達成して戻ってきましたよー。」


 ・・・。


 ・・・。


 あれ、いないのかな?でもさすがにこの空間内に居ないなんてことは無い筈だし。


 ん?・・・あっちのほうからセレネ様の声が微かに聞こえる?


 以前ここに来た時にここは完全に真っ暗な空間だから、閉ざされててその空間において壁にあたるものが真っ黒なのか、それとも光の存在しない(もしくは存在はするけど目に届く前に闇の魔力に吸収されてしまう)空間がまるで宇宙のように無限に近い広がりを持ってるのかのどっちかだと予想はしていたが、遠くからセレネ様の声が聞こえるということは後者が正解だったようだ。


 空間の広がりがどれだけのものなのかは俺には見当もつかないけどな。


 じゃあ、セレネ様が何をしてるのかはわからないけどとりあえずセレネ様のところに行ってみるか。


 さっきまでは気づかなかったけど声がする方に目を凝らして見てみるとかなり遠くの方に小さな小屋のようなものが見える。セレネ様は多分あそこの小屋にいるだろう。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 大体200メートルくらい進んだ。これまで微かにしか聞こえなかったセレネ様の声がだんだんはっきりと聞こえるようになってきた。


「・・・・・・・・・ん・・・・・・じゃ・・・ぃ・・・・・・・・・あ・・・」


 だめださっぱりわからん。もうちょっと近くまで行こう。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 小屋から100メートルくらいのところまで来た


 大体この辺まで来るとスキルの助けもあってセレネ様の声はかなりはっきりと聞こえる。


 うん。まあ、ちょっとやらかした感はあるよね。セレネ様の名誉のためにも、何も気にせずにさっさと四次元干渉を使って帰ればよかったと思ってるよ。


 理由?これを聞けばわかるんじゃないかな。


  「ん・・・ん・・・・・・んぁ・・・」

  「あぁん・・・あっ・・・」

  「・・・んん・・・あっ・・・あ、あぁぁぁぁぁ♡」

  「ん。これだからこれはやめられぬのじゃ。次はいつしようかの。」


色欲者ラスターがレベル10に達しました】

色欲者ラスター色欲ラストに進化しました】

色欲ラストを獲得したことにより、情熱転化エロパワーを獲得しました】


 この後めちゃめちゃ見つからないようにして封印の空間から脱出した。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 セレネ様は一体ナニをしてたんだ?


 それにしてもさすがセレネ様。そのボイスは聞く者の色欲を司るスキルを一撃でカンストさせる!


 いや、マジですごくエロかった・・・。


 でも、俺がそこにいるの気づかれてたら軽く殺されてたかもな!はっはっは!


 ふぅ。ちょっと落ち着こうか、俺よ。


 ・・・よし、落ち着いた。


 さて、俺が今脱出に使ってる四次元干渉についてちょっと話そうか。スキルの説明自体はこんな感じだ。


【四次元干渉】

【第四次元に干渉する能力を得るスキル】

【このスキルの使用は体力も魔力も消費しないが、連続使用時間と再使用までの待機時間に制限がある】【連続使用時間と再使用までの待機時間の制限はスキルレベルと共に改善されていく】

【このスキルには上位次元内で自己の存在を安定させるための効果もあるので、四次元に対して干渉中に効果が切れた場合は、自己の存在が崩壊する】


 説明はこれだけ。まあ、見てわかるように四次元干渉はその名の通り四次元に干渉するスキルだ。ただ、今説明しても分かりにくいから四次元というものについて軽く説明しておこう。


 まず最初に、四次元とされるものはいくつかある。


 かなり有名なのは、四次元目を時間軸とする考え方だろう。


 だがここで俺が話してるのはそっちじゃない。俺が話してるのは、簡単にいうと空間同士が重なり合うという意味の四次元だ。


 点、つまり零次元をたくさん集めると線になる。


 線、つまり一次元をたくさん集めると面になる。


 面、つまり二次元をたくさん集めると空間ができる。


 よって空間、つまり三次元をたくさん集めると四次元のである「何か」ができると考えるのは自然なことだ。


 では、この「何か」が何なのかが問題なわけだが。俺は、空間が重なり合っている物として捉えるようにしてる。お互いをすり抜けられる立方体を複数用意して、そいつらがお互いをすり抜けながら同じ一箇所に集める。


 こうすると立方体一個分のエリアの中に立方体複数個分の空間が収まってることになる。


 ここで俺が通常いる世界をこの立方体の一つととらえる。


 この立方体、つまりいつもの世界の中に居た場合、空間は重なり合っているがその重なり合った空間同士を行き来することは不可能である。


 だが、


 ここで「空間」1つを三次元、複数の三次元空間を1つの個としてみたものを四次元とすると、俺らは、自らを三次元の存在から四次元の存在へと昇華することができればそこに重なり合った全ての三次元空間へのアクセスが可能になる。


 そして、俺たちがいるこの現実が三次元空間の1つ。セレネ様の封印空間がもう1つの三次元空間。そう仮定すると封印空間から四次元干渉のスキルで脱出できることも説明がつく。


 これが俺の予想する四次元干渉の正体。自らの存在を一時的に四次元の存在へと昇華するスキルだ。


 まあ、元々ここで使った四次元の理論も自分にとって理解しやすいように俺が独自解釈したものだから正式な理論とは大きく異なる可能性が高いがな。


 スキルのことをこう解釈すればつじつまが合うってだけの話だ。


 さて、そろそろ移動が完了しそうだ。


 あ、移動のイメージは空を飛んでて、眼下に様々な世界が展開してる感じかな?ただ、そこに行けるような気は全くしなくて、既に行ったことがある場所にしか行けないような気がした。おそらく力量が足りないとかの理由だろうな。


 俺を簡単に封印の空間に閉じ込めた勇者の凄さを改めて実感させられるな。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ・・・ん、スライムたちがいないな。一体どこに行ったんだあいつら?


 う〜む、あ!あそこだな。ちょっと俺から離れた場所に出てきてしまったようだ。それに、ちょっと待てよ。あそこにいるのは・・・。


 ふふ、久しぶりだな。思いっきり驚かせてやろう。


 スッと現れてちょっとわざとらしく驚いた感じを出しながら言う。


「お〜。レインボーエレメンタル、ここにいたのか。それに、そこにいるのは・・・もしかしてルナか!?久しぶりだな。会えて本っ当にうれしいぞ!てか、また一段と可愛くなったなぁ。」


 本心だ。また進化を重ねたのかな?見た目が変わってる。てか、ルナのロリボディが未だに維持されてるのが不思議なんだが。経験則だけど進化したら成長するものじゃないの?


 まあ、今はそんなことどうでもいい。


 今大事なのは顔がみるみるうちに赤くなっていってめっちゃキュートな事になってるルナたんだ!


「あ、あんたにそんな事言われたって嬉しくないわ!勘違いしないでよね!あんたに会いたかったとか、会えて嬉しいとか、これぽっちも思ってないんだから!!カイのばかぁ!!なんで早く帰って来なかったの!?私・・・ずっと会いたくて寂しかったのよ!うわあぁぁぁぁん!!!」


 お、おう。流石にそこまで言われると言われたこっち側まで恥ずかしくなるぞ。


「・・・あぁ、やっぱりルナたんはかわいいなぁ・・・。」


 たとえどんなに恥ずかしかろうが俺の心の声は心の声のままでは居てくれないようだ。


 あっ・・・ルナ逃げちゃったし。


 まあかわいいからいっか!


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