表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/76

その33 隠れた実力

 ・・・目を開ける。目に入るのは見慣れた洞窟の風景。俺が作った土壁は跡形もなく消し飛んだようで、女王を中心とした巨大なクレーターで、俺の足元だけが少し盛り上がってるという感じだ。多少は爆風を防いでくれたようだな。


 セレネ様は俺は死んだと言っていたが、それはつまり、試練の洞窟の内部での死は無効化できるということか。ここに入り浸れば安全にレベルを上げたりできる気もするが、今度セレネ様に聞いてみるか。


 さて、俺が死んでからどの程度の時間が経ったかわからないが、実際どうなんだろう?でもそんなに経ってないだろうな。経ってたら匠さんたちに近く寄られて復活したところですぐにまた殺されるだろうからな。


 でも、さっきから周囲を見回してるんだが匠さんがどこにも見当たらないぞ。一体どこに行ったんだ

 ?


 周囲の警戒は怠らないようにして、仮拠点まで戻ってみるか。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 戻ってきてみたが、拠点に目立った外傷もなし。匠さんたちは相変わらずどこにも見当たらない。まさか・・・匠さんたちがどこにもいないのは単純にいなくなったんじゃなくて全員自爆して消し飛んだのか?でもそうだとしたら弓士がいないのは説明がつかないが、他に可能性は考えられないし・・・。


 とにかく、スライムたちの無事を確認しよう。仮拠点をもう一度ぐるっと見回してみたがやはり穴が開いたりはしていない。スライムたち、無事だとは思うが・・・。


 中を確認してみるか。幸い、あとから入りやすいように外側には小さな窪みをいくつもつけておいた。壁を乗り越えるのは簡単だ。どうしてか数メートルの範囲にわたって窪みがなくなってる気もするけど・・・まあ、どうせ俺の付け忘れだろう。


 窪みを利用して、ほいほいほい・・・っと。


 壁の上から内側を覗き込んでみる。そこにいたのは7匹のスライム。全員無事のようだ。これで一安心だ。ただ、脳が認識するのを拒むんだが、やっぱりずっと無視するわけにもいくまい。そう、スライムたちが集まってるのと反対側、少し開けた空間に置いてあるんだよ、大量の匠さんの死体が。


 それに、よく見てみたらスライムたちの姿も前に見た時とずいぶんと違う。みんな羽のようなものが背中(?)から生えてるし、色もそれぞれ微妙に違う。


 となると、こいつらが今まで俺が一緒にいたスライムたちだという確証もない。どうしたものか・・・。


「ピィ!」


 お?気づかれたみたいだ。スライムたちがその小さな羽をパタパタとさせながら俺がいる壁の上まで飛んでくる。そして上に到着するなり嬉しそうに飛び跳ねたり体を摺り寄せてきたりする。ああ、こいつらは俺が今まで一緒にいたスライムたちで間違いなさそうだな。合流できて何よりだ。


 しかし、疑問はまだ残ってる。匠さんたちはどうなったんだ?どこにも居ないかと思ったら仮拠点の中にスライムたちと一緒に大量の匠さんの死体が転がってるし。


 ・・・もしかしてうちのスライムたちがやったのか?だとしたら姿が変わってたのも説明がつく。進化したから姿が変わってたんだ。


 いや、だとしてもこいつらには拠点から出る術が無い。今は翼があるからこの壁を乗り越えられるとしても進化する前はそれは不可能だったはずだ。こいつらにここから出るための手段は無かった。間違いなく。


 あっ・・・もしかして、壁の窪みが一部分だけなくなってたあそこ、あそこから匠さんたちが侵入したのでは?


 足元の壁を見てみる。やっぱり・・・この一部分だけ砂が減ってる。一度壁に穴が空けられた証拠だ。


 つまり俺のスライムたちは一度侵入されたのを守り切って、敵を完全に殲滅した挙句壁の修復までしたのか。こいつら、なかなかやりおる。


 どうやって死なずに匠さんたちを殲滅したのは気になるが、まあ完全な意思疎通の手段が無い以上、残念ながら確認する方法は無い。


 まあ、いいか。一息ついたらこの壁を開ける方法を探すとしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