その3 平均値を知ると悲しくなるやつ
オッケー、一回落ち着こう、俺。ここまでで把握できた情報をもう1回確認しよう。あのガズラというキメラは俺の血縁者。俺はクソザコナメクジ。そして、これは所詮異世界転生というヤツだろう。称号にも転生者ってある。
転生とは生まれ変わり。俺は今、生まれ変わりたての状態、つまり生まれたての状態だ。赤ん坊のようなものだ。普通に服めくってたりしてたから少なくとも赤ん坊ではないだろとかそういう無粋なツッコミは無しだ。ある程度成長した状態で生まれてくる種族なんだろ。生まれたてホヤホヤなのに変わりはないんだよ。
よって、
クソザコナメクジでもおかしくはないんだよぉ!べ、別に悔しくなんかないからな!!
・・・・・・はっ!?俺としたことが、クソザコナメクジと書かれたことに怒りすぎて一瞬変になっていたようだ。まあ、気にするまい。
落ち着いたのでもう一度ステータスをみる。
【名前】カイ
【種族】リトルクソザコナメクジキメラ・弱小種
【性別】男
【年齢】0
【レベル】1
【ランク】G-
【体力・回復力】13
【魔力】8
【攻撃力】3
【防御力】3
【敏捷性】9
【称号】クソザコナメクジ 転生者 運命の赤い糸
【加護】転生神の加護
【スキル】
・通常:女運1 絶倫1
・称号:臆病1 危機察知1 獲得経験値上昇1 獲得スキル経験値上昇1 運命の赤い糸1
・加護:神託1 神格上昇1 魂容量増加1
・ユニーク:鑑定1
・種族特性:肉体変質1 他者吸収1 吸収強化1
【魔法】
うん、何も変わってないな。これ、さらに詳しく鑑定とかできないんだろうか。【称号】に目を凝らしてみる。
【称号】
【特定の条件を満たす事により、送られるもの】
【称号によってはそれに付随してスキルを習得できる】
【称号自身に追加効果があるものもある】
【称号の習得条件は習得後に称号を鑑定系のスキルで確認する事で確認可能】
おぉぉ!見えた!新しい事がわかっていくこの感覚、めっちゃワクワクする!
というわけでこのままのノリで他の項目もどんどん鑑定していく。
【名前】
【生まれた時などに与えられる呼び名】
【名前を与えた存在と与えられた存在の間には特殊な魂のリンクが発生する】
【種族】
【生物としての分類】
【種族によっては生まれた時や進化した時に種族特性スキルを入手する】
これで俺は種族特性スキルを2つ持ってるのか。
【リトルクソザコナメクジキメラ】
【キメラの幼体、その中でも特に弱く、さらにその中でもトップクラスの弱さを誇るもの】
【弱さを表す単語が種族名についている場合、その個体はその種族の中で特に弱いが、種族特有の性質が顕著に現れるようになる】
【種族特性スキルは、肉体変質、他者吸収】
俺がリトルキメラ(?)という種族の中でも特に弱い奴らの中でも特に弱いって意味?
・・・もう何も言うまい。もう一周回ってこの程度言われたくらいじゃ何も感じなくなった。
【性別】
【その個体の性別】
【男、女、両、無がある】
男と女はまあ、そのままの意味だろう。
無は・・・無性生殖する奴らのことかな。
無性生殖ってのは細胞分裂と同じノリで子供を増やすことだ。1個体だけで増える事ができてまったく同じ遺伝子を持った子供ができる。番を見つけずとも子供が作れるからこどもを増やしやすいという点では有利なんだが遺伝的な多様性が生まれにくいから災害とかが起きると種族ごとまとめて滅んでしまう可能性がある。
無性生殖には、ジャガイモの発芽とかイチゴが走らせる茎とかの栄養生殖とか、後は水の中にはヒドラってのもいたな。
両はカタツムリとかのやつかな?カタツムリは交尾をした後に両方が子供を産む。雌雄同体とか言ったっけ?
