その36 扉の奥
しばらく待ってたらある程度魔力が回復したようだ。体感で1時間だろうか?
心なしか洞窟の外よりも回復が早い気がする。周囲で死んだ大量の匠さんが魔力を出してるからかもしれないが、真偽は定かではないな。
まあ、あまり気にする必要は無いか。扉の破壊に移ろう。
とりあえず火薬生成である程度まで回復した魔力の半分くらいを火薬に変換する。魔力をほぼ使い切るようなヘマは二度としない。
・・・できたな。
スキルの説明にあった通り、生成した火薬は物質化されず今現在俺がいる空間では無いどこか保管されるみたいだ。原理はさっぱりだが。
さて、今度は這い寄る緑の軍勢を使ってついさっき生成した火薬を匠さんに変換していく。
変換するといっても女王みたいに色々な種類を作ることができるわけじゃない。ちょっと見てみたところ、今作れるのは通常の匠さんだけだ。新種の匠さんはおそらくスキルレベルと一緒に解放されていくとかだろう。
ということで1番ベーシックな、ただの匠さんを作っていく。今さっき俺が回復した魔力の半分、全魔力の三分の一だけの分の火薬だとざっと5体くらいだな。
つまり俺の全魔力で15体前後。いかに女王の魔力量が馬鹿げてたのかがわかるな。
まあいいや。5体の匠さんの作成が完了した。
俺とスライムたちは一旦安全な場所に退避して・・・この辺まで来ればいいか。匠隊、突撃〜!
・・・てくてくてく・・・ピタッ。ジジジジジジジジ・・・ドカァァァン!!!!(×5)
うわー。扉が周囲の壁と地面諸共跡形もなく消えた。さすがは匠さん流石の爆発力だな。ぜひ見習いたいものだ。自爆はしたくないけど。
さて、扉の先には何があるのかな?
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「よくぞここまでいらっしゃいました、カイ殿。ここまで来るのを長らくお待ちしておりました。まさか扉を爆破するとは予想外でしたが・・・まあとにかく、よくぞいらっしゃいました。」
そこにあったのは、石造りの神殿の内部のような真っ白な部屋、その最奥に設置された豪華な装飾が施された玉座、その横に控えるさっき俺に声をかけたと思われる、執事のような格好をした壮年の男性。
そして最後に、最奥の玉座に座した、プライドが高そうな超絶イケメンの貴公子・・・ではなく、性格の悪そうなつり目のヤンキーみたいな奴。
にしてもさぁ、もうちょいでいいから雰囲気とか大事にしようぜ?ここまでゴージャスな雰囲気出しておいてボス格がジャージ着用は無いよ・・・。