両性具有もあるな。まあこっちはどちらかというと突然変異とかによるものだから特殊な例か。
そして、趣味の上では好みが分かれるところでもある。何の趣味かは敢えて言わんけど。俺の言ってる意味がわからない人はあんまり気にするな。
【年齢】
【生まれてからたった年数】
【小数点以下は切り捨てて表示】
【1年は365日】
【1日は24時間】
【1時間は60分】
【1分は60秒】
時間の定義は地球と一緒のようだ。分かりやすくて安心。
ちなみに地球での話になるが、1秒の定義はセシウムの基底状態があーなってこーなって周期がうんたらかんたらだ。厳密な定義は専門用語が多すぎて俺には意味不明だった。
【レベル】
【ステータスを決定する中心定な要因】
【レベルの上昇でステータスを上昇させることができる】
【経験値を一定値貯めると上がる】
【レベルの上限は10】
【ただし、一部の種族はスキルなどでレベル上限が解放される】
【レベル上限に達すると素質やその時点での種族、進化因子の数などにより進化をすることが可能】
経験値ってのはどうやって貯めるのかは知らんけどそれを貯めたらレベルが上がるようだな。無難に敵を倒したりすることかな?ガズラのレベルは10を超えてるから「一部の種族」に当てはまるのか。
【ランク】
【その個体の強さの目安】
【G-からSSS+まで】
【SSS+を超えたものは全てランク"測定不能"となる】
これに関してはよくわからないな。強さの目安と書いてあるが、ステータスによって決まるのか、種族によって決まるのか。はたまたスキルの数とかも関係してくるのか。まあ、これは要チェックっだな。
【体力・回復力】
【潜在的な生命力の総量】
【肉体にダメージを受けると肉体が瞬時に回復されるがその分だけ体力が消費される】
【減少すると総量と現在量の両方が表示される】
【0になると肉体の損傷が瞬時に回復しなくなり、重要な器官の損傷や出血多量などで簡単に死ぬようになる】
【体の一部が切り離された場合、すぐにつなげれば通常の量の体力を犠牲につなげることができる】
【しかし、そうしなかった場合、多量の体力を犠牲にして再生する】
【体力がその途中で0になってしまった場合はその時点で再生が完了していた部分だけが定着し、残りは高位の魔法などを使用しなければ、体力が0以上になっても再生しない】
【人間の平均は100】
【魔力】
【体内の魔素量】
【魔法を使用したり、魔力消費が発生するスキルを使用するとすると減少】
【減少すると総量と現在量の両方が表示される】
【0になると魔力消費があるあらゆる行動が不可能となる】
【人間の平均は50】
【攻撃力】
【他者にダメージを与える能力】
【他者を弾き飛ばす能力などは体格などの影響も受けるがダメージ量は攻撃力のみが影響する】
【人間の平均は50】
【防御力】
【肉体の強度の平均値】
【首はダメージが通りやすいなど、強度は部位によって異なる】
【人間の平均は50】
【敏捷性】
【出す事ができる最高速度、脳の判断速度、反射神経、神経伝達の速度、最高加速度】
【人間の平均は50】
そして後に続く5つのステータス値。
体力・生命力は体内にリザーブされた回復力のようなものか。一般的な0になったら死ぬとかじゃなくて0じゃないうちは常に体力全快で、0になったら弱い生身の肉体だけになる?
これが高かったら別に四肢切断とかしても普通に回復できるのか。
他はまあ、割とそのままだな。
それにしても俺、もうどうしようも無いんじゃなかろうか。どんなに甘く見積もってもクソザコナメクジとしか言いようが無い。
まあ称号にあるしね。チクショウよくわかってらっしゃる。
親の顔が見てみたいわ。
・・・まあすぐそこに居るんですけど。さっきからずっとこっち見てるし。手に何かの生き物を持って。
と、ここで1つ問題発生。ガズラが手に持ってる生き物、どう見てもガズラと同じ見た目なのだが。
共食いでもするのかな?
是非ともそいつを食べ終わったら満足してくれることを願おう。その間に俺は退散しようかな。
俺を食べても美味しくないよ〜。